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終末世界で竹を斬る! ~TAKEKIRI:Assault Demon~  作者: 緑ノ妖精Ⅲ
一章巨大樹の下で

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三話青の上級竹精霊、襲来


 まだ、霧は出ていないか。


 巨大樹の外にやってきたアサルトは、竹精霊を探すため風探知を発動しようとした。だがそんな間もなく、弘毅が上からスルッと降りてきた。


「おい、治療は?」


「終わった。敵はどこだ?」


「あっちだ、って行くな」


 弘毅は一度指差したが引っ込めた。アサルトは怪我人だからだ。場所を教えてもらえなかったので、再び風探知をしようとした。そのとき──


『ボンッ』


 空中に水色の円盤が現れた。それは霧を出しながら二人の周りを不規則に回っている。


 なんだこれは?


 アサルトは壁際に退避した弘毅を見る。しかし弘毅は首を横に振っているので知らないことがわかった。


 じゃあなんなんだこれは?


 まもなく、その円盤が弘毅の正面で停止した。そして青いタケノコになり、すぐ青い竹になった。


 竹!? まずいっ!


 その青い竹が伸びる先には弘毅がいる。このままなら弘毅を貫通してしまう。


 アサルトは青い竹に手をかざし【旋風】と念じた。しかし──


 出ないっ!


 手が覆われているため手から風が出せなかった。風魔法は繊細で肌からしか出せないからだ。


 へそから【風刃(ふうは)】……はダメだ。人間に当たってしまう。


 魔法でなんとかしようと考えたが、手でないと緻密なコントロールができないことに気付いてやめた。


 よって、アサルトは拳を振り上げ竹に向かって飛び込んだ。竹を叩き落とす、いわゆる脳筋戦法だ。


 だがしかし──


 ふにゃっ、とした感触の電気信号がアサルトの脳に伝わった。


 なんだと!?


 アサルトの手は布でぐるぐる巻きされている。それによってダメージが吸収されてしまったのだ。


 今も青い竹は弘毅に向かって直進している。


 間に合わないっ! もう体を張って守るしか、だが……


 そう思った瞬間──


「【炎焔(ほむら)】」


 茜が竹を斬った。


 硬竹!?


 だが、アサルトの目に映ったのは竹を斬った茜ではなく、炎を纏った硬竹の姿であった。


「茜、助かった」


「おうよ、ほんで鬼、これ」


 茜はアサルトに硬竹を手渡した。


「助かる。だが、持てない……」


 茜はアサルトの手がぐるぐる巻きにされているのを確認した。そしてアサルトも今持てないと気づいた。


「確かに、弘毅これ持っとけ」


「おう……それで美琴は大丈夫か?」


「くくりつけてある」



──巨大樹の中──


「うえ~ん」



「それなら大丈夫やな」


「というか今の竹はなんなん!?」


「おっほん!」


 そのとき背後で誰かが咳払いをした。アサルトが振り向くと、そこには入れ歯を装備した里長(さとおさ)がいた。


 いつの間に来た……?


「さっきのは転移竹、どうやら上級竹精霊がおるようじゃな」


 上級と聞くと雰囲気が悪くなった。アサルトも上級と戦ったことはない。このおじいさんはなにか知っている気がする。


「勝てんの……?」


 茜は顔を強張らせながら聞いた。


「わからぬ。じゃから、わしも向かう。鬼よ、共に向かうぞ」


「じいちゃん!」


「こうた、お前は見るんじゃ、未来を」


「弘毅……」


「そうじゃった、間違えた、すまん」


 入れ歯していても話が通じにくいとはこういうことだったらしい。


「あまね、こうた、おぬしらはここを、祐介(ゆうすけ)が戻ってくるまで、なんとしてでも死守するんじゃ」


「じいちゃん……名前違うけどわかった」


「わかりました、名前間違ってるけど」


 弘毅と茜は名前を間違えられるも納得した。(祐介は合ってる)


「では向かうぞ。鬼、いいや、アサルトよ」


「!?」


 なぜ俺の名前を知っている……







 霧の中、おじいさんは斧を振るい竹を斬る。アサルトはその後ろについていく。


「人間……なぜ俺の名前を知っている?」


「Assault Demon計画、というものを知っておるか?」


「知らない」


「わしもよく知らんが、あやつ……あのこんな変なのをしたやつが言っとったんじゃ」


 おじいさんは斧を持ったまま、手をドーナツみたいにして両目に当てた。(眼鏡のこと)


「あの人間のことか?」


「たぶんそやつじゃ、よく脱いでおったじゃろ?」


「あの人間だ」


 アサルトとおじいさんの言う人物は一致した。


「そやつはのう」


『『『タケノコタケノコニョッキッキ~♪︎』』』


 そのとき、竹精霊たちの歌が聞こえてきた。


「続きは倒してから話そう、生きておれるかはわからんが」


「わかった」




 しばらく進むと竹精霊の群れを発見した。見た感じ下級竹精霊しか見当たらない、上級はどこにいるのだろうか? おじいさんと相談し、下級を蹴散らして呼ぶ作戦を決行することにした。


「今じゃ」


 アサルトはおじいさんの合図に従い、腹から【風刃(ふうは)】を出した。それは下級竹精霊に命中する。


『うぎゃーーー!!』


 手前の一体を倒すことができた。


 それと同時におじいさんは斧を振り回し、竹精霊たちの命をどんどん刈り取っていった。竹精霊は奇襲には弱いのだ。


 攻撃されていることに気づいた竹精霊たちは逃げていく。いつもなら追いかけるが、上級の竹精霊を倒すためやってきたので追いかけない。手が足りないのだ。


『タケェ!!』


「来たぞ」


 青色の大人サイズの竹精霊が現れた。それを守るように下級の竹精霊が集合している。


 あいつが上級か、見た目は強くなさそうだ。


「アサルト、油断するな」


『タケノコタケノコニョッキッキ~♪︎』


 上級竹精霊は両手をゴシゴシして、そこら中に水色の円盤を出した。下級の竹精霊も竹を生やしてきた。


 なかなか手強いな、だが遅い。


 アサルトは両手の布を覆うように風の刃を纏わせる。簡易版旋風だ。それで竹を斬りつけバッサバッサと倒していく。


「わしも負けられんのう【身体強化】」


 おじいさんはムキムキになり、斧で竹をバッサバッサと斬りつけ、竹精霊も倒していく。


『うぎゃーーー!!』


「人間の癖になかなかやるな」


「これくらいやれんと生き残れんわいっ」


 だが上級竹精霊は全力を出していない。アサルトたちへは片手間に攻撃し、竹を転移させているのに集中している様子が見えるからだ。




──巨大樹の下では──


「【炎焔】!」


──パカッ、


 霧の中、茜は転移する青い竹を一本一本割っていた。しかし、一度に転移する竹はかなりの数で辺りには霧が充満している。


「茜、大丈夫か?」


「頭痛いけど、祐介の兄貴が帰ってくるまで……」


 そして茜も限界が近づいてきている。


「【炎焔】っ!」






「このままじゃとまずいなっ」


 いくら竹や竹精霊を斬っても、下級竹精霊が転移で無限に補充される。時間稼ぎ、いいや遊ばれているのだ。


「なぜだ?」


 それを理解できないアサルトはおじいさんに聞いた。


「さっき転移した竹から霧が出とったじゃろっ、霧は巨大樹の天敵なんじゃっ」


 アサルトは竹精霊の目的が巨大樹を倒すことなのはわかっていた。今までに何個も倒れた巨大樹を見てきたからだ。だが霧が弱点なのは知らなかった。


「じゃから一刻もはやくあれを討伐せねばっ、あやつらに見せる顔がなくなってしまうわっ」


 アサルトは理解した。この上級竹精霊をすぐに倒さないと巨大樹を失い、それにより水を失った人間が枯れ果ててしまう。このままだと人間を守れないことも……


「アサルトよ、わしはもうすぐ命を失う。じゃから──」


「倒してから聞く、それでも遅くない」


 だがアサルトは人間を守りたい。あの、人間たち、それとこのおじいさんをだ。


「行くぞ人間!」


「そうじゃなっ、【身体強化】っ!」

 簡易版旋風はぐるぐる巻きされてない腕部分から出してます。簡易版なので形が崩れるらしい。

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