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5話 初クエスト受注

 ギルドに戻るまでの間に3回ほどモンスターと遭遇し、全員のスキルをラーニングすることができた。


 ステータスウィンドウを開いて確認する。


斉藤優樹

ヒュム

Lv1

Fランク冒険者

ジョブ 見習い 

    ┗ 狩人

    ┗ 探索者

    ┗ 剣士

    ┗ 拳闘士

    ┗ 重騎士

    ┗ 狂戦士

    ┗ テイマー

    ┗ 魔法使い

    ┗ 神官

見習いスキル

 ・サーチ

 ・潜伏

 ・ダブルスラッシュ

 ・ラッシュ

 ・かばう

 ・バーサク

 ・テイム

 ・ファイアボール

 ・ヒール

体力7 (+60)

魔力0 (+60)

筋力6 (+90)

耐久5 (+60)

敏捷4 (+100)

器用3 (+80)

ジャージ サンダル ダガー ダガー


 バーサクとテイムはリザードマンから、ファイアボールとヒールは魔女っ娘と金髪少女からラーニングした。

 ジョブと恩恵もそれぞれ授かった。

 狂戦士、テイマー、魔法使い、神官だ。

 恩恵は重複するようだ。  


 それにしてもこのラーニングは異常だ。

 普通ラーニングといったら喰らったスキルだけを習得する。

 俺の場合は見るだけで習得でき、さらにはそのジョブと恩恵まで貰える。


 サーチやテイムがラーニングできたから、対象は普通のスキルでも種族別特異体質技(レイススキル)でも関係ない。

 ラーニングしたスキルのジョブも無差別に習得できるようだ。

 その証拠に中二君とリザードマンは狩人でもテイマーでもないのに、そのジョブと恩恵を授かった。


 文句を言っているわけではないが、気にはなる。

 気になるといえば、もう一つ。

 

「ルルカ達はジョブ貰う前から同じスキル使ってたけど、新しいスキルは解放されなかったのか?」

「言ったでしょ。魔法はヒュムの種族別特異体質技(レイススキル)よ」


 素っ気なく言われる。

 魔法スキル解放で得られるのは習得済みのファイアボールということか。


「じゃあなんでスキルがダブるようなことをしたんだ?もったいなくないか?」

「そんなことないわよ。私たちは恩恵が欲しくてこのジョブを狙ったから、スキルは二の次。いくら魔法が使えても、もし剣士なんかになったらそれこそもったいないわよ」


 たしか剣士は体力、筋力、耐久が上がっていたな。

 魔法使いは魔力が爆上げされていた。

 なるほど、魔法特化の道を選んだわけか。

 

「まあ、あのリザードマンみたいに種族別特異体質技(レイススキル)をオマケみたいに考える冒険者もいるけどね」

「あれはあれで恐ろしいけどな」


 リザードマンが狂戦士化しただけでも怖いのに、モンスターまで差し向けられたら堪ったもんじゃない。

 それにテイムしたモンスターがサポートしてくれるわけだから理にかなっていると思うが。


 最初の小部屋に到着し、階段を上った。

 重たい扉を開くと、リイナが笑顔で出迎えてくれた。

 無事にギルドに帰還できたようだ。


「お疲れさまでした。挑戦者8名全員、神の祭壇へと辿り着き、世界神よりジョブを授かった様で何よりです」


 リイナと一瞬目があった。

 期待されていただけに落胆させたくない。

 女子達と同じ冷たい反応をされるのかと思い心臓が縮み上がったが、優しく微笑まれた。


 見習いのジョブが可笑しく思わないのかな。

 それとも俺が何のジョブなのか知らないのかな。

 知ってたら、なにかしら反応を示すだろうに。


 うん、そうだな、それだ。

 たぶん知らないんだ。 

 知らないと言って。


 そしたら隠し通すから。

 剣士ですとか言って誤魔化すから。

 バレなきゃ問題ナッシング。

 

「それでは皆さま、ライセンスカードを提示してください。ジョブを確認し、ライセンスを更新させていただきます」

 

 ちくしょう、やっぱバレんじゃねーか。




 エントランスホールへと戻ると皆が解散していく。

 パパスーツと甲冑が魔女っ娘と金髪少女に話しかけている。

 パーティーを組むつもりだろうか。

 はたから見たらナンパだが。

 

 俺も誰かとパーティーを組もうかな。

 どうせなら新人同士、それも顔見知りのほうが良いだろう。

 辺りを見渡すと、みんな背を向けている。


 そうか。それもそうだよな。

 見習いなんかとパーティーを組んでくれる奴がいるはずもない。


 でもせっかく冒険者になったんだ。

 このまま諦めるのもいやだ。


 仕方がない。ソロで行くか。

 ネトゲでもソロだったし、一人旅の勝手は分かるつもりだ。


 ラーニングのことは絶対に秘密にしよう。

 他者のスキルを盗めるってのは反則だ。

 そう考えたらソロのほうが都合がいいかもしれない。


 左端のカウンターへ行くとリイナが戻っていた。

 ジュリアと話し込んでいる。


「よお、おめっとさん。ジョブなんだった?」

「見習いっていうのになりました」


 小声で言う。

 いくらラーニングがあっても名前は最底辺ジョブだ。

 周りの奴らに聞かれたくない。


「なんだそりゃ。聞いたことのないジョブだな。スキルは?」

「何も」


 ラーニングの事は秘密だ。


「そうか。まあジョブチェンジすりゃ大丈夫だろう」


 カウンターに寄りかかり、交差させた腕に胸を乗せたジュリアが言う。

 ギルド内だからだろうか、防弾チョッキは着ていない。

 スライムのような流線形フォルムがぽよぽよと動く。


 ノー…ブラ…?


 やばい、視線。


 必死にジュリアの目だけを見る。


「違うジョブにもなれるんですか?」

「まあな。希望ジョブになるための最低条件を満たせば、ジョブチェンジ試験の受験権利を得られる。そしたらギルドで試験を受けて、合格したら儀式を受けてジョブチェンジだ」


 ジョブチェンジできるのか。朗報だ。

 でも条件付きか。


「なるほど。ところで見習いというジョブについてなにか知っていますか」

「さあな。リイナ知ってるか」


 姿勢はそのままに顔だけを受付嬢に向ける。

 スライムもそれに倣いぽよんと跳ねる。


「申し訳ありません。調べてみないと分かりません」

「やっぱ見習いなんてジョブは知らんか」


 リイナは返事替わりに困ったような愛想笑いを返した。

 ギルド職員ですら知らないジョブって。


「因みにジョブチェンジの最低条件というのは何を基準に?」

「基本的に実績と身体能力だな」

「なるほど。ではステータス値が規定数に満たないと駄目なんですね」

「そういうこった」


 ラーニングしたジョブの恩恵が全て重複してるから、絶対に条件満たしてると思う。

 でも今はこのままでいよう。

 ジョブチェンジしたらラーニング出来なくなると思う。

 これは手放せない。


「分かりました。ご丁寧にありがとうございます。でもとりあえず冒険者になったけど、これから何をすればいいんでしょうか」

「普通ならクエストを受けて、金を貯めながら経験を積んでいって、冒険者ランクを上げていくぞ」

 

 クエストを受けて金を稼ぐのか。

 つまりクエストを受けないと無一文ってことか。

 一回のクエストでどれくらい稼げるかは知らないが、大変になりそうだ。


「リイナさん、知っての通り冒険者になって初クエストなんですが、俺は多分一人でやることになります。何か良い案件ありませんか」

「安全面で言えば常駐クエストの薬草採取がお勧めですね。他にはラージラットがありますが」


 即答。ぼっちの事については何も言ってこない。

 察してくれたのか。

 それはそれで悲しいものがある。


 しょげてる場合じゃないぞ。

 情報収集せねば。


「薬草ってなにを取ってくればいいんですか?」

「ラーベンダという植物です。こちらに見本があります。東外区の外壁を出て三十分ほどの森に生えています。これを根ごとお持ちいただければ、一本十ドルクで引き取らせていただいています」


 紫色の押し花がカウンターに置かれた。まんまラベンダーだ。


「安いですね」

「モンスターがいない入口付近に大量に生えていて、非常に安全なクエストですので」


 安全で簡単なクエストは報酬も安い、と。

 まあ当然だろうな。


「ラージラットは?」

「こちらは同じ東の森を少し進んだところに大量発生したラージラットの討伐クエストです。討伐部位と魔石をお持ちいただければ、その分報酬をお支払いいたします」

「討伐部位?」

「ラージラットの場合、尻尾です。尻尾一本でラージラットを一体討伐したとみなされます。報酬は一体につき500ドルクです」


 500ドルクの価値がいまいち分からないが、Fランクモンスターだという事は安いのだろう。


「魔石って?」

「モンスターの体内には魔石があります。討伐後、魔石を取り出し、討伐部位と一緒にお持ち頂くことでご自身で討伐された証拠になります」

「そんなことする必要あるんですか。証拠は一つでいいんじゃ」

「魔石は買えます。討伐部位も大体の場合は調合や鍛治の材料なので、割と簡単に手に入ります。二つとも持ってきていただくのはズル防止のためです」

 

 なるほどね。

 どの世界にも穴を突いてくる輩はいる。


 それにしても尻尾を集めなければならないのか。

 袋とかに詰め込んだらスプラッタになりそうなんだが。

 普通はどうやって持ち運ぶんだろう。


「どうやって持ち運べばいいんでしょうか」


 疑問に思っていても仕方がないので素直に聞いてみる。


「革の袋などに入れて頂ければ結構です」


 まんまかい。

 嫌だな、血まみれの袋を持ち運ぶの。


「不便だよな。アイテムボックスとか使えたら便利なんだがな」


 ジュリアが頬杖をついて言った。


「なんです、それ」

「商人のスキルだよ。大量に物を入れることができる収納魔法だ」

「へえ、ジュリアさんは使えないんですか」

「無理だな。考古学者のスキルは鑑定だ。こうやって鑑定したいものをじっとみて、鑑定と念じれば、それが何か分かるんだ」


スキル 鑑定 をラーニングしました。

考古学者のジョブを授かりました。

考古学者の恩恵を授かりました。


 おう。棚ぼた。

 ありがとうございます。


「ユウキは革袋を使うしかないな。ここで買えるぜ」

「一袋100ドルクです」


 金ないがな。


「えっと、それは次の機会に。今は薬草採取の方で」

「かしこまりました。それではこちらの書類にサインをお願いいたします。常駐クエストですのでキャンセル料等はございません。ご安心ください」

「キャンセルしたらお金を払うんですか」

「手数料と、クエスト依頼主へのいわば迷惑料だ。クエストに失敗しても罰金取られるぞ」


 ジュリアが補足する。


「じゃあ迂闊にクエスト受けられないじゃないですか」

「そうだな。まあ地道にがんばれ。大丈夫、ユウキならすぐに高ランククエストを受注できるようになるさ」


 何を根拠にそんな事言うんだい。

 とりあえず言われるがまま書類の一番下の欄にサインをしてリイナに渡す。


「ありがとうございます。これで薬草採取クエスト受注完了です。頑張ってくださいね」


 リイナが笑顔を返してくる。

 ビジネススマイルだと分かっていてもドキリとしてしまう。


 女性に免疫がない自分が恥ずかしい。

 DTだとバレていないだろうか。


「最初は厳しいが、めげずに頑張んな。女にもそのうち慣れるさ」


 ジュリアに背中を力強く叩かれた。

 ばれてーら。


「その初々しさが逆に旨そうなんだがな」

「ちょ、ジュリアさん!?」


 リイナが赤面して慌てふためくが俺には何のことか分からなかった。




◇◇◇


斉藤優樹

ヒュム

Lv1

Fランク冒険者

ジョブ 見習い 

    ┗ 狩人

    ┗ 探索者

    ┗ 剣士

    ┗ 拳闘士

    ┗ 重騎士

    ┗ 狂戦士

    ┗ テイマー

    ┗ 魔法使い

    ┗ 神官

    ┗ 考古学者

見習いスキル

 ・サーチ

 ・潜伏

 ・ダブルスラッシュ

 ・ラッシュ

 ・かばう

 ・バーサク

 ・テイム

 ・ファイアボール

 ・ヒール

 ・鑑定

体力7 (+70)

魔力0 (+80)

筋力6 (+100)

耐久5 (+80)

敏捷4 (+120)

器用3 (+100)

ジャージ サンダル ダガー ダガー

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[良い点] ホンマ棚ぼたやったな~!異世界の必需スキル鑑定をラーニング出来たのだから! [気になる点] 主人公!アイテムボックスのラーニングチャンスを見逃すなよ~!
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