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0008 ダンジョンと宝箱2

「今日もやるぞー!」


学校から帰ってきた紬は、早速ゲームの世界へと入る。

実に16時間ぶりのログインだった。


「んー!ゲームの世界に帰ってきたぞ……さてと……どのぐらいDPたまってるかなっと……。なにこれ!?」


紬が驚くのも無理はない。

紬のダンジョンには、紬がログインしていない16時間の間に40人ものプレイヤーが入り、宝箱を探していたのだ。

しかし幸運なことに、宝箱を開けることができたのは1人だけだった。なぜなら、宝箱のある迷路の部屋はゴーレムのいる魔晶の部屋からしか繋がっていないのだ。ゴーレムがいる部屋には怖くて近づかないプレイヤーは絶対に辿り着けない場所に作ることができていた。

もちろん、紬はそんなことまで考えていなかったのだが。


しかし、死亡しているプレイヤーは少ないため、死亡時のDPは入っていない。入っている人数にしては少ないDPでもあった。

とはいえ、7000ものDPをこの短時間で稼いでいたのである。


「そうだ、7000もあれば迷路の改造できるじゃん!」


しばらく溜まりそうになかった5000というDPはたった一夜で溜まった。

紬にとっては嬉しい誤算だった。

6000というDPを使って、紬はダンジョンの迷路を毎回違くなる仕組みを入れ、トラップを仕掛ける。悪魔のような笑顔で「ふっふっふっ」と笑いながら、迷路を作っていく。


紬は迷路を作り終えると、残りの1000を使って新しいモンスターを召喚することにした。ゴーレムをもう一体召喚することも考えたのだが、結局新しいモンスターを仲間にしたいという理由でその案は却下になった。

そして新しく召喚されたのが、


グレイトウルフ


というモンスターである。


グレイトウルフは集団で活動するモンスターで、統率の取れた動きで相手を翻弄しながら倒していくスタイルのモンスターだ。

しかし、今回は単独での召喚となるため、そのスタイルはできない。

ではなぜ、グレイトウルフを選んだのか?


それは、単に紬が狼が好きだからである。

紬はゲーマーであるが、モンスターを仲間にできるというゲームをやったことがないため、そんな相性など考えてはいなかった。単純に自分の好きなモンスターを出した、ただそれだけである。


「可愛い!もふもふだぁ」


紬は新しく召喚したグレイトウルフを見るなり、もふもふの体目掛けて飛び込んだ。そして顔をうずくめて、もふもふを堪能していた。


『条件を満たしました。モンスターのステータスを閲覧できるようになりました』


条件:モンスターを3体以上仲間にすること

解放:モンスターのステータスの閲覧



「えっ?」


グレイトウルフを仲間にしたことで、条件を満たし、ステータスを確認できるようになった。それは戦略の幅が大きく広がるということだった。


「そっか。君も仲間になってくれていたんだね」


紬はそう言いながらスライムを撫でる。

3体、ということはゴーレムとグレイトウルフ、そしてこの赤いスライムも含まれていることだった。


「ステータス確認してみようかな」


ゴーレム

Lv.3

HP 300 / 300

MP 0 / 0


STR 44

VIT  88

AGI  11

DEX 12

INT  0


スキル

「硬化」


グレイトウルフ

Lv.1

HP 80 / 80

MP 10 / 10


STR 23

VIT  24

AGI  53

DEX 15

INT  6


スキル

なし


レッドスライム

Lv.1

HP 20 / 20

MP 85 / 85


STR 3

VIT  6

AGI  21

DEX 21

INT  48


スキル

「火魔法:初級」



「みんな強いな……」


紬のステータスと見比べると、紬が赤子に見えるぐらいステータスに差がある。

今までなんとなくでしかわからなかったモンスターの特徴も、これできちんと理解することができる。とても大きな収穫だった。


紬は3体それぞれの役割を決めた。

ゴーレムはVITとHPが高く、この中ではSTRも一番高いため、前衛としてプレイヤーと戦ってもらう。

なかなか倒されることはないし、安心して前衛を任せられる。


グレイトウルフは圧倒的なAGIでプレイヤーを翻弄し、低くはないSTRを活かしたヒットアンドアウェイの戦い方をしてもらう。

プレイヤーの中にもAGIが53はなかなかいない。錯乱としては十分だった。


赤いスライムことレッドスライムは、一撃で倒されるステータスの持ち主なため、後ろから魔法で攻撃してもらう。と言いたいところだが、今のところ魔法を使っているのを紬は見たことがない。


「魔法って使える?」


紬の問いかけにレッドスライムは体を変形させて丸を作る。

それは、魔法を使えるということを示すサインだった。


「使えるの?見せてもらえたりする?」


レッドスライムは再び丸を作り、少し紬から離れていく。

ある程度離れると、紬に向かってやるよ、というようにジャンプする。


紬は「いつでもいいよー」と声をかけると、レッドスライムは魔法の準備を始めた。レッドスライムの足元に赤い魔法陣が現れ、時間が経つに連れて魔法陣は大きくなっていく。


しばらくすると、魔法陣の大きくなるのがピタッと止まった。

すると、魔法陣は光りだしレッドスライムから大きな火の玉が放たれた。


レッドスライムは「みた?みた?」というふうに紬の方へと近づいてくる。


「すっご……僕にも使えるようにならないかな……」


紬のつぶやきを肯定するように、レッドスライムがピョンピョンと跳ねる。

紬は気づいていないが、紬のステータスはすでにプレイヤーの中で上位のステータスになっていた。なぜなら、この3体のステータスの5%が紬のステータスに加算されるというダンジョンマスターの特性があったからだった。

それはスキルも同様で、モンスターが持っているスキルはダンジョンマスターのレベルが低すぎない限り、使うことができる。


「僕だって戦いたいよー!!」


少年の悲痛な叫びはダンジョンの中で響いていた。

本当は使えるのだが、それを知るにはまだかかりそうだった。


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