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どうやら僕はあいつの推しらしい~幼なじみにも無視される底辺ランク冒険者が自称異世界転生者にバチクソ強化された話~  作者: raku-Q


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第5回 ペナルティークエストとはひどい



「野郎、ぶっ殺してやるぅぅぅ!!」


 残った連中は怒り狂って飛びかかってきた。

 一気に複数。


 これはまずい!?

 ど、どうする。

 こういう時、敵が複数でこっちが一人の時――


 僕はとっさに拳をつかんだ相手を突き飛ばすと、


「ふん!」


 剣を鞘に納めたまま、ふりかぶった。

 そして、


「はっ!!」


 剣を横一文字に振るう。


 すると、


「ぎゃっ!」


「うわぁぁ!?」


「ひぎ……?!」


 繰り出した斬撃で、男たちは全員吹っ飛んだ。


 いや……。

 吹っ飛んだのは男連中だけじゃなかったんだけど……。



 ――。



「まったく……!!」


「すいません、すいません!!」


 あの後。

 僕はギルド職員にペコペコ謝っていた。


「ごめんなさい、ごめんなさい!!」


 となりで、イロリも必死で謝っている。

 一緒に謝ってくれる仲間がいるのは、ちょっと心強い。


「ともかく! 相手に非があったとはいえ、こんな場所で『薙ぎ払い』を使うなんて非常識です!!」


 ギルド職員の皆さんは、本気で怒っていた。

 怒り心頭というやつである。


「ホントに……すみませんでした!!」


 とにかく僕は必死で謝るばかり。


 ただ……。

 僕としても、まさかいきなり使えるとは思わなかったのだ。


 『薙ぎ払い』。

 複数の相手を一度に吹っ飛ばすスキルだ。

 熟練者が真剣で使えば、一気に敵を切り裂くこともできる。


 僕もずっと練習してたけど、『強化斬り』と同じく習得できなかった。

 それがいきなりぶっつけ本番で。

 多分僕自身が一番予想してなかったことである。


 もっとも、口に出しては言わない。

 こんなこと言ったらギルド職員さんはもっと怒るだろうし。


「何にしろ責任はとってもらいます。罰金とギルドを含め、迷惑をこうむった方々への弁償」


「はい、もちろんです……!」


 こんなわけで……。

 せっかくサイクロプスを倒してゲットしたお金も、だいぶ減ることになってしまった。


 はあ……。

 僕のことはともかく、イロリには悪いなあ。


 しかし、それだけではなすまなかった。

 すまなかったのである……。


「――それと、今回は見せしめも兼ねてペナルティークエストも与えます」


「え!? ぺ、ペナルティーですか!?」


 ま、まずい……。

 悪質な違反者に対して与えられる、レベル以上に難易度の高いクエストだ。

 場合によっては事実上の私刑や追放系になることも……。


「ご存じでしょうが、これをクリアするまで他のクエストは受けられません。早急に片づけるように!」


「は、はい……」


「それと!」


「え!? ま、まだ何か……」


「そこのぽっちゃりさん。あなたもクエストに同行すること。同じパーティーでしょう?」


「ええええ!?」


 僕は思わず叫ぶ。


 い、いかん、まずい、まずい!

 イロリは身元を保証するものがない。

 だから、とりあえず冒険者登録をしてその代わりにしたんだけど……。


「あの、やったのは僕ですから、僕の責任だから。彼女は許してくれませんか? 彼女はまだ登録したばかりの、ホントのホントに初心者で……」


「関係ありません。連帯責任です」


 必死で頼んだけど、職員はピシャリとはねつける。

 何度も頼んだが、結局無駄だった……。



 ――。



 ペナルティークエストの内容。

 それは、


「ホブゴブリンの群れを討伐、かあ……」


 歩きながら僕は同じことをつぶやく。


「しゃーないよ。何とかクリアしよ? 大丈夫、今の君ならできるって!」


 イロリは元気づけるように言ってくれる。


 ともかく死なないように。

 何かあっても逃げられるように。

 それを考えて、可能な限り装備を用意した。

 逃走用のアイテムも買った。


 だけど、初心者のイロリがホブゴブリン相手じゃあ。

 いや、僕は何とかすればいいんだろうけど。


「はあ……」


 歩く途中、僕は道端の石、いやサイズ的に岩か。

 それを見つめて、ため息。

 自分一人だけなら、死んだってしょうがない。

 納得するしかない。

 だけど、イロリを巻き込んだのは、


「……失敗にもほどがある」


 自己嫌悪をおぼえながら、剣を抜いた。

 そして、


「はっ!!」


 岩に向かって斬りつける。

 結果。

 岩はあっさりと切断して二つに。

 剣のほうには刃こぼれすらない。

 思ったように、何度もイメージしながら練習したように。


 どんなに頑丈でも硬くても、岩じゃあなあ……。

 岩は避けることもしないし、反撃もしない。

 だけど、実戦のモンスター相手となれば……。

 簡単じゃない。



 ――。



 悩んだり悔やんだりするうちに、目標のいる神殿跡についてしまった。

 確か……。

 もうマイナーになってる古い神様の神殿らしい。

 今はほぼ廃墟で、モンスターの巣だ。


 しばらくスライムや雑魚の虫モンスターを追い払っていると、


「グルルルル……」


「キィ、キィキィ!」


「ウオ、ウオッ!」


 ホブゴブリンが出てきた。

 周辺で隊商なんかを襲ってるらしい。

 しかし……。


「思ったより、数が……って、おいおい!?」


 ホブゴブリンたちの声。

 それに応えるみたいに、いや実際に応えてゴブリンがわらわらと……!


 いかん。

 ウッカリしてた……。

 ホブゴブリンは、ゴブリンの群れを率いることが多い。


「囲まれたらまずい……! こっちへ!」


「は、はいいい!!」


 僕とイロリは、走り出す。

 クソぉ。

 こういう場合は狭い場所でちょっとずつ倒すって手がある。

 とは聞いてたけど!


「無駄に広いんだよ、ここは!」


 思わず僕は叫んだ。

 こうなったら背を壁に……。

 いかん!

 そうなれば、逃げ場もなくなる!


 しょうがない、ここはいったん引いて……。

 少なくとも、イロリを安全なところに……!


「スキル、要塞? へ、え、それって。ぬわあ、ともかく時間ない時間ない!!」


「な、なんだぁ!?」


 イロリがまたわけのわからないことを言いだした……。

 頭を抱えてブツブツ言って……。


 って、ダメだ!

 このまま周囲全部を囲まれる。


 もう、仕方ない!

 ともかく、一番近い壁に――

 イロリを後ろに置いて、剣を引き抜く。


 こうなれば、気力が闘気がゼロになるまで、


「薙ぎ払い!!」


 剣を振るうと、周りのゴブリンたちは切り裂かれて吹っ飛んだ。

 一気に10体近くやった!


 でも、敵の数は多い……!!


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