0069 ダンジョンと第二階層
第二階層は一階層を比較的簡単にした以上、先に進めるプレイヤーを厳選することが求められる。そうなると、一階層のような広い空間を複数用意するのではなく、狭い部屋をいくつかちりばめている方が戦いの幅が狭まるだけでなく、探索に時間をかからせることもできそうである。
しかし、狭い部屋をちりばめる、とは言ったものの、第二階層のコンセプトは水のダンジョン。つまり潜水しなければ攻略できないようにしたいのだ。
そうなると、潜水ができないプレイヤーはその時点で引き返すか、別の攻略ルートを見つける必要が生まれる。もちろん、意地悪な紬は別ルートなど用意しないため、潜水ができないプレイヤーは攻略ができないというなかなかに鬼畜なフロアが完成するわけである。
「潜水」というほかのダンジョンにはあまりない特殊条件が付いたというだけで、先に進めるプレイヤーはかなり厳選することができる可能性は高い。
それならば、狭い部屋をちりばめるのではなく、水で満たされた部屋の大きさを大きくし、小部屋を少なくした方が、効率よく厳選が行える。
そのため、紬は地中湖の面積を大きく増やし、小部屋は四部屋とできることが限られたフロアにすることにした。
「まあ、こんなものかな」
製作開始から約二時間。
頭の中で作り上げたダンジョンの構造と仕組みを実際にマップ上で作り上げていく。たったそれだけの作業といえば簡単に聞こえるが、やることが多いためそう簡単に終わるものではなかった。
「うーん……フロアボスがいないよね……」
ヴォンと音を立てて空中に開かれたウィンドウには、第二階層のマップが映っている。
ここで軽く第二階層の構造を説明しよう。
入り口である階段を降り通路を抜けると、じめじめとした洞窟が広がっている。階段前の一つ目の部屋は、ほかの小部屋につながる二つの通路があり、これといった仕掛けはない。ただ、部屋の隅に小さな底が見えないほど深い地中湖がある。
これこそ、フロアボスのいるこのフロアの目玉、広大な地中湖への入り口なのだ。
人一人がギリギリ通れるほどの湖から潜水しなければ、このフロアの攻略は不可能。しかもただの水たまりという具合に階段の近くにあるのだ、なかなか気づくのが難しいことは間違いない。
これこそ、紬の考えた「厳選」なのだ。
とはいえ、潜水しなければ何もないとなると、怪しまれるのは簡単に予想がつく。
それを避けるため、用意された小部屋のうち二部屋には宝箱が設置されている。そしてレアなものが入っていることを期待させるため、小部屋と小部屋をつなぐ通路にはすべてトラップが仕掛けられた。
落とし穴、毒の矢、槍の壁、全身焼却……一つ一つが致命傷になりえる凶悪なトラップである。そしてその先に待っている宝箱は、もちろんEランクの宝箱。まったくレアなものなど入っていない、ごく普通の宝箱である。
「あっ!ポップモンスター設定してなかった!危ない危ない、先にそっち設定しちゃおう」
フロアボスを考えていた紬だったが、ポップモンスターを設定していないことに気づき、モンスター一覧を開いた。
ポップモンスターとは、ダンジョンのグレードが上がったことで設定できるようになったことの一つで、スポナーをフロア全体に紐づけることができる。
ただ、そのモンスターのスポナーのDPにプラスして、1万DPを使う必要がある。超高級システムである。
「洞窟だし、スライム系がいいかな。普通のスライムだと弱すぎるか……いや、強化スライムならどうにかなりそうかな?」
強化スライムとは、スポナーのグレード3で解放されるモードによる強化を得たスライムのことで、倒されたスライムの数が一定数を超えると、高レベルのスライムが出やすくなる。さらに、スキルの数も増え、攻撃パターンも変化する。そんな神機能はポップモンスターの設定がスポナーのグレード4のため、必ずついてくるのである。しかも破格の500DP。最高である。
「スライムとウォータースライムを設定しておこうかな」
スライムと水属性を持っているウォータースライムをポップモンスターに設定し、2万5000DPを消費した。
これでこの二種類は第二階層のどこにでもポップする。あとはフロアボスを決めるだけである。
「こいついいかも!」
紬は一覧の真ん中に表示されていたあるモンスターの名前を叫んだ。
「カッパ!」
ここまで全部読んでくれてる方に最上級の感謝を。
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