0009 ダンジョンと魔法
「えっ、魔法使えるようになってるんだけど」
紬はステータスを開いて、ようやく自分が「火魔法」のスキルを使えることに気づいた。
「それならあの魔法、僕にも使えるよね?うん……やってやってみよう!」
紬は早速魔法を発動してみようと思い立ち、魔晶部屋で魔法を放つ練習を始める。
「魔法は確か体の中の魔力を消費して、イメージを具現化するイメージで……」
このゲームは魔法を撃つのがとても難しく、イメージをきちんとして体から捻出するイメージができていなければ、魔法は発動しない。
紬は他のゲームでも同じシステムだったことがあるので、イメージして魔法を発動するのは慣れていた。
「せっかくだし、ちょっと変えてみようっと。火の玉をこうして……」
紬は初めてこのゲームで火魔法を放つにも関わらず、最初からアレンジしようとしていた。実に無謀な挑戦である。
紬の手の上に形成された野球ボールほどの大きさの火の玉は、紬のイメージに合わせて次第に形を変えていく。
『2名のプレイヤーが侵入しました』
紬にはこのアナウンスは聞こえていなかった。
紬が集中しているところに、プレイヤーが近づいていることに気づいていたゴーレムとグレイトウルフは臨戦態勢に入った。
グレイトウルフにとっては、はじめてのプレイヤー戦である。
「準備OK!」
紬は周りで戦いが起きようとしていることに、まだ気づいてはいない。
目の前の魔法に夢中になっていた。
「火球」
魔法発動のトリガーとなる詠唱をすると、紬の手から火の玉が放たれた。
発射された火の玉はただの火の玉ではなく、周りに火の刃を纏ったアレンジされたものだった。紬は初めてでアレンジに成功していたのだ。
紬の放った魔法は、部屋の入り口めがけて飛んでいく。
そこに侵入してきたプレイヤーが入ってくる。
「あっ!」
紬が気づいた時にはすでに手遅れだった。
紬の放った火球はプレイヤーに命中し、プレイヤーを倒すのに十分なダメージを与える。
「おい……魔法が使えるモンスターが出るようになったなんて聞いてねえよ……」
「なんか増えてないか……?」
火球を喰らったプレイヤーの2人は、初めてこのダンジョンに入ってきて、最初の犠牲者となったプレイヤーたちだった。
「やっちゃった……どうしよう……」
魔法を放てることがバレた紬は頭を抱えていた。
「やっちゃったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
◇ ◇ ◇
紬が頭を抱えている頃、とある掲示板では……。
【悲報】特異スライムダンジョンにさらなる異変が起こっている件について
1:あのダンジョンえぐい
2:あのダンジョンって、スライムダンジョンなのにゴーレムがいて、宝箱があるあそこか?
3:ああ、今日行ってみたら火球がダンジョンのモンスターから飛んできた
4:は?
5:嘘はやめろよ
6:嘘じゃねぇって。ガチで飛んできたんだよ、しかもアレンジされてた気がする
7:は?モンスターも魔法ってアレンジできるのか?
8:知らん。でもできねえだろ、そんな高度なこと
9:実際できてるんだよ、俺死んだし
10:お前トラウマになりすぎてるんじゃねえの?
11:違うわ。あと2体ぐらいモンスターが門番として増えてた気がする
12:嘘にも程があるってぱよ
13:だから嘘じゃねえって
14:あのダンジョン、そもそもゴーレムと人型のモンスターがいるとかって言ってたけど、ゴーレムしかいねえんだよな。お前嘘つきすぎだわ
15:違うって、誰か今から行ってみろよ
16:どうせ嘘だし、俺行ってくるわ
17:俺もいく
18:俺もいくわ
19:さっさと行ってきやがれ、地獄へな…
20:あいつら帰って来なくね?もう10分ぐらい経ったけど
21:ただいま
22:おかえり、どうだった?
23:ガチでモンスターが増えてた。グレイトウルフと見たことない変なスライムが増えてたわ。あれは無理
24:そんなやつだったのか、そりゃ怖えわ
25:地獄だった
26:それな
27:じゃあ、あのダンジョンは要注意ってことでいいよな?
28:異議なし
29:異議なし
30:異議なし




