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終末世界で竹を斬る! ~TAKEKIRI:Assault Demon~  作者: 緑ノ妖精Ⅲ
一章巨大樹の下で

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四話初めての痛み


 とうとう青の上級竹精霊に手が届く距離にたどり着いた。アサルトの手を覆っていた布はなくなり、ただれた皮膚がむき出しになっている。


「【風切鬼斬(ふうせつきざん)】」


 アサルトは風を纏った拳を突き出した。


 この戦いに決着をつけるために。


『タケッ』



──しかし、



 拳は空気を貫いた。


 消えた!?


『タケタケタケ~』


 声が聞こえるほうに振り向くと、左右に転移しながら変顔で笑う竹精霊がいた。


 竹精霊自体も転移できるのか……


「いらつかせやがって、許せんっ!」


 怒るおじいさんもいた。


『タケ!?』


 だが急に上級竹精霊の顔色が変わった。


『タケノコタケノコニョッキッキ~♪︎』


 なぜか焦る上級竹精霊は両手を合わせて歌いだした。すると淡い緑色の中級竹精霊が数体転移してきた。上級竹精霊はまだ本気を出していなかったということだ。


 ここで速竹か……


「わしはもう力を使えぬ……じゃが、中級を引き付けるっ。その隙になんとか頼んだっ」


「わかった」


 わかったとしか答えることができなかった。百戦錬磨のアサルトにも、もう余裕はない。


 風切鬼斬を連発するしかないか、だが……


 アサルトは思い悩む。魔法の使いすぎで頭にピキピキッとした痛みを感じているのだ。このまま使い続けていいのかと。


 いいや、この人間を見るんだ俺。あの人間たちのためにここまでするんだ。


 たくさんの傷を負いながら戦い続けるおじいさんを見る。


 俺も人間を守るため……


 しかし、アサルトの体は言うことを聞かない。


 どう……して……?


 アサルトは初めて追い込まれ、人を守る意味がわからなくなってしまったのだ。



──そのとき、



『タケェーーー!!』


「【マッスル】っ!」


 中級竹精霊が伸ばした竹が、おじいさんの腹を貫こうとしている。おじいさんは避けられないことを悟り、腹筋で防ごうとする。


「ぐはっ」


「人間!」


 おじいさんは吹き飛ばされ、背後の竹にぶち当たった。そして口から血と入れ歯を吐き出した。


 中級竹精霊は追撃をしようと、素早く竹を伸ばす。


 それを見たアサルトの体は勝手に動いた。


「【風切鬼斬(ふうせつきざん)】」


『うぎゃーーー!!』


 風を纏ったアサルトの拳に当たった中級竹精霊は消し飛んだ。


 わかった……俺に守れるから守るんだ。


 アサルトは新たに人間を守る理由を見つけた。


「しゅしゅしゅ!」


『『タケタケタケ!』』


 追い込まれたおじいさんに向け、四方八方から竹が伸びる。アサルトはおじいさんを守るため手から【旋風】を放った。


 竹は切り刻まれた。


 だが、魔法を使うごとにアサルトの頭痛は威力を強めていく。


 痛い……


 痛覚が鈍いアサルトにとって初めての痛みであった。


 そして隙が生まれていた。


 アサルトの目に水色の円盤が映る。


──次の瞬間、


 入れ歯が砕け散った。


 青の上級竹精霊はニヤリと笑みを浮かべている。






 一方、霧が深くなった巨大樹の麓には、遠征へ行っていた男たちが戻ってきていた。荷車にはたくさんの物資が積まれている。


『『タケノコタケノコニョッキッキ~♪︎』』


 上級竹精霊に転移させられてきた竹精霊たちが、地面から竹を伸ばして巨大樹の根に突き刺している。


「巨大樹を守れーー! 各自竹精霊の討伐に当たれーー!」


 柚奈の兄、祐介(ゆうすけ)は男たちに指示を出し、自身は安心し倒れる茜たちに駆け寄った。


「茜、大丈夫か?」


「はい、なんとか……後はお願いします……」


「ああ、任せろ!」


 祐介はサムズアップをした。(マッスルマッスル)


「それで俺の愛するマイシスターは?」


 祐介は側にいた弘毅に聞いた。聞き方からしてシスコンである。


「中に避難しています」


 弘毅は敬礼のポーズをして答えた。


「よしっ、お前たちは中に避難しろ【聖光剣(せいこうけん)】」


 二人に指示を出すと、光魔法で作った剣を振るう。


「はあっ!」


 青い竹はスパッと切れた。そのまま次々と青い竹や竹精霊を倒し、霧は晴れたのであった。






 アサルトはおじいさんを肩に担ぎ、風を纏った片手で竹精霊を倒していた。しかし魔法の使いすぎで頭がガンッガンッと痛んでいる。


「しゅしゅしゅしゅしゅ──」


 アサルトにはわかる、「わしを捨てて倒せ」と言っているのが。


 この人間を守りながら複数の中級と上級竹精霊の相手をするのは難しい。


 だが、俺はやる。


──鬼だからだ。




 アサルトは自身とおじいさんの全身に防御を固めるため、【風守(かざもり)】を発動した。これにより風でおじいさんを守りながら攻撃に移れるのだ。


 魔法の使いすぎで反動が来ていたが、それはもうさっぱりとしている。アサルトは限界を越えたのだ。


 アサルトは拳で中級竹精霊を消しながら全速力で突き進む。本人は気づいていないが【身体強化】により力が強くなっている。そして再び上級竹精霊に手が届く距離に来た。


「【風切鬼斬(ふうせつきざん)】」


『うぎゃーーー!!』


 【身体強化】により音速の拳をくらわせることができた。しかし相手は上級竹精霊である。叫びはしたが、一撃ではビクともしていない。


『タケタケ~』


「待て!」


 上級竹精霊はアサルトに手を振り、転移していった。


 逃げられてしまった……倒せなかった……でも、守れ……


「人間!」


 アサルトは気がついた。おじいさんから血が染み出ていることに……

 マッスルマッスルが我慢できませんでした。すいません。でもサムズアップと聞くと……マッスルマッスル

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