表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
30/69

第四章 告白、告白、告白……⑤

 一時間ほど勉強したところで、晩ご飯を食べた。僕は和風ハンバーグにライスを、時田は野菜サラダとグラタンを注文した。

 食事を終えたあと、僕は、そろそろ本題に入らないと、と思い、時田と向き合った。

「時田って、あんまり食べないんだね。勉強してるのに、それじゃあお腹空かない?」

「うん。大丈夫だよ。でも、不思議に思わない? 僕は、あんまりご飯食べないのに、背が高いって」

 突然、時田が自分の話を振ってきた。僕は怪訝に思いながら答える。

「不思議かもしれないけど、そういう人もいるんじゃない? そもそも背の高さって遺伝でほとんど決まるんでしょ」

「僕の家は、両親の背が高いから、僕の背が高いのも、たぶん親の遺伝なんだと思う。昔からご飯を食べる量は少なくて、小学校のときなんか、給食もよく残していたんだけど、背は勝手に伸びていったんだ。でもね、僕はあんまり背が高いって言われるの、好きじゃないの。コンプレックス、っていうかさ。ほら、僕、身長の割りにおどおどしているし、運動も苦手だし、弱虫だし。それで周りからよく、でかいくせに情けないって、バカにされてたんだ」

「そうなんだ。そういうこと言う人、いるよね」

 僕は形だけでも、同意を示した。

「うん。もう、たくさん。あのね、僕、遠野くんと仲良くなれて嬉しいんだ。遠野くんは僕のこと、背が高いくせに、とか言わないで、普通に話してくれるし。もちろん、最初に会ったときに胸をつかまれたのは驚いたけどね」

「まあ、あれ、その、ごめん」

「はは、ごめん、ごめん。ちょっと意地悪しちゃった。でもね。遠野くんとちゃんと話してみると、遠野くん、優しくて。僕はあんまり友達もいなくて、他のクラスで知り合いとかほとんどいなかったから、遠野くんと友達になれてよかった」

 時田の目尻が下がる。頬が緩む。本当に嬉しそうな表情をしていた。ただ嬉しいという感情だけが、時田の顔には浮かんでいる。

 友達、か。その言葉は、口には出さず、僕は息を吐きながら、言った。

「時田って、永井ともたまに話してるよね」

「うん」

「どうして?」

「永井さんは、中学校がいっしょだったんだ。二年生のときは同じクラスで、だから、それで、今も廊下とかで会ったら話すこともあるんだけど……」

 時田が急にもじもじとし始めた。僕は、ここだ、と思って話を切り出す。

「時田、永井のこと好きなんでしょ」

「え、えええ?」

「ほら、好きなんだ」

 僕は死ぬ気で、精一杯に頬を緩めた。そうしないと、引きつったような顔になりそうだった。

「いや、その、どうして知ってるの。まだ誰にも言ったことないのに……」

「ふふふ、すごいでしょ。この前、時田が永井と話しているのを見た時にね、気づいちゃったんだ」

 もちろん、嘘である。

「そ、そうなんだ。うーん、遠野くんだったら言ってもいいのかな……。僕ね、その、永井さんのこと、す、好き、だよ」

「ほらー、やっぱり好きなんじゃん。もう、隠さなくてもいいのにー」

「やめてよお。恥ずかしいじゃん」

「いつから永井のこと好きになったの?」

「えっとね……。中学の、ときから……」

「中学の、いつから永井のこと好きになってたの?」

「二年生のとき……」

「きっかけは?」

「も、もういいでしょ。恥ずかしいからやめてよお」

 矢継ぎ早に質問を繰り返す僕に、時田は大きな体をくねらせながら、手を振った。

「いいじゃん、教えてよ。僕たち、友達でしょ? 時田の心の本音、友達である僕に聞かせてほしいな」

 体は大きいくせに、弱々しいやつだ。僕は心の中で毒づきながら、時田に笑いかける。体は大きいくせに、と。

 なりふり構ってはいられない。時田の永井への思いを知っておかなければ、これからどう行動すればいいのか、決められない。そのためだったら、憎い相手だろうとも友達を装ってやる。幸い、時田は僕を友達だと思ってくれている。そこに何とかつけこまなければいけない。

「もう、しょうがないなあ……。誰も言わないでよ?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ