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7話 初戦闘

 昨夜は凄かった。お隣さんが。

 俺もいつかこのスキルを活用できるようになる日が来るのだろうか。

 きっと来るだろう。

 ていうか来させてやる。

 その日に期待しよう。


 立ち上がって伸びをし、ジャージを羽織ってサンダルを履いたら支度が終わってしまった。


 今日は初クエストだ。


 腰にはダガーが一本。

 戦闘経験は無いに等しい。

 モンスターに襲われても大丈夫かな。

 人型ならともかく、四本足のモンスター相手に柔道技は使えないだろう。


 心許ないが、薬草採取だけだし大丈夫だろう。


 一階の食堂に降りて朝食を取る。

 メニューは固いパンと野菜スープ。

 塩も胡椒も振っていない、素朴な味付けだ。


 ジェンに昨日から何も食べてないというと、お代わり自由だと言われたので3回お代わりしてしまった。

 出発しようと立ち上がると、ジェンがやってきた。


「これ持っていきな。作りすぎちまった」


 ひも付きの袋がテーブルに置かれた。

 中にはパンが2つ入っている。


「あ、ありがとうございます。あの…」


 慌てて金をだそうとすると止められた。


「良いって、遠慮しないでおくれよ。今日薬草摘みに行くんだろ。あれは大変だからね、頑張りなよ」


 ジェンがにかっとした笑顔を見せる。

 いつもなら中年おばちゃんの笑みを見ても無関心なのだが、今朝は素直に嬉しく感じた。

 袋をベルトに結びつけ、出発した。 




 東外区を横切り、外壁へたどり着いた。

 大きな門が開いており、両隣に槍を持った男が二人立っている。

 門を通る人達に話しかけ、ライセンスカードを展示させているようだ。


「おはようございます。薬草採取の為に東の森へ行きたいのですが」


 門番の一人に話しかけた。

 ボサボサの頭をした青年だ。


「おう、おはようさん。ライセンスカードを見せてくれ」


 爽やかな笑顔で挨拶された。

 言われるがままライセンスカードを提示する。


「はいよ、ありがとう。頑張んな。暗くなる前に帰ってきなよ」


 そういうと、にこやかに手を振って見送ってくれた。

 門番があんなにフレンドリーで良いのだろうか。

 

 外壁を抜けると、風景ががらりと変わった。

 ワールドマップにでたみたいだ。


 見渡す限りの平原。

 雑草だらけで地面がむき出しになっている。

 整備などされていないのだから当然だ。

 

 ところどころ丘があり、その間を縫うように荒れた道が伸びている。

 一番手前の丘を登ると、前方に森が見えた。

 今日はその森の入り口付近でラベンダーを採取するだけの、簡単なクエストだ。


 他にも何人か同じ道を歩いている。

 みんなあの森へ行くのだろう。




 三十分ほど歩いたら森に到着した。

 入口付近の広い草原に入ると、紫色の花がちらほらと見えた。

 ただし俺の知ってるラベンダーのように一か所に集まっているわけでなく、一本一本バラバラに生えている。


 早速一本目に取り掛かる。

 根っこも取ってこいって言ってたな。

 慎重に、慎重に。

 

 10分ほどかけて根を引き抜くことに成功した。

 50センチはありそうな長い根だ。


 ふう、結構神経使うな。

 これは手間だぞ。 


 続いて二本目。

 数歩歩いて三本目。


 三本目でしゃがみ込んだら、最初の二本と若干色合いが違うことに気づいた。

 よく見ると葉っぱの形状も異なっている。


 これはラーベンダなのかな。

 困ったな。

 要らない植物を採ったら無駄骨だぞ。

 そうだ、鑑定スキルを使えばいいのか。


 手元にある三本のラベンダーを鑑定する。

 

ラーベンダ

ラーベンダ

ポイズンラーベンダ


 ポイズンて。

 これだけ似通っていて毒草かい。怖いな。

 毒草をギルドに持っていっても報酬はないだろうし、パスで。


 それにしても面倒なクエストだ。

 一本が安いから稼ごうと思ったら大量に採取しなければならない。

 でも一本採るのに10分ほど掛かる。

 単純計算で時給60ドルクだ。薄給にもほどがある。


 そしてもちろん採った薬草は持って帰らなければならない。

 嵩張るから大変だ。


 ベルトに下げている袋はさほど大きくない。

 中にパンも入っているし、泥だらけの物を食べ物と一緒に保管したくない。

 しまったな、準備を怠った。

 

 他の奴らはどうしてるんだろうか、と周りを見回すと、袋を片手にせっせと摘み取れるだけ摘み取っている男と、手ぶらな女の子がいた。

 

 あの子が怪しい。

 何をしているんだろう。


 じっと観察していると、右手を出して手元を光らせたのが見えた。

 目の前の空間に何かが出現した。

 四角い穴が宙に浮いている。


 すると聞きなれた合成音声がした。


スキル アイテムボックス をラーニングしました。

商人のジョブを授かりました。

商人の恩恵を授かりました。


 おお、これがジュリアの言っていたアイテムボックスか。

 早速ラベンダーをアイテムボックスに入れながら草むしりを続けた。




 黙々と作業を続けていると、日が高くなってきた。

 いつの間にか奥へと進んでいたようだ。

 低木が並び、入り口付近に比べて多くの樹木がそびえ立っている。

 戻ろうかなと思い立ち上がると、後ろの茂みから物音がした。


 なんだ今のは。

 何かいるのか。

 もしかしてモンスターか。


 ダガーを抜き、前方に構える。

 構えたとたん、大きな毛玉が飛び出してきた。 

 

 うおお、でっかい鼠だ!

 これはラージラットだな。間違いない。

 討伐クエスト受けてないのになんで出てくるのかな。

 フラグ尊重してくれよ。


 でもせっかくだ、戦ってみよう。

 ラーニングで覚えた技を試す良いチャンスだ。


 ラージラットは奇声をあげて威嚇している。

 カピバラのような見た目だが温厚ではないらしい。

 俺を見据えたまま動かないが明らかに敵意を向けている。


 まずは相手に近づかないと。

 でもスキルってどうやって使うんだろう。

 ただ念じればいいのかな。


 潜伏と念じてみると、ダガーを構えている自分の手が透けて見えた。

 自分の体と足を見ても透けて見える。

 

 成功だ。

 念じるだけで後はスキルが処理してくれるらしい。

 

 ラージラットは俺を見失い混乱しているようだ。

 後ろ足で立ち上がり、周りの匂いを嗅ぎだした。


 その間に俺はラージラットの背後へと回り込む。

 おいおい、でかいな。

 自分と同じくらいの身長なんだけど。


 先手必勝!

 ダブルスラッシュ!

 

 ラージラットの背から鮮血が迸る。

 前のめりになったラージラットが前足に体重を乗せ、後ろ足を蹴り上げた。

 上体を捻じり紙一重で避け、ダガーを腰の鞘に納めてから念じる。


 ラッシュ!


 手元が光り、体が勝手に動き出した。

 ラージラットの懐へと滑り込み、連打を放つ。

 命中してラージラットを仰け反らせたが、拳と手首が痛い。


 これは乱発できないな。

 両手をぶらぶらさせているとラージラットが体勢を整えて突進してきた。


 しぶといな。

 白兵戦がダメなら魔法だ。


 ファイアボール!


 手元が光った。

 右手から半透明の球体が現れ、掌に火の球が形成されていく。 


 おお、マホーが…!


 そのまま右手を前に出すと、火球が高速で前方へ飛ばされた。

 しかしラージラットには当たらず、その後ろの大岩にぶつかった。

 粉砕された岩を見て、ラージラットは動きを止めた。

 

 あれ、外した?

 っていうかアレあんなに威力あるの?


 ラージラットが振り向くと後ろ足で立ち上がり、威嚇してきた。

 半泣きに見えるのは気のせいだろうか。


 今だ。ラッシュ!


 鳩尾と顎に連打を放つ。

 仰け反らせてから左前足と首元を掴み、大外刈りを放った。

 4本足のモンスターだが、立ち上がっているときに後方に崩したから通用した。


 地面に叩きつけ、すかさず上に跨がる。

 喉元目掛けてダガーを振り下ろした。

 一瞬痙攣すると、ラージラットは動かなくなった。


 聞きなれた合成音声がする。

 しかし今度は内容が違う。


Lvが上がりました

Lvが上がりました

Lvが上がりました

Lvが上がりました

Lvが上がりました

Lvが上がりました


 ほわっつ。

 レベルが結構上がったぞ。


 動かなくなったラージラットの首からダガーを抜き取り、尻尾を切り取った。

 地面がひび割れて凹んで見えるが、元からそうだったのかな?


 アイテムボックスを開いて尻尾を入れると、ラージラットの首の辺りがキラリと光った。

 探ってみると、血まみれだが青い石が出てきた。

 拳大でずっしりと重量感がある。


 これが魔石かな?

 一応アイテムボックスに入れておこう。


 それにしてもラーニングは凄いな。

 他にも戦闘用スキルはあるけど、よく考えて使わないとな。

 例えばバーサクは自分がどうなるか分からないから、一人の時は使えない。

 かばうなんて論外。庇う対象がいない。


 サーチは使う前に向こうから飛び出してきたしなあ。

 あ、テイムを試してみればよかったな。

 でも大きな鼠はテイムしたくないな。

 次のモンスターで試してみよう。


 これからもスキルは全て検証する必要があるな。

 ラベンダーもそれなりに摘んだし、そろそろ帰るか。




◇◇◇


斉藤優樹

ヒュム

Lv7

Fランク冒険者

ジョブ 見習い 

    ┗ 狩人

    ┗ 探索者

    ┗ 剣士

    ┗ 拳闘士

    ┗ 重騎士

    ┗ 狂戦士

    ┗ テイマー

    ┗ 魔法使い

    ┗ 神官

    ┗ 考古学者

    ┗ 武器職人

    ┗ 男娼

    ┗ 商人

見習いスキル

 ・サーチ

 ・潜伏

 ・ダブルスラッシュ

 ・ラッシュ

 ・かばう

 ・バーサク

 ・テイム

 ・ファイアボール

 ・ヒール

 ・鑑定

 ・絶倫

 ・アイテムボックス

体力25 (+70)

魔力12 (+90)

筋力21 (+120)

耐久18 (+120)

敏捷17 (+130)

器用17 (+170)

ジャージ サンダル ダガー

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