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どうやら僕はあいつの推しらしい~幼なじみにも無視される底辺ランク冒険者が自称異世界転生者にバチクソ強化された話~  作者: raku-Q


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第2回の裏 「とにかくもう」

 身も蓋もないことを言えば。


 セッタは私を変な顔で見ていた。

 怪しいとか、胡散臭いとか。

 そういうのは、ちょっと違って。


「なに、こいつ」


 てな感じで、引いていた。

 だけれども……。

 ゲロ吐いた私にも嫌な顔をしないで

 水をくれたり、落ちつくような話し方をしてくれたり。


 ちょっと、いや、かなり感激……。

 こんだけ男の子に優しくされたのって、初めてかも。


 暗い学生時代だったもんなあ~~。

 男の子と話したことなんかほぼなかったし、接点なかったし。


 別に嫌いとか苦手とか、そんなことはないんだけど。

 まあ、距離が会ったというのか。


 けど、今思い返せばいいわけだな、そんなの。


 女子の私がある程度フレンドリーに接すれば、男の子はチョロかったはずなのだ。

 今となっては、そう思う。


 別にグイグイいかんでもいいし、クラスの目立った人気者とか?

 そんなのじゃなくって、中くらいとか、ちょっと下。

 こういう層に話しかけたりしたら、仲良くなれたんじゃなかろうか。


 だけど。

 中学の頃は照れがあって。

 高校、大学ではひと目が気になって。

 思い返せば、自意識過剰だったなあ。


 ゲロを吐きながら、そんなことを頭の片隅で思い出していた。

 現実逃避の一種だろうか?


 そのせいか。

 私はもうとにかく、自分でも意味不明ことをブツブツ言うしかなかった。

 多分、向こうは何のことやらさっぱりわからないに違い。


 頭のかわいそうなひと。

 そういう感じだろう。


 そんなことをしてる時。

 でっかいモンスターが出てきた。

 一つ目のでっかい鬼。

 サイクロプスというヤツだろうか。

 そうらしい。


 私は悲鳴を上げた。

 それから逃げ回って、逃げ回って。

 隠れた。


 でも、もう時間問題だ。

 あ。

 死ぬわ、これ。

 うん、死ぬ。


 異世界転生? して、すぐに死ぬのか。 

 あるいは死に戻りするパターン?

 それとも……。

 全部死にかけの私が見てる夢かもしれない。


 夢だったら、もっといい夢を見せて欲しいもんだ。

 セッタと出会えて話せたのは良かっけど。


 私が諦めていると――

 セッタは、自分が囮になると言い出した。

 いや、死ぬって。

 このままでも、ふたりとも死にそうだけど。


「死んだって誰も困らない」


 そんなことを悲しいことを、セッタは言った。

 最後だから、と覚悟したんだろう。


 セッタは語った。

 つらかったこと。

 哀しかったこと。

 寂しかったこと。


 あまり大げさじゃなく、半分笑い話として、不器用に。

 たどたどしく。

 それでも。

 いや、だからこそ。

 切実な思いが、わかる気がした。


 哀しい。

 かわいそうとか、いうよりひたすら哀しい。

 こんな良い子がどうして、こんな死に方をしないといけないのか。


 だけど、私には何もできない。

 せめてもっと時間があったら……。

 どうせ死ぬのだから、この子に《《させてあげて》》もいいのに。

 本気そう思った。


 こんなアラサー女で申し訳ないけど。


 でも、せめて。

 キスくらいなら。

 そう思い、動こうとした時だった。


 ……!?


 頭の中に、何かが入って来る。

 文字?

 言葉?

 それとも、情報?


 『限界突破』。

 ああ、そうだ。

 ゲームと同じ、そのシステム。

 ユニットに、同じユニットを合成すれば――

 

 Nランクなら素の限界レベルは10。

 限界突破をすれば、20まで引き上げられる。


 一回突破したら……。

 そこからは、ちょっとずつだ。

 同じユニット1つにつき、レベル1ずつ。


 回せるのか。

 ガチャを?

 間に合う。

 いや、そもそもお金的なものは?

 ポイントは?


 いやもう、何でもいい。

 この状況を抜け出せるなら……!


 私は、流れ込んでくる情報を頼りに――

 『スキル』を使った。


 1万円が消費。

 1万ポイントをゲット。


 いちまん?

 そんなに持ってたか?


 あ。

 そういえば?

 家を出る前、確認したら1万円札しか紙幣がなかったっけ。


 ああああああああ!!


 ともかくもう、ともかくもう!


 何を叫んだのか。

 何を言ったのか。

 自分でもわからない。


 ただ、目の前に浮かぶカード。

 『見習い剣士セッタ』のカードだ。

 それを、まとめてセッタの中へと送り込んだ。


 瞬間、また情報が流れ込んでくる。

 『セッタ』レベル:123。

 一挙にレベルが上がったぽい?


 あ、そうか。

 イジクロでは……。

 レベル限界値に達してもクエストの度に経験値だけはどんどんたまるんだ。

 そこに限界突破を与えれば、一気にレベルが上がる。

 どうも、これらしい。


 レベル10から一気に300まで……。

 すごくね?


 それで。

 そうして。


 セッタは剣を振るって走り出した。

 後ろ姿、かっこいい。

 惚れちゃう……。

 萌えじゃなくって恋愛的なヤツ?

 わからない。

 わからないけど、かっこいいことだけは確か。


 サイクロプスが暴れる暴れる。

 でも、セッタはひるまない。

 攻撃にも当たらない。


 すごい速さだ。

 ぜんぜん目で追えない。


 そして……!



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