66話
これは…アリシアさんの名前は分かったけど、同時にどんな感じの人かも分かってしまったかもしれない…。
アリシアさんの見た目は、紅色の髪を後ろで1つにくくっていて、少し切れ長の目のキリッとした表情、キッチリと着た使用人服、それに身に纏うオーラからして完全無欠のクールビューティ、出来る女!って感じなんだけど…。
これはあれだな、中身に爆弾を抱えている人だな!
そして報告会は何事も無かったかのように始められた。
「それでは報告をしてください。まずはミーシャからです。」
「はーい!それじゃあミーシャからしまーす!」
ミーシャが元気よく椅子から立ち上がった。
「午前中はご主人様とお嬢様のお服のお洗濯、サリーちゃんの教育と廊下掃除の手伝い、物置の整理をしたよー!」
え、結構働いてたんだな…。
実はミーシャも出来る女だったのか。
全然そんな風には見えないけどね。
「お嬢様のお服はどのように洗いましたか。」
ん?なんだこの質問?
「ちゃんと手で洗いましたー。いつもやってるのに信用ないなー。」
そういうとミーシャはぶー、と少し不満気な顔をした。
「あなたは水魔法が使えますからね。お嬢様のお服は1つ1つ手で丁寧に洗うべきものです。干しているのはいつもの場所ですね?あとで状態を見ておきます。」
んー、これは…?
あとご主人様の服はどうでもいいのかよ。
「では次はサリー、報告お願いします。」
「は、はい!」
あ、まともに戻った。
ミーシャが椅子に座り、サリーが立ち上がった。
「え、えっと、先ほどミーシャさんが言ってたように、お仕事を教えてもらって、廊下のお掃除をしました。」
朝見かけたやつだね。このお屋敷は大きいから大変だよね。
「道具は置きっぱなしでしたがね。」
「うぅ…。すみません…。」
あー、そこ突くか。
するとマルタがサリーを庇って言った。
「…アリシアさん、サリーを責めないでほしいです。…まだ仕事に慣れていないだけだと思うから。」
「別に責めてるわけではありません。はあ…次は気を付けてください。」
「は、はい!」
「では次、マルタ。」
「…。」
サリーが椅子に座り、マルタが無言で立ち上がった。
「…朝食はみんなが食べた通りです。…それと、お嬢様は朝が早いので、体を冷やさないようにスープをお出ししました。」
するとアリシアさんは大きく頷いた。
「素晴らしい配慮です。」
「…あとはお嬢様にお弁当のサンドイッチをお渡ししました。」
「ふむ、中身は?」
「…ブルーブルのお肉とビッグコッコの卵です。」
「なるほど、もちろんデザートもついているのですよね?」
…なんだこの報告?
「…エイプルをホーンラビットの形に切ったものを入れました。」
「流石です。お嬢様の好みを良く押さえていますね。」
…?
「あー、ミーくんは初めてだからわかんないかもっすね。」
カレン、どういうこと?
「つまりこの報告会って、お嬢様大好きなアリシアがお嬢様に関する報告を聞くのがメインな、半分アリシアの趣味の会なんすよ。まあ、もちろん仕事の話もするにはするんすけど。」
…なるほど。
実に会の名前通りだね。
「カレン、聞こえていますよ。お嬢様のことを理解することは仕事であって、決して邪な考えなどはありませ…」
「でもお嬢様のこと好きっすよね?」
「それはもちろん!」
これが邪じゃないは嘘では?
それからも30分ほど報告会は続いたが、さすがにその頃になると全員昼食も食べ終え、報告会も終わりのようだ。
「ではこれでお嬢様を影ながら愛でる会の報告会を終わります。」
「お疲れ様ー!さーて、それじゃあお部屋のお掃除してきまーす!」
「はあ、やっぱりこの会は慣れないっす。中庭に行くっす。」
「…片付けをします。」
「え、えっと、お風呂のお掃除をしてきます!」
「私はご主人様のところにいます。何かあれば報告を。」
おー、みんな仕事モードだ。
俺は午後から何をしようかな?




