Episode 3-後編
Episode 3-後編
白猫の影
指輪を返し終えた後、
ホームズは木の上を見上げた。
そこには──
白猫がいた。
その瞳は、まるで人間のように冷たく、知性を宿している。
(……やはり……モリアーティ……!)
白猫は静かに尻尾を揺らし、芝生の上に“何か”を落として去った。
ハートは気づかずに言った。
「ホームズ?どうしたの?
木の上に何かいるの?」ホームズは芝生に落ちた“それ”に近づいた。
それは──
新聞の天気欄の切れ端。
しかも、
白猫の爪痕がついていた。
(……これは……挑戦状か?)ハートが拾い上げた。
「え?これ……今日の天気欄……?
なんでこんなところに……?」
ホームズは心の中で呟いた。(ハート君……
これは偶然ではない。
奴は……我々を試している)
白猫の“芝生のメッセージ”ホームズは芝生の匂いを再び嗅いだ。
(……この芝生……ただの芝生ではない。
“何かを引きずった跡”がある)
ホームズは芝生の上を走り、
一本の細い線を追い始めた。
ハート
「ホームズ!?また何か見つけたの!?」
(この線……白猫が“何か”を引きずって歩いた跡だ)
芝生の線は、公園の奥の小さな池へ続いていた。
池のほとりに──小さな金属片が落ちていた。
ハート
「これ……何だろう……?」
ホームズ
(心の声)
(これは……指輪の“欠片”だ。
白猫は指輪を盗んだのではない。
“壊して”情報を隠そうとした……?)ハートは驚いた。
「え……指輪って壊れるの……?」
ホームズ
(普通は壊れない。
だが……奴ならやりかねん)
白猫は、ただのいたずらではない。
“指輪を壊して情報を隠す”
という意図的な行動。ホームズは確信した。
(……奴はただの猫ではない。
完全に……モリアーティだ)
新たな事件の予兆ハートは池の水面を見つめながら言った。
「ホームズ……なんだか最近、変な事件ばっかりだね……」
ホームズは空を見上げた。
(ああ、ハート君。これはまだ序章にすぎない)
池の水面に映る白猫の影が、ゆらりと揺れた。
(奴は……我々を誘っている。
次の事件へ……)
ホームズは静かに吠えた。
「……ワンッ」
ハートは笑った。
「うん、帰ろっか。次の事件も、一緒に解決しようね」
ホームズ
(もちろんだ、ハート君)
こうして、
指輪事件は解決した。
しかし──
白猫モリアーティの影は、
確実に近づいていた。




