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Episode 46:後編

Episode 46:後編


「百年の友情の盾と、ハイゲイトの電撃チェックメイト(J-O-H-N)」

霧の墓標に灯る、信管のあか

「ピピピピ……」


ゴシック様式の墓石が並ぶ静寂のハイゲイト墓地。ジョン・ワトソンの墓を包囲するように設置された、遠隔起動式の指向性地雷クレイモアのセンサーが、不気味な赤色の光を放ち始めた。地下の古い排水溝に潜む組織の残党が、名探偵ホームズを過去の因縁ごと爆破しようと、完全に信管をロックオンしたのだ。


(……爆発まであと45秒。地下からの電波を遮断し、地雷のエネルギーを完全に相殺しなければ、ジョンの眠るこの聖地が消滅してしまう!)


ホームズは短い手足で、墓標の前に並べたアルファベットブロックを再びカチャカチャと動かそうとした。しかし、タイムリミットの焦りからか、一つのブロックが苔の間に挟まって動かない。


[ J - O - H - N ]ジョン


(くそっ、ガジェットさえあれば一瞬でジャミング信号を送れるものを……! ハート君、私の目を見たまえ! ジョンの墓石の構造を利用するんだ!)


ハート刑事の「ジョン(JOHN)超翻訳・極限編」


「大丈夫よ、ホームズ! ワトソン博士の『ネオ・ハイパー・隠密地蔵(NHOJ)』の意志は、すでに私の写真記憶とパーフェクト・リンクしているわ!」


ハート刑事はトレンチコートの襟を立て、床……ではなく、墓石の前に並ぶ『JOHN』の文字を上下反転(逆さま)で網膜に焼き付けた。


「『N』『H』『O』『J』……ヌホジュ! 脳内保護ノーホ・ジェイル! ……あーーーーっ!」


(だから今度は医学用語みたいな脳内保護に変換したか!! 普通に『JOHNジョン』の……いや、待て。脳内保護ジェイル……隔離、包囲、そしてシールド……!)


「分かったわ、ホームズ! これは、ワトソン博士の頑丈な墓石の『大理石マーブル』を**『絶対不可侵のエネルギー保護シェルター(NHOJ)』**に見立てて、地下の電波を物理的に窒息ジェイルさせろっていう、世紀の医学的・破砕コマンドね!?」


(違う! 医学的ではない! ……いや、待て。ハート君の言っている『墓石の配置による電波の窒息』……。このハイゲイト墓地の東墓地は、ヴィクトリア朝の特殊な風水(幾何学レイアウト)に基づいて、鉄分を多く含んだ大理石が一定の比率で配置されている。あのジョンの墓石の横にある「崩れかけた大理石のアーチ」を地下の排水口へ叩き込めば、その質量と磁気によって、地下から地上へ送られる起爆電波を完全に『隔離ジェイル』して遮断できる……! ハート君、君の心霊医学妄想はノーベル賞の審査員も腰を抜かすレベルだが、電波を物理的に圧殺する『遮断点ベクトル』の特定だけは、やはり世界一の名探偵(私)と1ミリの狂いもない!)


百年の絆・グランドスラム

「ワトソン博士、あなたの最高の相棒ホームズは、100年後の現代でも私がしっかり守ってみせるわ! いきますよ、ヌホジュ・シールド・フィナーレ!!」


ハート刑事は、ハイゲイト墓地の深い霧をルブタンのヒールで激しく蹴り上げ、空間を割るように跳躍した。

彼女の脳内(写真記憶)では、墓地全体の幾何学マップが完全に立体化されている。


起爆まで残り10秒――。

(ジョンのためにも、大英帝国の正義のためにも、ここを戦火に晒させはしない!)


「ワン!」

ホームズが墓標の陰から、ターゲットとなる大理石のアーチの根元へ向かって吠え、正確な打撃ポイントを指示!


そのコンマ数秒の瞬間、ハート刑事の容赦のない、時空の因果律すら真っ二つに叩き割るほどの強烈な空中踵落としが、大理石のアーチへと炸裂した!


「てりゃぁぁぁーーーーっ!!!」


ズガァァァァン!!!


ハート刑事の規格外の脚力によって粉砕された巨大な大理石のブロックは、まるで精密に計算された砲弾のように地面を突き破り、地下の排水溝の開口部へと完璧に突き刺さった。数トンの質量による物理的な磁気遮断ジェイルにより、地雷の信管へと送られていた起爆電波は一瞬で100%完全に「圧殺」され、赤いライトは静かに消灯した。


排水溝の奥からは、「な、何が起きたんだ!? 地上の電波が完全に潰されたぞ!?」という残党たちの悲鳴が響き渡った。


眠れる相棒への静かな敬礼

まもなく、ハート刑事の通報によってヤードの特殊部隊がハイゲイト墓地の周辺を包囲し、地下に潜んでいた組織の残党は一人残らずタイホされた。


夕暮れ時、激しい戦いが嘘のように、ハイゲイト墓地には再び穏やかな薄霧と静寂が戻ってきた。

茜色の夕日を浴びるジョン・ワトソンの墓石の前で、ホームズはそっと前足を伸ばし、苔むした文字盤に触れた。


墓石の底から、「やれやれ、シャーロック。君の新しい相棒も、随分と賑やかで最高に破天荒なレディじゃないか」

という、あの懐かしい軍医の声が聞こえた気がした。


(あぁ、そうさジョン。言葉は通じず、私の『JOHN』という文字すら『脳内保護ヌホジュ』に翻訳されてしまうがね。……だが、彼女のまっすぐな正義とキックがある限り、100年後のロンドンも、私の魂も、絶対に退屈することはないさ)


ホームズはフッと満足そうに目を細めると、隣で「お腹空いたわね、ホームズ」と笑っているハート刑事の足元へトコトコと寄り添った。


「見てホームズ、ワトソン博士の墓石の周りの霧が晴れて、なんだか笑っているみたい! 今日の『脳内保護ヌホジュ』作戦、博士も天国で大絶賛してくれてるわよ!」


ハート刑事が、すっかり綺麗になった墓標を見上げて嬉しそうに親指を立てる。


(……だから絶賛ではなく、呆れているんだ、ハート君。だが……まぁ、ジョンの庭の平和が守られたのなら、名探偵の休日としては、最高の『水揚げ』かね)


「ワン!」と、夕暮れのハイゲイトの森に響き渡る、世界一知的な生の声。

過去の偉大な相棒への誓いを胸に、現代を生きる凸凹バディの絆は、霧の都の歴史の底へ、さらに深く、確かに刻み込まれるのだった。

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