㉕ 入学テストの成績(side:アレク)
ルナたちが寮で過ごしている頃、アレクは生徒の名簿をもらい、職員室で確認していた。
「今年は多すぎるな」
アレクは毎年の量よりはるかに増えている書類ひとつひとつに目を通す。
新入生だけで8名、留年生を合わせると9名。
どの年を比較しても、あまりにも多すぎるのだ。
「これまた、問題がありそうなヤツらばっかだな」
「そんなものを首からさげている奴には言われたくないだろうな」
そこに、カティアの説教を終えたウィリデがアレクの手元を覗き込む。
ウィリデの首には『私は今年の入学式も遅刻しました』と書かれた看板が垂れ下がっている。
『も』を強調しているあたり、カティアも相当怒っているのがわかる。
「普通に裏の取れた経歴のやつがパトリックとラヴィだけだぞ」
「俺としては、留年をしないでくれたらいい」
「あぁ〜」
アレクは切実にそう思う。
ウィリデも去年のセツの問題行動に思わず同意してしまう。
アレクとしては、彼らの過去、何があったかなどは深く詮索するつもりもない。学園に来たということは何か成し遂げたいことがあるからだ。
アレクは自分を棚に上げるつもりもない。
加えて、ある2人を除けば、きちんとした推薦や履歴があるからだ。
「お前、この2人が気になるのか?」
アレクが唯一紙を見開けて凝視していたアストとルナのこれまでの軽い経歴と試験結果が記された資料。
「マジかよ」
これには思わず、ウィリデが声を上げた。
経歴の部分は真っ白。
これまでが全くもってわからない、試験場所からある程度はルナたちの故郷の推測はできるかもしれないが、ここまでひた隠しにしているのだ。近場では受験していないだろう。
その中でも一番目を見張ったのが試験結果だ。
フォルトゥーナ学園の入学試験は主に学力と実技だ。
全5教科、各教科100点で採点し、実技は魔術と武術または武技となっており、それらは各200点満点で採点される。不正はできないよう専用の魔導具と5名の採点者で試験をしている。
それら全てを合わせて900点だが、合格ラインは500点と高めである。
にもかかわらず、アストは魔術200点、武技トーナメントコースAブロックで優勝、つまり200点、学力は満点とはいかないがそれに近い点数を出している。
ルナの方は、魔術は0点、しかし、武技は兄のアストと同じくトーナメントコースBブロックで優勝。学力検査では全て満点を叩き出している。
首席に選ばれたが辞退したのだ。
アレクは初めて0組で詮索すべき案件なのかもしれない、そう自身の間が告げているのだ。
小話
ウィリデ「カティアもカティアでよく入れたよな」
アレク「学力も実技も申し分ない。加えて、これだけの寄付をしたのだと」
アレクは指を三つ出す。
ウィリデ「金貨3枚か?」
アレク「300だ」
ウィリデ「…アイツは入れるな」
この世界の金貨は1枚、100万円だと思ってください。
作者より
これで1章1節は完結です。
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