72話
感想、評価、お待ちしてます〜
「さて、何から話そうかな。」
ご主人様はそう切り出したものの、正直に言うと俺も何から聞けばいいのやら。
と、アリシアさんがご主人様の料理を持ってきて言った。
「ご主人様、私たちは退出した方がよろしいでしょうか?」
「ああ、そうだね。頼む。」
「それでは、御用がお済み次第お呼びください。」
そういうと、アリシアさんは厨房にいたマルタを連れて食堂から出ていった。
…遂にご主人様と二人きりになってしまった。
「はは、そんなに緊張しなくてもいいよ。別に取って食べたりはしないさ。」
いやー、それはちょっと難しいかな…。
だってご主人様は…
「そうだ、改めて自己紹介をしようか。私はユーキ・アルドレッド。日本人の転生者である父と王国出身の母を持つ、この屋敷の主人で辺境伯の地位にある者だ。」
そうなのである。
転生者の子供ってだけでも俺にとってはビックリ情報だし、俺の飼い主であるシアンの父親であり、あまり詳しくないけど、辺境伯ってかなり偉いんじゃなかったっけ?
そんなこともあって、警戒とまではいかないけど、緊張をほぐすのはなかなか…。
「そうだ、なぜ君が転生者だと分かったかについてでも話そうか。」
!?
それは確かに気になる。
「なに、と言ってもそう大したことではないし、私以外に気づけるとも思わない。」
どういうこと?
「転生者には少し独特の雰囲気というか、波長のようなものがあるのさ。」
え、そうなの!?
でもシアンやエイラさん、カレンなんかは何も…いや、カレンは何か察してたのかな?
「と言っても普通の人は気付かないと思うがね。私は父と長く一緒に居たから、その辺りには聡いんだ。」
なるほど、ご主人様のお父さんの雰囲気に近いものが俺から出てたのね。
ちょっと納得。
「納得してもらえたかな?じゃあ次の話をしよう。次はそうだな…。」
ご主人様はあごに手を当てながらブツブツ呟いている。
ん?今ニンジャとかサムライって言った?
「そうだ、君ももう気づいているかもしれないが、王国は父や君たちの世界から多くのことを学んでいる。それも転生者による所が多い。」
…やけに元の世界に近いものがあったり、逆に全然発展していないものがあると思った。
この世界の文明のギャップがすごいのはそのせいか。
例えば、この世界はガラスが高価だ。
その反面、食べ物のクオリティは元の世界と遜色が無いし、畜産もかなり進んでるようだ。
電気が無いと思えば、その代わりに魔道具と呼ばれるアイテムが灯りをつけていたりする。
転生者が持つ限られた知識だけを元に発展した、ってところかな。
と、話の途中だった。
「特にうちなんかは、父がイベント好き、お祭り好きだったおかげで、その方面の話しはうちが持つ、みたいなところがあってね。君たちの世界のクリスマスやバレンタインなんかも父がこの世界に定着させていったんだよ。」
え、この世界にもクリスマスとかあるの!?
「おっと、話しがズレてきた。で、父が言っていたことの1つに、転生者は信用に値する人物が多い、というのがあるんだ。これが私がシアンに君を飼わせることを認めた大きな理由だよ。」
どういうことだ?
「この話を聞いたのは私が幼い頃だったから、正確には思い出せないが…なんでも転生者は選定された魂がどうとか、色々と条件があるらしいんだ。そして、それらの条件を満たす魂はほとんどが善良なものだから信用に足る…と言っていた気がする。」
いや、あやふやだな!?
「まあ実際、今の王国の基礎を築いた初代国王の宰相も転生者だという伝承があるんだ。他にも多くの転生者が王国を豊かにしてくれた。転生者を信じるにはそれで十分さ。」
国の制度を転生者が…!?
いわゆる内政チートってやつか。
「だから、君のことは信用しているんだ。…いや、本音を言うとやっぱり娘は心配だが…。まあいい、あの子は見る目が父に似て確かだ。」
あー、複雑な父心ですね。
転生者は信用出来るっていう事実と、娘が心配な父親としても気持ち。
「それに、今の君にはグレゴの契約が効いている。あいつの腕は確かだからね。それも君を信用する理由さ。」
ご主人様はあのおじさんと友達なんだったっけ?
ん?てことはご主人様って王族と仲がいいのか?
「そういう訳で、これからも娘をよろしく頼む
よ。」
そう言うとご主人様は綺麗にご飯を食べ終わって、アリシアさんを呼んだ。
なんか今日1日で情報が多すぎて頭の中がぐちゃぐちゃしてきちゃった…。
もう寝よう。
にしても、転生者って結構いるんだな。
ひょっとしたら、シアンの通ってる学校にもいたりして。
ようやく1日が終わる…




