0007 ダンジョンと宝箱1
赤いスライムが紬たちの前に現れてから、3日が経った。
3日間のうちに入ってきたプレイヤーは10人で、全てゴーレムが倒し、DPとなって消えていった。プレイヤーによって溜まったDPはトラップとバットのスポナーを増やすことに使い、ダンジョンはまたひとつ成長していた。
紬は試しに入り口付近に設置していたトラップしていた。
スイッチを踏むことで作動し、両方の壁から槍が突き出てくる。よくあるトラップだが、火力は十分だった。
さらに湖によって道が狭くなっていることで、トラップの起動スイッチを踏みやすくなっていた。もちろんそんなことを紬が考えて配置したわけではなかったのだが。
バットのスポナーを増やしたのは、スライムのように特殊個体が出ないかと考えたからだった。もし出たとしたら、それだけで大きな戦力となる。
一方で赤いスライムには特に変化はなく、いつもゴーレムの肩に乗っている。戦闘中は隠れているところを見る限り、他のスライムとは違う特殊個体であることに間違いはなさそうだった。
「今日は全然来ないなぁ」
紬のダンジョンは他のダンジョンとは違って、簡単な道の代わりに最後に強いゴーレムがいるという理由で、だんだんと来るプレイヤーが減っていた。
『4名のプレイヤーが侵入しました』
「おっ、きたきた。最強のプレイヤーじゃないといいんだけど……大丈夫だね、よかった」
紬が心配しているのは、最強のプレイヤーのいるパーティーがゴーレムを倒してしまうのでは、ということだった。この3日間のうちにも5個のダンジョンを踏破しているそのパーティは、他のプレイヤーたちからこう呼ばれていた。
-勇者の栄光-
「あー!トラップ引っかかった!まただ、そんなにトラップ引っかかられてもね……」
入ってきたプレイヤーのうちの1人はトラップによってキルされ、残りの3人は奥まで進んだものの、ゴーレムの一撃でキルされている。
「やっぱり、ちょっと来る人減ってるよな……」
紬が危惧していること。
それはダンジョンに人がこなさすぎることでDPがたまらず、ダンジョンが成長していないうちに、プレイヤーのみんなのレベルは上がっていくことだった。
もしそうなったら、なすすべもなくこのダンジョンは攻略されてしまう。それだけは避けたかった。
「やっぱり宝箱用意したほうがいいのかな……?でもデメリットも多いんだよな……」
宝箱はダンジョン内に置くことで、一定のDPをもらえるという特殊な設置物である。
しかし、デメリットもきちんとあり、宝箱のアイテムがプレイヤーに取られるたび、宝箱のランクに応じたDPを取られてしまう。
今置ける宝箱は最低ランクのFランクだけだが、アイテムを取られるたびDPを50消費する。常にDP不足の紬のダンジョンにとっては、かなり痛手だった。
「いや、置こう。DP1000貰えるなら置く価値あるしな。専用の部屋を用意して、その前は迷路にして……」
結局紬は宝箱をダンジョン内においた。
宝箱を置いたことでもらった1000と、余っていたDPを使って部屋を増やし、部屋の中に宝箱を設置する。そして、そこまでの道のりを迷路にする。紬からのプレイヤーに対するちょっとした嫌がらせだった。
DPが足りなかったためできなかったが、紬はトラップを設置して迷路も毎回違うものに変える仕組みにしたかった。
しかし、迷路自動変換にはDPが5000も必要で、しばらくはできそうにない。実は、少し我慢すればできなくはないぐらいのDPなのだが、そんなことを紬ができるはずもなかった。
「よし、あとは情報を流せば……明日にはどうなっているかなー」
紬はゲームをログアウトして、匿名掲示板に紬のダンジョンで宝箱が出現したことを確認したという情報を流した。
これで明日にはきっと、たくさんのプレイヤーが来ている。
そうワクワクしながら紬は眠りについた。このあと、どうなるかも知らずに。




