番外編ミミズたちのハロウィン
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ある秋の日のこと。
「ハッピーハロウィーン!」
…はい?
こんな朝からどうしたのシアン?
「ミーくん知ってる?今日はハロウィンっていうお祭りの日なの!」
いや、ハロウィンは知ってるけど…。
まさかこっちの世界にもあるとは。
「このお祭りは私のおじい様が始めたんだけど、今じゃ国を挙げてのイベントになってるの。食べ物の恵みに感謝する収穫祭をさらに楽しくしたもので、子供には栄養の象徴であるカボチャを使ったお菓子をあげるの。」
シアンのおじいちゃんってことは、シアンのお父さんのお父さんだから…日本人だね。
なるほど、日本のお祭りをこっちに持ってきたのか。
もしかして他のイベントもあるのかな?
で、そんなシアンの格好なのだが…
「なんであんたはそんな猫みたいな格好をしてるわけ?」
あ、ノエルおはよう。
そうなのだ。今のシアンは、
ネコミミ&ネコ尻尾それにネコ手袋までも装着した完全状態なのである。
ネコミミ美少女(小学3年生)キタコレ!!
…じゃなくて、なんでこんなことに?
「これはね、オバケの変装なの。ハロウィンは収穫祭と一緒にご先祖さまが帰ってくるんだけど、中には悪いことをした人もいるから、その人たちにバレないようにオバケに変装して紛れるの。」
その格好だと顔丸出しだから変装にも紛れてもないと思うけど…。
とかは言っちゃだめなのかな?
「そういえば、あんた今日は学校はいいの?」
そういえば、今日は普通に平日だ。
ひょっとして…
「今日はハロウィンだから学校はおやすみよ。これからハロウィンの準備をしなきゃ。」
ハロウィンで休みとか何その学校!?最高じゃん!
「ハロウィンの元祖として恥ずかしいものには出来ないわ!最高のものにしましょう!あ、ミーくんとノエルちゃんも手伝ってくれるわよね?」
げ、まじで!?
わー、大変そう。
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ということで厨房にやってきた。
これから俺たちがするのは領地の子供に配る用のクッキーを作るらしい。
子供たちが来るのは夜だ。
ちなみに親御さんたちには簡単に摘める夜食が出される。
あとで食べれるのかな?
話を戻そう。
クッキーはまあ、焼き加減以外は割と簡単だし、はずれないよね。アレンジが可能なところもいい。
で、午前中に俺たちが手伝うのは生地を混ぜることだ。
え、なに?俺には手がないから無理だろって?
ふっふっふ。
忘れたのか!俺には植物使役があるのさ!
ツタを操作すれば泡立て器を掴んで生地を混ぜることなど造作もない!
「はい、これがミーくんの分。こっちがノエルちゃんの分ね。こぼさない様に気をつけてね。」
はーい。
ということで混ぜ混ぜスタート!
うおおおお!
植物使役を使って混ぜる混ぜる混ぜる!
しばらく混ぜると使用人さんがやってきて材料を加える。
また混ぜる。
さらに材料が加わる。
え?まだ混ぜるの?
さらに材料が加わる。
え、今度は切るように混ぜるの?
さらにざい(ry
…。
はあはあ、やっと完成?
あー!つっかれたー!
ドンッ
…何コレ?
え、2個目?
しかもまだまだあるって?
チラッと右隣を見るとノエルが涼し気な顔で3個目に取り掛かっている。
あ、ノエルは風魔法を使ってかき混ぜている。
魔法って便利ね…。
左隣を見るとシアンが額に汗をかきながら2個目に取り掛かっている。
シアンは実際に腕を使うからツタを使う俺よりも大変だよね…。
…やるか!
あー!疲れたー!
でもなんとか全部混ぜ終わった。
いやでも、ノエルさんまじパネェっす。
涼しい顔してらっしゃる。
逆にシアンは息絶え絶えだ。
「み、ミーくん、ノエルちゃん、ちょっと休憩にしよっか…。」
「あんたが1番休みが必要そうね。」
それな。
ということで、時間もいいぐらいなので昼食になった。
昼食は焼きカボチャに煮カボチャ、カボチャスープなどカボチャ尽くしだった。
カボチャウマー!めちゃくちゃおかわりした。
シアンはスプーンを持つ手がプルプルしてた。
ノエル、魔法であれ癒せる?
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午後からは寝かしていたクッキー生地の型抜き作業だ。
が、残念ながら俺は手伝えそうにないので見学だ。
ノエルがシアンの指示でクッキーを型で抜き、かまどに火魔法で火をつけクッキーを投入。
焼きあがったクッキーを風魔法で冷ましている。
ノエルさん凄すぎない?
便利過ぎでしょ。
一家に一台ノエルさん。
なんてことをぼーっと考えていると、使用人さんが少し焦った様子で現れた。
「お嬢様申し訳ありません。装飾用に用意していた分のカボチャの数が足りなくなりました。」
え、まじ?
「そんな!?カボチャはかなりの量を用意していたはずよ!?」
「食事用に使うものと装飾用に使うものの配分にミスがあったと思われます。申し訳ありません。」
あ、あれ?それってもしかして俺が昼食で食べ過ぎたせい…?
うわー!ごめんなさい!
「ど、どうしよう!?今からカボチャを用意するには時間がかかり過ぎちゃうし…!」
シアンがオロオロしている。
…ここは俺がなんとかするべきだろう。
「あら、あんた何とか出来るの?」
たぶん。カボチャの種があればゴリ押しではあるけど…。
「へー。シアン、こいつにカボチャの種をやりなさい。何とかできるらしいわ。」
「え!ミーくん本当!?」
うなずく。
「じゃあ、お願いさせて!あなた、急いでカボチャの種を持ってきなさい!」
「かしこまりました。」
さーて、上手く出来るかな?
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ところ変わって中庭。
もう日が暮れ始めている。
夜には領地の子供が来るから、それまでにカボチャを用意して、更にそれを装飾用に加工しなきゃいけない。
スピード勝負だ。いくぞ。
まず、カボチャの種を口に含み、俺の魔力を込める。
モゴモゴ、そろそろいいかな?
今度はこれを土に植えていく。
これはどこでもいいわけでは無く、魔力の多く含まれている土がいい。
となると…やっぱり俺の寝床かな。
しばらく寝れなくなりそうだから名残惜しいが、仕方ない。今度別の寝床を作ろう。
ということで元俺の寝床に種を植えていく。
そしてここからが大事だ。
俺の魔力を、量を調節しながら送り込み、植物使役も使用してカボチャに実をつけさせる。
これが難しいのだ。
普段はツタを使う程度しか使っていないが、その場合はさほど難しくない。
しかし実となると味や栄養、大きさなども考えて作らなきゃいけない。
そして、その分だけイメージや魔力を込めなければいけないのだ。
うわー、大変!
うぐぐぐぐ…。
ちょっとノエル!魔力の方少し手伝って!
「あーもう仕方ないわね!ほら、これでどうよ!」
ノエルの魔力も借りてカボチャを育てていく。
うおおおお!
少しして、俺たちの目の前には大量のカボチャが出来た。
はあはあ、こ、これでどうよ?
「すごい!ミーくん、ノエルちゃんありがとう!さあ、残りの時間に余裕は無いわ!ここからは私たちの仕事よ!」
そういうとシアンは使用人を引き連れて、大量のカボチャを厨房に持っていった。
がんばれ〜。
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そして遂に日が落ち、夜になった。
屋敷の飾り付けは…
何とか完成を迎えられたようだ。
カボチャをくり抜いて作ったランプやオブジェが屋敷を彩り、装飾していた。
カボチャからにじむ淡いオレンジの光は夜の闇と溶け合い、混ざり合うことで幻想的な空間を作り上げていて、そこはさながら別世界だった。
隣にノエルが来た。
「綺麗ね…。夢の中にいるみたい。」
そうだね…。頑張った甲斐があったなあ。
2人で景色に見とれていると、シアンが駆け寄ってきた。
「ミーくん、ノエルちゃん!今日は手伝ってくれて本当にありがとう!あとは子供たちにお菓子をあげるだけよ。親の案内は使用人たちがしてくれるから、あと少しよろしくね!」
もちろんその手伝いが終わったらご飯だよね?
「あんたはどれだけお腹が減ってるのよ?まあでもいいわ、あと少しやってやろうじゃない!」
おー!
「あ、そうだ!2人にもプレゼント!」
カポッカポッ
わ!?何かかぶせられた!
何コレ?
「きゃ!?何よこれ!?」
「うふふ、これは2人が作ってくれたカボチャで作ったかぶりものよ。とっても似合っているわ!さあ、行きましょう!」
こうしてドタバタしたハロウィンも、途中子供たちに俺やノエルがもみくちゃにされるなどのハプニングもあったが、最後にはちゃんとした形に終わり、領民たちもとても楽しそうに幻想的な夜の一時を過ごしていた。
たまにはこういうお祭り騒ぎもいいね。
ハッピーハロウィーン!




