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0068 ダンジョンとストームウルフ 2

その後、紬は一階層まで階段を駆け上った。

途中に二階層と三階層を通ったため、現状がどんな感じなのか確認することができ、紬は二階層と三階層の構想も練りながら一階層まで向かった。


一階層に到着すると、そこはダンジョンの中とは思えないほど広い草原が広がっていた。地下であるにもかかわらず空には太陽があり、さんさんと陽を注いでいる。時折風が吹き、ゲームの中とは思えないほどリアルな草の香りが立っている。


そんな草原の真ん中で二匹のウィンドウルフは寝転がり、日向ぼっこを楽しんでいた。


「日向ぼっこ中にごめんねー」

「ガルッ?」


ウィンドウルフたちはゆっくりと起き上がり、紬の前でおすわりをした。


「きゃわっ……っと危ない危ない……。ちょっとお願いがしたいことがあってきたんだけど……」


紬は何とか撫でまわしたい気持ちを抑えて手を引っ込め、本題に入ろうとウィンドウルフを見た。


「あれ……?もしかして、進化した……?」


よく見ると、今までより体が大きくなり、毛も少し伸びよりきれいな銀色をしている。さらに目が前より少しきりっとし、大人びた顔立ちに変化している。


「ガルッ!」

「わぁー!やったね!ウルフたちが進化してくれてうれしいよ!」


紬は二匹に飛びつき、ハグをした。

ウルフたちも嬉しそうにゴロゴロと喉を鳴らし、尻尾を振った。


「そうなると名前を付けなきゃだね」


紬は二匹の毛に顔をうずめながら、言った。

あまりにもフカフカで気持ちがいいせいで、紬はそこから全く出ようとしていなかった。紬はウルフたちのモフモフに包まれてよしかかりながら、名前を考え始めた。


「せっかくだし、ぐりとぐらみたいなペアの名前にしたいよね。りくりゅうみたいなかんじでもいいのか……」


紬は頭をフル回転させた結果、二つの名前に行きついた。


「テンとソラでどうかな?ここは空がきれいだし、二人にはぴったりかなと思って」

「ガルッ!」

「じゃあ今日から君たちはテンとソラだ!」


こうしてウィンドウルフ改めストームウルフの名前は、テンとソラになった。

ちなみにテンは男の子、ソラは女の子である。りくりゅうにあわせるなら、ソラテンペアである。


「あぁ、そうだった、お願いっていうのはね、テンとソラにこの階のフロアボスをお願いしたいんだけど……大丈夫!」

「ガウ!」


テンとソラは右の前足を上げ、元気よく返事した。


『テンとソラがフロア1のフロアボスになりました』


「ありがとう!この後一階層改装するから、一時的に移動してもらってもいい?」


紬は二匹の了承を得ると、さっそく改装を始めるため、管理部屋のある四階層へと向かった。二匹は嬉しそうに走りながら、紬の後ろをついていっている。


そして三十分ほどして、ようやく四階層にたどり着いた。


「と、遠い!これはきついかも!」


紬はどうにかならないものかと、管理モニターを開いた。

いろいろと新設備がある中には、紬の求めている階層間を移動する設備などが多くあった。ただその設備はプレイヤーも使うことができ、攻略を簡単にしてしまうことは間違いない。置くリスクがあまりに高すぎるため、紬は半ばあきらめながら、新設備を確認していた。


「たっ……かいけど、めっちゃ便利……!」


紬が目を留めたのは、「管理者転移装置」だった。

管理者転移装置とは、転移陣を設置した場所同氏を行き来できるようにするというもので、管理者にしか使えずプレイヤーには使えないという超便利設備のことである。

さらにプレイヤーからは転移陣が見えず、出待ちされる心配も少ない。管理者もマスターやフロア責任者だけでなく、フロアボスも含まれている。


それだけメリット満載の設備なのだから、もちろんDPはとんでもなく高い。

その額、なんと100万DP。


「今あるDPは70万か……結構あるけど、これから改装したらなくなるよね……しばらくお預けかなぁ」


紬はあきらめたように「管理者転移装置」の詳細を閉じ、一階層の階層を終わらせようと細かい調整を始めた。


「部屋は四部屋、草原部屋が二部屋にセーフティエリアが一部屋、そしてボス部屋。あとは、風のダンジョンで出現してた羊のモンスターとスライムのスポナーを置いて……」


セーフティエリアはモンスターが現れず、HPを回復する泉が湧き出る神スポットのことである。これがあるだけでプレイヤーが訪れやすくなる。さらに運営側は設置するだけでDPを1万DPもらえる。しかも泉によるプレイヤーの回復量に応じて、毎日DPが入る。どっちにも最高の神スポットなのだ。


とはいえ回復ができる場所のため、たくさん置くと難易度が下がりすぎてしまう。

そのため、紬は一階層にしか置かないつもりでいた。


「あとは管理者の設定か。リンター!リンタでいいー?」

「一階層の管理者だろ?任せろ、俺のマスターの腕を見せてやるよ」

「ありがと!任せた!」


紬は管理者をリンタに設定し、一階層の改装を開始をタップした。


『一階層の改装を開始します。改装完了まで一時間……』


「よし!そしたら次は二階層だ!」


紬は意気揚々と二階層のマップを開いた。

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