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Episode 60:中編

Episode 60:中編


「空中軌道のシンメトリー(W-I-M-B-L-E-D-O-N)――驚異のジャンピング・キャッチと、白猫の第2サーブ」

弾丸の軌道と、名探偵の「奇跡のキャッチ」

シュポォォォーーーーンッ!!!

時速180キロを超える猛烈な速度でマシンから射出された、白い爆弾テニスボール。それがセンターコートの芝生に触れて大爆発デッドロックを起こすまで、残り時間はわずか**【1.1秒】**!

「いっけぇぇぇーーー! ポチ君!!!」


ハート刑事の悲鳴にも似た叫びが響く中、ポケット・ビーグルのホームズは、緑の芝生を爆発的な脚力で蹴り上げた。その跳躍は、まさに大英帝国の正義のロジックそのもの。


(ふむ。風速、湿度、そして白猫の爆弾が持つ『20ミリの重心の偏り』によるスライス回転……すべて計算プロット通りだ。私の灰色の脳細胞フレームが導き出した空中交差点は――ここだ!)


ガシッ!!!

地面に激突する寸前、ホームズの鋭い牙が、凄まじい衝撃とともに白いボールを空中で完璧に噛み留めた! 芝生の上を滑るように着地したホームズの口元で、爆弾ボールの赤い起爆タイマーが「0.01秒」を残してピタリとフリーズする。


「やったべーーー! 大先生のスーパーナイスキャッチだべ!!」

バーバラがノートを抱えて飛び上がり、ハート刑事も「さすが私のポチ君よ!」と大喜びで駆け寄った。


白猫の「第2サーブ(アドバンテージ・モリアーティ)」

しかし、世界一知的な名探偵の目が、再び鋭く細められた。

ホームズが咥えたボールの表面に、極小の液晶パルスが浮かび上がり、不気味な白猫のアイコンが笑ったのだ。

『フフフ、見事なレシーブだね、ホームズ君。だが、伝統のウィンブルドンは“1球”だけでは終わらない。ゲーム・セットまではね』


ピピピピピ……ッ!!!

「ハナコ姉様、大先生! 大変だべ! マシンの中に残されていた残りの【44球】のテニスボールすべてに、白猫の遠隔オーバーロード(過負荷)プログラムが書き込まれたべ! 180秒後に一斉にコート全体へ向かって乱射ハッキングされ、センターコートのインフラごとノーリミッツに爆破する算段だべ!」


バーバラが激しく明滅するデータノートを指差し、緊迫した声を上げた。

(なるほど。最初の1球は、私をこの場に釘付けにするための『ファースト・サーブ(囮)』だったか。44球の同時乱射を物理的に防ぐことは不可能。ならば、マシンを制御している地下の『主基盤メイン・サーバー』を直にシャットダウンするしかない!)


「ワン! ワンワンッ!」

ホームズは爆弾ボールをハート刑事の足元へ優しく転がすと、ロイヤルボックス(貴賓席)の床下に隠された、地下管制室への秘密のハッチへと迷いなく走り出した。


バーバラのステップ・アナライズ

「ハナコ姉様、大先生に続くべ! 地下サーバーへの防壁コード、これ、私が毎晩パブのステージで踊る【ハーフタイム・タップ】の変則リズムと完全にシンクしてるべ!」


バーバラは走りながら、ロイヤルボックスの階段をカチカチと完璧なシンメトリーのステップで駆け下りていく。

「白猫のAIは、テニスのラリーのリズム(パン・パン・パン)にノイズを混ぜて防壁を閉じてるべ。でも、そのリズムが完璧に反転して、セキュリティが『11ミリ』の歪みを露出する次の**【180秒間】**だけ、メインレバーのロックを物理的にブチ破るチャンスが生まれるべ!」


「ブロックのパズルが示していたのは、このコートの伝統シンメトリーを守るための、最後のレシーブだったのね!」


ハート刑事は、

「バーバラちゃん、180秒のカウントダウン開始! 聖地ウィンブルドンを汚す白猫のプログラム、ノーリミッツにゲームセットにしてあげるわ!」


「いくべ、ハナコ姉様! 3、2、1……スタートだべ!」

暗く狭い地下管制室へと突入した2人と一匹。44球の爆弾が放たれる瞬間までの、極限のカウントダウンが今、始まる!

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