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Episode 24:その4

Episode 24:その4


「アイリッシュ幽霊騒動と、消えた新婦(G-H-O-S-T)」


呪われた結婚前夜

SNSの炎上テロを解決し、ハート財閥の危機を救ったハート刑事とホームズ。帰省休暇の締めくくりとして二人が訪れたのは、ハート家の古い友人が所有する、アイルランドの険しい断崖に佇む旧家**【オーソドックス・マナー(格式ある邸宅)】**だった。


今夜、ここでは一族の令嬢の華やかな結婚式が執り行われるはずだった。しかし、邸宅に到着したハナコとホームズを迎えたのは、お祝いの拍手ではなく、親族たちの悲鳴と震え声だった。


「だ、誰か助けてくれ! ウェディングドレスを着た花嫁のキャサリンが……鏡の中に吸い込まれるように、消えてしまったんだ……!」


現場は、鍵の閉まった新婦の控え室。そこには、脱ぎ捨てられたパールのネックレスと、冷たく光る大きな姿見(鏡)だけが残されていた。


地元の使用人たちは、恐怖に顔を青ざめさせて囁き合っている。


「間違いない……この館に伝わる『鏡の幽霊ゴースト』が、美しい新婦を連れ去ったんだ……!」


(フッ、鏡の幽霊だと? オカルトもそこまでいくと滑稽だな。幽霊がパールのネックレスの留め金を、これほど鮮やかに工具で引きちぎるわけがない。……む、この鏡の裏から、微かに**『機械油』と『地下の泥』**の臭いがするぞ)


ホームズがドレスの残骸の周りを調べていると、鏡の隅の木枠に、犯人が鋭利な刃物で刻んだらしい4つのアルファベットを見つけた。

[ G - H - O - S ]


暗黒の控え室と、肉球のポルターガイスト

(ハート君、幽霊の正体は『鏡の裏の隠し通路』だ。早くこの姿見の額縁のロックを外すんだ!)


ホームズは短い前足で鏡の枠を必死に叩き、ハートのズボンの裾を引っ張った。


「ワン! ワンワンッ!」


しかし、突然館全体のブレーカーが落ち、控え室は完全な暗黒に包まれた。


「キャー! 停電よ! 幽霊のポルターガイストだわ!」


暗闇の中で親族たちがパニックに陥る。

ホームズはポケット・ビーグルの優れた夜間視力と鋭い嗅覚を頼りに、ハートの足元にあった緊急用のサイリウム(発光スティック)をパシッと前足で叩いて発光させた。

緑色の怪しい光が暗闇に広がり、ホームズが並べ替えた文字を照らし出す。


[ G - H - O - S - T ](ゴースト / 幽霊)

(パニックになるな、ハート君! 緑の光の先、鏡の裏にある隠しレバーを引くんだ!)


バディの「ウェディング・ゴースト」超翻訳

「『G』『H』『O』『S』『T』……ゴースト。幽霊……。……あーーーーっ!」


ハート刑事は緑色に光る文字を見つめ、ハッと目を見開くと、暗闇の中で自らの両拳をゴキゴキと鳴らした。


「分かったわ、ホームズ! あなた、今回の結婚式を盛り上げるために、私に**『ゴーストバスターズ風のサプライズ余興(GHOST)』**をプロデュースしてくれてるのね!?」


(なぜだぁぁぁーーー!! 本物の誘拐事件だというのに、なぜ新婦の控え室で『新婦の友人の激しい余興』が始まってしまうんだ!!)


「確かにさっき、館の歴史書(写真記憶)で『この邸宅の地下には、18世紀に造られた密輸用の巨大な地下ワインセラー(迷宮)がある』って記述を見たわ! あなた、その地下迷宮でお化け屋敷の仕掛け人(犯人)が、私のアクションを待ってるって言いたいのね!?」


ハートは感動のあまり、ホームズをハイビスカス柄のドッグウェアごと礼服の胸ポケットに押し込むと、鏡の裏の隠し扉(ホームズが前足でいじっていたレバー)を**「てりゃあ!」と力任せに蹴り破り**、暗黒の地下通路へと猛然と突入していった。


(違う! 余興ではない! ……しかし待て、地下の密輸通路だと!? 新婦を連れ去った犯人が、館の外へ誰にも見られずに脱出するルートとしては完璧だ。ハート君、君の超解釈は相変わらず狂っているが……やはり最短距離で事件の核心をブチ抜いている!)


地下迷宮のゴースト退治

地下の古いワインセラー。そこには、身代金目的で新婦キャサリンを誘拐し、拘束していた館の親族(借金まみれの叔父)の姿があった。


「ひひひ、結婚式が中止になれば、あの莫大な持参金は俺のものだ……。幽霊の仕業にすれば誰も追ってこん……」


「そこまでよ! ハート家のゴーストバスターは、花嫁の涙を見過ごさないわ!」


ハート刑事が闇を切り裂いて突入する。驚いた叔父は、目つぶし用の催涙スプレーを構えてハートに襲いかかった。


(ハート君、左だ! 樽の影に伏せろ!)


「ワンッ!」


ホームズはハートの胸ポケットから弾丸のように飛び出した。

ポケット・ビーグルの小さな体躯を活かし、地下の狭いワインラックの隙間を電光石火のスピードで駆け抜ける。ホームズは叔父の足元に転がっていた古いワインボトルを、短い前足で思い切り転がした!


ゴロゴロゴロ……。

「うわっ!?」

ボトルに足を乗せた叔父が派手にバランスを崩し、催涙スプレーが天井に向けて誤射される。


「てりゃぁぁぁーーーーっ!!!」


ハート刑事の容赦のない、地下の冷気を味方につけた鋭い飛び後ろ回し蹴りが、叔父の胸元にクリーンヒットした。

ドガシャーーーン!!


誘拐犯はヴィンテージ・ワインの樽に激突し、そのまま頭からワインを浴びて御用となった。

新婦キャサリンは無事に救出され、館のブレーカーも復旧した。

結婚式は1時間遅れで無事に執り行われ、新郎新婦の幸せそうな笑顔が会場を包む。


披露宴の最中、ホームズが会場のステンドグラスの窓枠の上を見上げると──

そこには、華やかなウェディングの光が乱反射する闇の中、タキシードの蝶ネクタイのような首輪を(どこからか調達して)巻いた、一匹の白猫の姿があった。


奴は、北アイルランドの古い館に眠る密輸通路の設計図を、あえてその叔父のデスクに忍ばせ、ホームズが「暗闇の密室」という盤面をどう解き明かすかを、ただ特等席で観劇していたのだ。

オッドアイが怪しく光り、白猫は「素晴らしい喜劇コメディだったよ」とでも言うように静かに一礼すると、ステンドグラスの向こうの霧へと消え去った。


「やったわねホームズ! キャサリンもすごく感謝してくれたわ! 」


ハートがホームズを抱き上げ、披露宴のローストビーフを一切れ分けてくれる。


(……モリアーティ、貴様が仕掛けるパズルが小さくなろうとも、私の論理の牙はすべて噛み砕く。

……おっと、その前にこのローストビーフを頂くとしようかね、ハート君)


「ワン!」と気高く鳴き、肉に飛びつく名探偵。

特別休暇は、琥珀色の鐘の音を響かせるのだった。

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