13話 あくまでも戦闘奴隷です
奴隷を購入した。
これは戦闘奴隷だ。
やましい気持ちはない。
ないったらない。
ベルモント亭に戻ると、日はとっぷりと暮れていた。
明け方薬草採取に出かけ、夕方ギルドに戻り、ロイとバトルしてから奴隷商館に寄ったのだ。
これほど密な一日は久しぶりだ。
「おう、お帰り」
ジェンが出迎えてくれた。
後ろにいるアイカをちらりと見る。
「どうも。同じ部屋に二人で泊まれますか」
「構わないよ。料金も部屋単位だから150ドルクだ。それとも、二人部屋にするかい」
「いえ、このままでお願いします]
150ドルク支払い、部屋へと向かう。
アイカについてなにか聞いてくるのかと思っていたが、スルーされた。
奴隷を買うことはふつうの事なのだろうか。
それとも奴隷とは思われていないのかもしれない。
こんな夜更けに男の宿泊客が女の子を連れてきた。
口を出すのは野暮というものだ。
廊下を進み、部屋に入るとアイカも一緒に入ってきた。
入ってきてから入ってきたことに気づいてびっくりした。
一緒の部屋に泊まるのだから当たり前のことだが。
心臓がはち切れんばかりだ。
「暫くはこの旅亭で過ごすことになると思う。あの人は女将さんのジェンさんだ」
ドギマギしながらアイカに話しかける。
クローゼットを開け、ジャージを脱がせてハンガーにかける。
鞘付きのベルトを外すと、ダガーが折れたままでいることを思い出した。
でも今はそんな事はどうでも良い。
ジャージを脱がせたことで追尾ミサイルが発射されたのだ。
雨合羽という煙幕で隠れているが、確実に俺の視界に向かって飛んできている。
こういう時は見ないように振る舞うのが紳士というもの。
頑張って見ないようにする。
が、脳内で警報が鳴り響く。
デフコン1!デフコン1!
ミサイルを2機確認!
こちらに向かってきています!
思い切り顔を横に振り、視界に入れないように頑張る。
だが相手はホーミングミサイルだ。
なぜか再び視界に入ってきた。
無意識に自分でミサイルの弾道に入ってしまった、ということはない。
首があらぬ方向に曲がって鞭打ちになった、ということもいない。
ないったらない。
くっ。このままでは被弾する。
防御せねば。
一体どうすればいいのか。
➤回避するために煙幕を手で取り払い、ミサイルが良く見えるようにする。あくまでも回避するために。
➤被爆ダメージを最小限に抑えるために両手で追尾ミサイルを発射台ごと抑え込む。あくまでもダメージを最小限に抑えるために。
➤ダメージ覚悟でミサイルを受け、カウンターとして自前のミサイルで敵の本丸を撃ち落とす。あくまでもカウンター目的として。
こ、これは正当防衛だ。
そうだ、向こうが先に攻撃を仕掛けたんだ。
オレワルクナイモン。
悶々と訳の分からない思考を巡らせているとドアがノックされた。
「ジェンだよ。今、いいかい」
ちっ。
「これやるよ。前の客が忘れていったものだ。その子に着させてあげな」
ドアを開けると畳まれた布が渡された。
広げてみると服だった。
マキシワンピースのようなドレスと、ゆったりした白いタンクトップ、そしてグレーのショートパンツだ。
「その長いのは普段着、あとは寝間着だ。どうせ捨てるものだからあげるよ。今着てるのよりか断然いい」
礼を言ってアイカを見ると、何も言わず頭を下げている。
発言しないのは奴隷だからだろうか。
「リイナから聞いてるよ。戦闘奴隷を探してたんだってね。一人見つかって良かったじゃないか。こんなべっぴんさんを買ってくるとは思わなかったけどねぇ」
含んだ笑みを投げかけてくる。
「あ、あの、ところで、お風呂とかはありますか」
「風呂ぉ?そんな豪華なものあるわけないよ。体拭くのかい?」
「ええ、まあ」
「桶とお湯ならあるから持ってきてやるよ。他に何かいるかい」
「んー…何か必要なもの、ある?」
「いえ」
アイカに聞くと断られたが、ボサボサの髪を見て思った。
「手ぬぐいと櫛をお借りできますか」
「はいよ。ちょっと待ってな」
ジェンが退室するとアイカが口を開いた。
「優しいお方ですね。お洋服までいただいてしまって、よろしかったのでしょうか」
「うん、俺も助かってる。捨てるものだって言ってたし、いいんじゃないかな」
こんなルーズな防具を装備したら防御力よりも攻撃力が上がりそうなのだが。
戦力強化のために是非装備してもらう他ないな。
そう、戦力強化のために。
「ところで、ご主人様。今さっきお風呂と言いましたが、お風呂に入られたことがあるのでしょうか」
「あるけど、こっちでは珍しいの?」
「王侯貴族ならば珍しくはありません」
おおう、カルチャーギャップ。
お風呂と言ったのは軽率だったかな。
「そっか。俺は遠くの田舎の出で、知らないことも沢山あるから。常識だと思える事も実はあまり知らないんだ。だから色々と教えてくれたら嬉しいな」
「そうですか。かしこまりました」
ドアが再びノックされ、桶を持ったジェンが顔を出した。
桶の中には薬缶、手ぬぐい、櫛が入っている。
「はい、どうぞ。ごゆっくり」
ジェンのにやけ顔を無視してドアを閉めた。
「とりあえず体を拭こうか。こっちにおいで」
「はい」
アイカを対面に立たせる。
「じゃ、じゃあ体を拭くから」
「はい」
「…フク、ぬがセるかラ。カラダ、フクカラ」
「…はい」
声がめっちゃ裏返った。
恥ずかしい。
ゆっくりと雨合羽を下から捲っていく。
白い素足が露わになった。
下着を期待してワクワクドキドキしながら捲っていく。
我ながら下賤だ。
だがその感情を頭の隅に追い立て、続ける。
だって男の子だもん⭐︎
太ももが見えた。
もう少し。
突然手が止まる。
思考も止まる。
「えっと…どうかしましたか」
「ナ、なにモ履いてないの?コノ下」
「ええ、これだけですが」
アイカがそれがどうした、という顔をしながら雨合羽をピラピラさせる。
「し、下着トカ、肌着とか、ナイノ」
「奴隷ですから」
あっぱれ、異世界文化。
おちつけ、俺。
おちつけ、マイサン。
すーはーすーはー。
よし、続行。
胸まで捲ると、隠れていた山脈の麓が見えた。
色白でふくよかで、今にもこぼれ落ちそうだ。
そのまま一気に脱がせると、ピンクの頂がぷるんと跳ねた。
ツンと上を向くそれは、天を穿つドリルの如く。
お、押し倒したい。
ギガなドリルでブレイクァァしたい。
落ち着け、俺。
ファイトパゥワーだ。
体を拭くのが先だ。
すーはーすーはー。
よし、まだ大丈夫。
「そこ、座って」
「はい」
アイカをその場に座らせる。
桶にお湯を入れ、手ぬぐいを温めている間に垂れ耳を手に取った。
フニフニとして、それでいて心地よい硬さだ。
まんま犬耳だ。
温めた手ぬぐいを固く絞ったあと、垂れ耳を拭くと、ぴくぴくと動いた。
「気持ちいい?」
「はい、とっても」
耳の後は顔を拭いた。
顎をクイッと持ち上げ、首を拭く。
髪を後ろから束ねて避け、頭を傾げるように促すと白く細い頸が見えた。
その角度のまま見つめられた。とてつもなく愛おしく感じた。
手ぬぐいを温めなおし、肩、腕へと滑らせる。
そして本命である胸へと手を伸ばした。
柔らかい感触が手ぬぐい越しに伝わってくる。
体は火照っているが、部屋の中は肌寒い。
そのせいか、二つの勃起をはっきりと確認できた。
あっぱれ、老舗旅亭。
薄い壁のボロ部屋をこれほどありがたいと思ったことは今までにない。
しばらくマッサージしていると、アイカが吐息を漏らし始めた。
押し倒したい衝動に駆られるが、まだだ。
まだ最後まで洗っていない。
自分も洗っていない。
我慢、我慢。
櫛を手に取り、ボサボサの髪を丁寧にとかしていくと、胸まで伸びたストレートヘアーに豹変した。
そのまま髪を洗うために前かがみにさせた。
ら。させた、ら。
お、おっぱいが。
凶器的な質量を持つおっぱいが。
重力理論を証明するかの如くぶら下がった。
谷間から下腹部が見える。
正座しているので見えそうで見えない秘所が俺の探検意識を向上させる。
濡れた髪から除くのは、ぱっちりした大きな目。
男殺しな上目遣いで俺を見つめてくる。
くうっ。
辛抱たまらん。
思考が加速度的に冷静さを失っていくのが分かる。
でも今押し倒したら、そこまでの男だったと思われてしまう。
それはだめだ。
御主人様としての威厳を示さねば、威厳を。
「せ、背中を流すから後ろを向いてくれ」
「はい」
後ろに回り、髪を束ねて両手を頭に乗せるよう命じる。
おっふぅ。
逃げたつもりだったがやばい。
こっちはこっちでやばい。
贅肉のついていない細い体に似合わない巨乳。
後ろから見ても両脇からコンニチハをしてくるほどに大きい。
アイカが体を動かすたびに二つの曲線が左右に揺れる。
重力理論に続き、慣性の法則まで実証してくれている。
背中を拭き終え、腰をみるとしっぽがあった。
お湯で汚れを落とし、櫛で丁寧に整えるとふさふさになった。
ゆっくりと堪能しながらアイカの体を拭いていく。
じっくりと隅々まで。
丹念に、入念に。
味わいながら拭いていく。
拭き終わったらこっちが汗だくになっていた。
「ご主人様もお拭き致しましょうか?」
汗だくの俺を見てアイカが聞いてきた。
もちろんお願いしましたとも。
体を拭き終えると、ジェンからもらったタンクトップとショートパンツに着替えさせた。
懸念した通り、この防具を装備したら攻撃力が爆上がりした。
隙間が大きく、露出が多い。
肌着もつけていないので薄地の白いタンクトップは隠すものをはっきりと隠せていない。
めっちゃ透けてる。
やばい、理性が。
もう持たないかもしれない。
するとお隣さんがハッスルタイムに突入した。
声を抑えているがはっきりと聞こえる。
硬直した体にアイカが胸を押し付け、上目づかいで見つめてきた。
もうダメだ。
もうアカン。
アイカは一晩中、声を抑えなかった。
所詮そこまでの男でした。




