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どうやら僕はあいつの推しらしい~幼なじみにも無視される底辺ランク冒険者が自称異世界転生者にバチクソ強化された話~  作者: raku-Q


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第3回の裏 「とほほ……」

 やっぱり、わけのわからんことばかり言ってたと思う。

 テキトーにべらべらしゃべってると……。


 モンスターの死骸を見てゲロ吐き。

 とほほほ……。


 結局。

 私はセッタにおんぶされて街まで行くことに。


 途中でモンスターに出会わないか、心配だったけど。


「サイクロプスが暴れたせいかな。他のモンスターは引っ込んでるらしいや」


 歩きながら、セッタは笑う。

 私をおぶってても、足取りはすごく軽かった。

 男におんぶされるなんて、父さん以来だなあ……。


 最初はまだ混乱してて、わけわかんなかったけど。

 移動する中で、ちょっとずつ落ち着いてきた。

 周りの景色を見る余裕も出てきた。


 草の匂い。

 他にも、色んなものがまざりあった自然の匂いだ。

 いや。

 やっぱり植物が注視なのかな、この匂いは。


 そういう、つまんないことを考える。

 遺跡から外に出るのには、大してかからなかった。


「けっこう道があるねえ」


「来る時に、ある程度道を作ってきたからな」


 私のつぶやきに、セッタがそう答える。


 なるほど……。

 確かに草を踏んだり、刈ったりした後だ。


 森なのか、林なのか。

 ともかく木の間を通りながら、進む。

 あちこちで鳥や虫の声がした。

 ううーむ、大自然だ。


 空気は美味しい。

 呼吸をするたび、胸の中がきれいになっていくような感じ。


 でも、やはり怖い。

 さっきまでモンスターに襲われてたからな。

 思い返すとゾッとする。

 それでつい、おぶられたままセッタに抱き着いてしまった。


 う。

 何か恥ずかしい。


「そっか。あんなことの後だもんな」


 ゴトクは優しく、穏やかな声で言った。


「気にするなよ。誰だってビビるさ。そうでなきゃ変だもの」


「そ、そうかな?」


「当たり前」


 セッタは明るい声でそう言った。

 足取りは軽い。



 で、やってきた街。

 そういや、イジクロの世界で街の名前とか……。

 あんま覚えてないや。

 ミッションのフィールドとかは覚えてるんだけどな。


 街に入ると、銅像らしいものが立っていた。

 キツネ。

 それも仔ギツネだ。


「ここって」


「ああ。ヴルペクラの街。基本、ここで寝泊まりしてるんだ」


「へえ……」


 初めて生で見るファンタジー世界の街。

 城壁に囲まれてて、それっぽい人たちが歩いてる。

 店がある。


「けっこう清潔なんだ」


 思わず、素直な感想を言ってしまう。


 現代日本だって、ちょっと前、いや場所によっては小汚い。

 だけど、ヴルペクラの街は見た感じきれいなもんだ。

 いやな臭いもしない。

 中世の街はウンコ臭かったって、どっかで読んだ気がするんだけど。


 いや、地球の中世ヨーロッパじゃないから別にいいのか。

 ここではフツーなのかもしれない。


 しかし待て待て。

 それよりも……。


「あ、あの」


 私はセッタに声をかけた。


「え、なに?」


「いや、その。もう大丈夫だから、歩けるから」


 さすがに、いい年の女がおんぶされてるのはきっつい。


「そっか。なら、良かった」


 そっと降ろしてくれるセッタ。

 うーむ、紳士的。


 降りた私は、セッタの後ろをついて歩く。

 街中は珍しいものばかり。

 しかし、はぐれたらヤバい。

 ヤバすぎる。


 なので、ピッタリとくっ付くみたいにセッタに続いた。


 しばらく歩くと、


「あれは冒険者ギルド。正確には、その支部かな」


 そう言ってセッタが指したのは――

 二階建ての大きな建物。

 となりにも、同じくらいのでかい建物が並ぶ。


「あっちは冒険者用の宿。あそこで寝泊まりしてる」


「へえ……」


 で、中に入る。

 中は、ビアホールとロビーが一緒になったような。

 そういう感じのつくりだった。


「おおおうぅ……」


 思わず声が漏れる。


 いるわ、いるわ。


 鎧の戦士に、ローブ姿の魔法使い。

 筋肉モリモリのマッチョマンや、エルフ(多分)の美少女……。

 まさしく、ザ・ファンタジーワールド。

 異世界ものの王道って感じ。


 ……で。

 そういう場所ではあたしゃジャージか。


 何とも言えない気分でセッタと話してて。

 その後、ご飯になって。

 また色々話したわけだけれども……。


 ――、


「なんじゃこりゃ……!?」


 トイレの鏡。

 ちょっと臭うけどけっこう清潔なトイレ。

 そこにある鏡もけっこうきれい。

 だが、問題は鏡に映る私自身。

 

 どー見ても30代のアラサー女ではない。

 高校生くらいの若い女の子。

 昔の自分だった。


 体形も……。

 痩せてる。

 やっぱりお肉はついてるけど、当時から太めだったしな。


 着てるのは最後に来てたジャージだが、中身は完全に若返っちゃっているのだ。

 そうか。

 異世界転生? したから、体のほうも……。


 おかしなスキルと共に、これはありがたいプレゼントである。

 神様がやったとしたら大感謝。

 崇め奉って、朝晩お祈りするレベルではあるまいか。


 それに……。

 これなら、セッタと一緒にいても見劣りしない。


 てな具合に嬉しすぎることに気づいてしまって。

 さらに、セッタが服まで買ってくれるとか言ってくれて。


 もうアレ。

 正直浮かれちゃっていたわけで。


 結果……。

 やらかした。


 どうやら、ガチャも引いたカードも私だけに見えるらしい。

 いや、頭の中にゲーム画面みたいなのが浮かんで?

 それを操作できる感じか。


 カードを送り込んで限界突破させる。

 その時だけ、他の人にも見えるらしいや。


 で。

 分け前で金貨をどっちゃりともらってしまったもんだから……。

 うっかり、全部を一気に使ってしまった。


 どうやら?

 ガチャは現実のお金をガチャポイントに替えるらしい。


 それで一気に大量にやってしまった。

 セッタを含めたNランクカードの他に、もっとランク上のキャラも引いちゃったわけだが……。

 だったら、まだ救いもあった。


 悪いことに……。

 私は、SSRガチャを一気に引いてしまったのだ……。

 SRがたくさんと、SSRがいくつか。


 せっかく現地で使えるはずの現金収入。

 私は、アホでバカな判断で一気に使い切ってしまったのだ。


 ホントに、救いようがない。

 とほほほ……。



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