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第41話:正義の布陣 決戦の火蓋

崩落した国会議事堂の瓦礫が、重苦しい砂煙を上げている。

 空を埋め尽くす古代魔導兵器群。その中央で黒い魔素を立ち昇らせる鬼龍院仁と、二人の軍拡派賢者。絶望的な戦力差を前に、一条氷介――「じい」が、静かにその杖を石畳に突き立てた。

 カツン、と硬質な音が響く。その瞬間、戦場全体を冷徹なまでの観察眼が支配した。


「……皆の衆、聞け。これより、この歪んだ盤面をひっくり返す。……葵様、貴方の望み通り、あの男――鬼龍院を貴方とレイ殿に託す。……我らは、その路を切り拓く『剣』となろう」

 じいの鋭い指示が飛ぶ。それは、百戦錬磨の老賢者だからこそ見抜いた、唯一の勝機に基づく采配だった。

「……紫苑殿、煌々殿。貴女たちは大岩殿を。……七賢者同士、力は拮抗しているはずだ。奴の破壊的な岩魔法を止められるのは、同じ高みに立つ貴女たち以外におらん」

「は、はいっ……! 剛殿、あ、貴方の……その乱暴な魔法は、私たちが……止め、ますっ……!」

「りょーかい、じい! 剛っちの岩魔法ってマジ暑苦しいし? しおんぬとウチで、サッパリお掃除しちゃおっか!」

 紫苑ときららが魔力を昂らせ、大岩剛へと踏み出す。


 一方、じいの視線は如月颯真へと向けられた。

「……雪城、雷翔、陽向。貴様らは、如月殿を食い止めろ」

「えっ!? 僕たちが……七賢者を、ですか!?」

 雷翔が驚愕の声を上げるが、じいの声に迷いはない。

「如月殿は、派手で美しい魔法を好む。だが、その美学ゆえに無駄が多い。実戦の泥臭さ、連携の妙でこそ隙は生まれる。……何より奴は、女性を必要以上に大切に扱う。……そこを突け。葵殿が信じた、貴様らの絆を見せてみよ!」

「……わかりました。一ノ瀬くんが、長官に集中できるように……私たちは、私たちの戦いを完遂します!」

 かりんが白銀の杖を握り直し、雷翔と陽向を促した。



「ガッハッハ! 老いぼれの采配、受けて立とうじゃないか! 来い、小娘共!」

 剛の雄叫びと共に、巨大な岩柱が噴き出し、戦場は分断された。如月颯真もまた、優雅に宙を舞い、風の刃で三人を誘い出す。

「さて、僕の舞踏会へようこそ。……淑女を傷つけるのは忍びないが、教育は必要だね」


 じいは満足げに頷くと、周囲から押し寄せる自律型ゴーレムの群れに向き直った。

「……さて、残りのゴミ掃除は、この年寄りの役目か。……行くぞ、鉄屑ども!」

 吹雪が吹き荒れ、広場に押し寄せる古代兵器が次々と氷像へと変えられていく。




 そして、喧騒の中心に――蓮とレイ、そして鬼龍院仁だけが残された。

「……仲間を散らせ、私と二人きりになる道を選んだか。葵、いや一ノ瀬蓮。貴方のその『傲慢』、嫌いではないよ」

 仁が虚空を掴むと、周囲の魔導兵器から吸い上げられた魔素が、彼の右腕に禍々しい黒色の刃を形成した。

「……傲慢ではありません。貴方を止められるのは、世界で私とレイだけだから……そう決めただけです」

 蓮は「葵」の姿のまま、深く、澄んだ蒼い瞳で仁を見据えた。

『……ふん、言ってくれるじゃない。蓮。……でも、正解よ。こんな淀んだ魂、私の浄化の光で焼き尽くしてあげなきゃ、星が可哀想だわ』

 レイが銀色の輝きを放ち、蓮の右手に蒼い水の剣が具現化する。

 その刃は、かつてないほどに研ぎ澄まされ、周囲の空気が震えるほどの魔圧を放っていた。

「……鬼龍院長官。……貴方の野望は、ここで終わりです」

「抜かせ。……新世界の神に、届くか……その『偽りの正義』がッ!!」

 仁の黒い雷光と、蓮の蒼い一閃が、広場の中央で激突した。


 ドォォォォォォンッ!!


 金属音を置き去りにした衝撃波が、国会議事堂の瓦礫を粉々に砕き、爆風が天を突く。

 黒と蒼。

 二つの魔圧が混ざり合い、空を埋め尽くす兵器群さえもがその圧力に震え上がる。

 かつてない、そして歴史上最後となるであろう、真の魔法大戦。

 その主役たちが、今、命を賭して交錯した。

 ――世界の命運を懸けた最終決戦。その火蓋は、今、完全に切って落とされた。

こんにちは!よつばです!

4月になりました。春ですね。

これから1年間私の浪人生活が始まります。

身分を持たない浮浪の勉強民として頑張ります!

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