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Episode 38:中編

Episode 38:中編


「黒と白のナイト・フォーク(C-H-E-S-S)――セント・ジェームズからハイド・パークへ」


第一の駒:1532年、セント・ジェームズ・パークの静寂

「到着したべ! ここがロンドン最古の王立公園、セント・ジェームズ・パークだべ!」


バーバラがパトカーのドアを開け、青々とした芝生と池が広がる美しい庭園へと飛び出した。ヘンリー8世が1532年に狩猟園として囲い込んだこの歴史ある場所の地下に、白猫の電磁パズルの「第1の基点」が隠されている。


ハート刑事は、ダッシュボードの特殊電波測定器の数値を鋭く睨みつけた。


「ホームズ、バーバラちゃんの言う通りよ。1532年の座標から、すでに不気味な超低周波パルスが地下の配管を伝って脈動を始めているわ。このままだと、次の『1536年』のハイド・パークの基点と同期して、パルスの出力が倍加してしまう!」


(ふむ。白猫の狙いは、チェスでいう『ナイト・フォーク(騎士の両建て)』だ。ヤードのサイバー班が通信回線を守ろうとすれば、物理的なインフラが破壊される。両方を同時に救うには、この公園の地下にある、かつてのヘンリー8世の狩猟園時代の古い地下貯水槽バンカーに仕掛けられた中継デバイストレードを、直接物理的にジャミング(切断)するしかない)


「ワン!」

ホームズはパトカーの助手席から軽やかに飛び降りると、池のほとりにある古い煉瓦造りの換気口へと迷いなく駆け出した。


バーバラの素直な「盤面解説ロジック・トレース

「ホームズ様、待つべ! その換気口の奥、1532年の基点は、ただ電源を切るだけじゃダメだべ!」


バーバラが地図と歴史資料を照らし合わせながら、素直にホームズの後に続く。彼女の澄んだ瞳が、白猫の冷徹なゲームの本質を見抜いていた。


「チェスのルールだと、相手の駒を奪うときは『その駒がいるマス(歴史の年号)』に自分の駒をぴったり重ねなきゃいけないべ。つまり、1532年の基点を止めるには、次のハイド・パーク(1536年)との『歴史の差分』――**【4秒間】**だけ、この換気口のメイン電子弁をぴったり同時にホールド(固定)しなきゃ、電磁パルスが次のマスへ強制ジャンプしちゃう仕組みだべ!」


(その通りだ、バーバラ君! 1536マイナス1532は『4』。白猫は歴史のタイムラインの差分を、そのまま電子トラップの解除コード(タイムラグ)に設定している! 君の素直で正確な盤面解説は、ヤードのスーパーコンピューターより頼りになるな!)


「ブロックのパズル(C-H-E-S-S)は、私たちに『チェスの定跡通りに、歴史のステップを踏め』って教えてくれていたのね!」


ハート刑事は、ルブタンのスニーカーの赤いソールをカチリと鳴らし、換気口の重い鉄格子の前で身構えた。


「バーバラちゃん、カウントをお願い! 私のキックのホールド力で、その4秒間の電子弁をノーリミッツにロックしてみせるわ!」

「いくべ、ハート姉様! 3、2、1……今だべ!」


「てりゃぁぁぁーーーーっ!!!」


ハート刑事の電光石火のヒールキックが、換気口の奥にある電磁バルブのレバーへと炸裂し、その強力な脚力でレバーを完全に固定した。


「1、2、3、4……ロック解除だべ!」


バーバラがストップウォッチをパチンと止めた瞬間、火花を散らしていた1532年の基点が「プシュー……」と静かに機能を停止した。


第二の駒:1536年、ハイド・パークの罠

「見事だべ! 第1の手はクリアだべ、ホームズ様!」


「いいえ、まだよ! 次のパルスはすでに、1536年――ハイド・パークの西側へ向かって盤上を走っているわ!」


ハート刑事はホームズとバーバラを再びパトカーに飛び乗らせると、サイレンを最大鳴らし、かつてウェエストミンスター寺院から没収された広大な王室狩猟場「ハイド・パーク」へと車を激走させた。


数分後、ハイド・パークの有名な「スピーカーズ・コーナー(演説広場)」に到着した3人の前に、異様な光景が広がっていた。


広場の中央、1536年の記念碑の周囲だけ、局所的な「静電気の霧」が渦巻き、周囲の電子機器が一斉にパチパチと誤作動を起こし始めている。


(……やはりな。第2のマス(ハイド・パーク)は、1532年よりもさらに強力な『ルーク(城兵)』の守りを固めている。白猫め、近づく者の生体電流をハッキングして、気絶させる気の高電圧フィールドを張っていおったか)


「ワン! ワンワンッ!」


ホームズは、静電気の霧の手前でピタリと足を止め、鋭い視線で霧の構造を観察し始めた。


「ホームズ様、ハイド・パークの次は1668年のグリーン・パークだべ……。歴史の差分は、1668マイナス1536で、今度は**【132】**だべ!」


バーバラがノートをめくりながら叫ぶ。

チェス盤と化したロンドンの中心で、次なる手(132秒の試練)が、凸凹バディとバーバラの前に巨大な壁となって立ちはだかる。盤上の戦いは、さらに激しさを増していく――!

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