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終末世界で竹を斬る! ~TAKEKIRI:Assault Demon~  作者: 緑ノ妖精Ⅲ
一章巨大樹の下で

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五話シスコン兄、嫌われる


「しゅしゅしゅしゅしゅ──」


 おじいさんは柚奈の懸命な治療により一命を取り留めた。今はベッドに横たわるおじいさんをみんなで囲んでいて、その中にはアサルトもいる。


「じいちゃん! なにを言っているんだ?」


「しゅしゅしゅ!」


「じいちゃん!」


「しゅしゅしゅ!」


「じいちゃん!」


「しゅ──」


 この人間はなんなんだろう……


 アサルトが謎に思う男、祐介は里長と掛け合いをしている。しかし里長は入れ歯を装備していないので話が成り立たない。(替えの入れ歯はない)


「くっ、やはり入れ歯か……」


「しゅしゅしゅ!」


「弘毅、わかるか?」


「いいえ、わかりません!」


 里長の孫、弘毅は敬礼をしながら答えた。


「くっ……だよな。やはり入れ歯を探さないといけないか」


「俺もそう思います」


「そうだな。弘毅、お前に命令する! 入れ歯を入手するため遠征へ行け!」


「了解しました! 編成はどうしますか?」


「編成は──」


 その隣でアサルトの治療が始まった。


「鬼さん……治ってる……」


 終わった。


 限界を越えたときに治ったのだ。柚奈はそんなアサルトの手を触診する。


「妹に気安く触れるなっ!!」


「お兄ちゃん!」


 おかしい……俺は触られた側なんだが……?


「それよりお前はなんだ!? その角はなんだ!? そもそも、なぜここにいる!?」


「さっき説明したよね!?」


「それはそうか。じゃあこいつが鬼なのか?」


「そうだよ。遅いよ」


「すまん」


 本当になんなんだこの人間……


「いや、ちょっと待てよ……」


 祐介は少し考え結論を出した。


「お前が来てから初めて竹精霊が攻めてきた。……ということは、お前が竹精霊を呼んだのではないか?」


「お兄ちゃん! 無茶苦茶すぎるよ!」


 祐介の言うとおり、今回初めて竹精霊が巨大樹まで攻めてきたのだ。


 俺は竹精霊を呼んではないが、そう思ってしまうのは無理はないか。


 アサルトも理屈は理解できている。


「確かに……その可能性も捨てきれないですね」


「弘毅もそう思うか」


「ちょっと待って! 鬼さんは美琴を助けてくれたんだよ!」


「確かにそう言っていたな。美琴、本当なのか?」


 祐介は虚無に対して話しかけた。


「あれ?」


「美琴は反省部屋」


「そうだったな」



──そのころ、反省部屋では──


「うえ~ん」



「それでなんの話だったか……」


「お兄ちゃん……」


「鬼が竹精霊を呼んだか呼んでないかです」


「そうだったな。それで妹よ。鬼がやってないと証明できるのか?」


「そ……それは……」


 柚奈の代わりにアサルトが答えた。


「俺はやってない」


「お前には聞いてない」


「そうか」


 アサルトは口を閉ざした。


「……でも、やった証拠もないわけですよね」


「確かにそうだな……」


 祐介は考え込んだ。


「よし決めた。鬼、お前にチャンスをやる。弘毅、鬼を連れて遠征に行け」


「わかりました。でもなぜ?」


「証人はじいちゃんだけだ。でも入れ歯がないと話にならないからな」


「じいちゃんボケてるけど……」


「そこは重要ではない」


 そしてアサルトの遠征行きが決まった。


「鬼さん、お兄ちゃんがごめんね」


「別にいい」


「妹に気安く話しかけるなっ!!」


 いや……俺が話しかけられた側なんだが……?


 アサルトにはシスコンが理解できなかった。


「お兄ちゃんうるさい……」


「しゅしゅしゅしゅしゅ!」


 そのとき、里長が祐介になにかを伝えようと声を挙げた。


「なんだって? 弘毅」


「わかりません。でも話の流れ的に柚奈の話では?」


「しゅっ!」


 弘毅に賛同するように里長は声を挙げた。


「なんだ?」


「しゅしゅしゅしゅしゅ!」


「じいちゃん! だからなにを言っているんだ!」


「しゅしゅしゅしゅしゅ!」


「じいちゃん!」


「しゅしゅしゅしゅしゅ!」


「じいちゃん!」


「しゅしゅしゅ──」


 また掛け合いが始まった。


「鬼さん、お兄ちゃんがごめんなさい」


「別にいい」


「だから妹に気安く話しかけるな!」


 いや、このやり取り、何度やるんだ……


 アサルトはすでに呆れている。


「もうお兄ちゃんいい加減にして!」


 一瞬、空気が固まった。


「鬼さんは美琴を助けたし、長と一緒に上級竹精霊を退けたんだよ! なにか悪いことした?」


「しかし、お前はそれを見たのか? 美琴を助けたとき、そしてじいちゃんと上級竹精霊を退けたとき、お前はその場にいたのか?」


「ううん、見てない……でも……」


 柚奈の口は止まった。


「どうしてそいつを庇うんだ。お前には弘毅がいるだろう」


「実は私、弘毅のこと好きじゃないし、そういうつもりもないから」


「うぐっ……」


 弘毅に言葉の槍がクリティカルヒットした。ちょっと可哀想だ。


「それは酷くないか?」


「そもそもお兄ちゃん、私の気持ち何一つわかってないし」


「ああ、わからん」


「じゃあいちいち口出ししないでよ!」


「それはお前のため……」


「どこが!? もうお兄ちゃん嫌い!」


 柚奈はドンッと強く扉を閉めて、部屋から出ていった。


「なん……だと……」


 祐介は膝から崩れ落ちた。


「こうなったのも全部全部……」


 祐介はアサルトを睨み、言い放った。


「お前のせいだ!!」


 ……なぜこうなる?


「しゅしゅしゅしゅしゅ……」

さらっとフラれた男、その名は弘毅

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