86話
三人称視点で書いてみました
基本的には一人称だけど、たまにはこういうのもいいよね
一方ミーくんが風呂場で全身を洗われている頃、シアンは屋敷の2階にある執務室を訪れていた。
コンコン
「お父様、シアンです。ただ今帰りました。」
シアンがそう言うと、ガチャッと音がしてドアがひとりでに開いた。
と言っても、何か不思議な力が働いた訳でも、ドアが魔道具ということでもない。
執務室にいる使用人が部屋の内側からドアを開けたのである。
部屋に入ったシアンを出迎えたのは
「おかえり、シアン。遅くなったようだけど、何かあったのかな?」
そう言って愛娘に微笑みかけるのは、この屋敷の主人であり町の領主、そしてシアンの父親であるユーキ・アルドレット。
そして先程ドアを開けた使用人、アリシアもドアを閉めてから、ユーキの傍に控えている。
ところが、そんな親子の帰宅のやりとりも早々に、シアンはユーキに本題を切り出した。
「お父様、実は今日町で…」
そうしてシアンは父に、町で起きたことを話し始めた。
「なるほど、町にオーガが…。」
「はい、今、魔物館の館長さんに詳しい状況をまとめてもらっています。」
「魔物館と言うと…ああ、彼か。彼はあれでとても優秀な人物だからね。彼に任せておけば大丈夫だろう。明日の昼にでも使いを送って…」
コンコン
再び部屋にノックが響いた。
次に執務室を訪れたのは…
「失礼します。シアンお嬢様の護衛使用人、エイラです。入室の許可を。」
ミーくんを洗い終え、更に食堂にも運び終えたエイラだった。
「ああ、君か。入ってくれ。」
そうユーキが言うと、アリシアがまたドアを開け、エイラが入室した。
「やあエイラ、シアンから話は聞いたよ。体は大丈夫かい?」
「ご心配いただきありがとうございます。幸い、怪我などは何も。しかし…」
エイラはそこで言葉を1度切り、少し間を開けて言った。
「しかし、魔物を前に自身の無様を晒しました。この失態をどう償えばよいか…」
「失態なんかじゃないわ!」
ところが、シアンがそれ以上言わせまいと、エイラを遮って言った。
「私はかすり傷1つないわ!それはあなたが立派に護衛の仕事を果たしたからよ!それにあなたのおかげで町は守られたの!失態なんかではないわ!」
「お嬢様…。いえ、しかし…」
しかし、またしてもエイラの発言は遮られる。
「オーガが相手では仕方の無いことさ。」
遮ったのは、ユーキだった。
「いくら元Sランク冒険者と言っても、それはあくまでパーティでの評価だ。1人で出来ることには限界がある、それは私も良く弁えてるつもりさ。それより今は君の無事を喜ぼう。」
「ご主人様…。」
「それでも気になるようなら、そうだな…これからの働きで取り返してくれ。これからも娘をよろしく頼むよ。」
「私からも、よろしく頼むわ!」
「は、はい!」
そうしてシアンとエイラは一連の報告を終わらせ、ユーキの執務室を出ていった。
そして、2人が十分離れてから、執務室に残ったユーキは小さな独り言を呟いた。
「白いローブに、神の意思、暴れだしたオーガか…きな臭いな。」
その呟きは、誰に聞かれることもなく夜の闇に消えて言った。
ただ1人、傍らに控える使用人を除いて。
アリシアさんは内心
「お嬢様超可愛い!まじ天使!いやむしろ女神!hshs、hshs!」
って思ってます
嘘です




