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どうやら僕はあいつの推しらしい~幼なじみにも無視される底辺ランク冒険者が自称異世界転生者にバチクソ強化された話~  作者: raku-Q


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第4回の裏 「やべぇ」



 アホ極まる私。

 そんなアホを、セッタは苦笑しながら許してくれた。


 えらい大金を一気に使ってしまったのに。

 申し訳ない!


 そんなこんなの後。

 私は半分寝ぼけつつ、ベッドに転がった。


 目はつぶってる。

 そのまま、開きたくない。

 で。

 疲れもあって、ウトウトしてたら……。


「ん……」


 光。

 わずかな光で、目がさめた。

 月の光らしい。

 遠くで、誰かの声がする。


 うーん。

 よくわからないけど、何を売って歩いてる感じ?


 時代劇で見た、蕎麦(そば)の屋台みたいヤツかしらん……。

 あるいは?

 ラーメンとかおでんの屋台みたいなの?

 そういうのが、ここにはあるんだろうか。


 どうでもいいか。


 まだまだ疲れてるし、眠い。

 すぐにまた、寝ちゃいそうだ。


 ゴロッと寝返りを打つ。

 すると、となりのベッドが見えた。

 窓から射してくる月光で、ちょっと神秘的。


 すやすや眠るセッタくん。

 仰向けで、形良い態勢だ。


 ……こうしてみると、ホントにまだ少年(こども)だ。

 体だって筋骨隆々って感じじゃない。

 成長途中ってのがよくわかる。


 そんな子が、必死で私を助けてくれた。

 恩も義理もないのに。

 多分、死ぬ気で囮になって、逃がそうとして。


 怖くなかった?

 そんなはずがない。

 震えるぐらいに怖かったはずだ。


 でも、戦おうとした。

 私の持ってるチートなんか知るはずもないのに。

 いや、私だって直前まで知らなかったけど。


「なんで?」


 改めて考えれば、謎だ。

 まったく謎だ。


 大して可愛くもない女。

 会ってすぐの相手を、どんなヤツかもわからないのに?


 セッタの寝顔。

 あどけない顔だ。

 見ていると、私は胸はひどく苦しくなった。


 頬や手には傷。

 特には、手はひどかった。

 爪のないところだってある。

 体中は傷だらけだろう。


 一生懸命やってきた。

 報われないけど。

 それは、きっと仕方のないことかもしれない。


 報われないつらさ、しんどさ。

 私だって、未熟ながら社会人生活を何度も味わった。


 だけど。

 別に殺されるわけじゃないし、死にかけるわけじゃない。

 少なくとも、明日いきなりモンスターに食い殺される――

 なんてことはないのだ。


 でも。

 セッタはそんな毎日を過ごしてきた。

 仲の良かった女の子とは疎遠になり、無視されて。

 必死に努力しても強くなれない。


 それを思えば、私のしてきた苦労はぬるま湯みたいなものじゃないか。

 なのに。

 苦しくってつらくって、寂しい思いをしてきたのに。


 命をかけてくれた。

 私なんかのために。


 ……。


 私はそんな価値のある人間だろうか?

 多分、ない。

 結論づけて哀しくなるが、実際にそうなのだから仕方ない。


 私はそっとベッドから降りる。

 月光の中。

 静かに寝息を立ててるセッタを見おろした。


「……ありがとう」


 改めてつぶやく。

 起きてる時に言うべきなのだろうけど、何故か今言ってしまった。

 いや……。

 起きた時にまた言えばいいのだが。


 それから。

 おっかなびっくりで、セッタの頬を撫でた。


「うん……」


「……ひゃ」


 小さく声をあげたセッタに、私は手を引っ込めてしまう。


 ……まずい。

 私、何考えてんだろ。


 いやまあ。

 うん。

 そういう感じのことなのだが。


 これは、あれか。

 お礼になるのか?

 14、5歳の男の子に?

 逆じゃないのか?


 体が若返ったけど、中身はアラサー女である。

 ええ年の、下手すりゃオバハンと呼ばれる年齢。

 そんな女が、若い子に夜這いかけるって……。


 はい、もちろん犯罪です。

 男女逆にすればおぞましさがわかるってもんで。 


 いや、私経験ないけど。

 ……だからなんやねん。

 余計に痛々しいじゃねーか。


 行動に起こして、すげえ微妙なことにならん?

 ご都合の良いレディコミやティーンズラブじゃねーぞ。

 現実だぞ?


「寝よ……」


 私は軽い自己嫌悪を引きずりながらベッドに戻った。

 疲労感が全身を包んで、またすぐに……。


 ZZZZZZZZZZ……。


 ――。


 やっぱり、夢じゃなかった。


 朝日の中。

 私はとなりのセッタを見る。


 鏡……。

 部屋の中にあったやつで確認すると、やっぱり若返ってる。

 あー、良かった……。


 一晩たって、もとのアラサーに……。

 なんて落ちだったら、どうしようかと思ったよ。


 てなことをしてる間に。

 セッタが目を覚ました。



 ――。



 そして、朝食になったわけだけど。


 うん。

 美味しい。


 異世界の食事はまずい、てな話をどっか読んだけど。

 マンガだったかな?


 ここではそんなことはなかった。

 ちょっと薄めだけど、いい感じ。


 むしろ?

 コンビニとかファーストフードのやつよりもシンプルでよろしい。

 うん。

 あっさりめで、けっこう上品な感じ。

 朝食だからかな。


 さて。

 この後は服を買いに行く。

 そういう予定。


 ……だったのだが。


 なんか。

 いきなり変なのに絡まれた。

 なんだよ、小細工って。

 しらねーよ。


 いやまてよ。

 私のチートでセッタを強くした……。

 それが小細工といえば小細工か?


 いやいや……。

 小細工ですむレベルじゃねーな。

 どえれーパワーアップやんけ。


 そうか。

 そうなると、不審にも思われるし……。

 こうやって絡まれるのか。


 ああ。

 好事魔多しってやつだなあ。


 で。

 どうなったか。


 セッタがあっさりとやっつけちゃった。

 うーん。

 すごい……。


 いや、あんなでかいサイクロプスをやっつけるくらいだもの。

 そこらのチンピラなんか目じゃないよなあ。


 待てよ、チンピラ?

 こいつらも冒険者だよね。

 ってことは、やっぱモンスターと戦ってるし、体もガッチリ……うん、してるな。


 しかし、レベルアップしまくったセッタの相手じゃないってことか。

 ん~~~。

 我ながら良い仕事したなぁ!?


 あ、他のがナイフ出してきた。

 やべぇ……。




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