0067 ダンジョンとストームウルフ 1
管理モニターには、ダンジョンの全体図が映し出されている。
今まで一階層しかなく部屋数も少なかった紬のダンジョンは、一気に四階層の大きなダンジョンとなり、映し出された全体図も立体的になっている。
四階層まで増えたとはいえ、一階層以外は初期設定のままである。
このままではお散歩気分で攻略されてしまいかねない。それだけは避けなければならない。そのため、今から各階層をじっくり改装していく必要があった。
紬が最初に改装するのを選んだのは、風のダンジョンをモチーフにした新第一階層だった。今まで第一階層だった管理部屋のあるフロアは、最深部となり、今は第四階層になった。そのため、最深部は最深部らしいつくりに、一階層は一階層らしく少しやさしめに作る必要がある。
やさしめに作らなければ、プレイヤー離れが起こることも考えられる。
簡単すぎず、難しすぎない難易度。その絶妙な塩梅で作るのはかなり難しいことだった。
「一階層って一番難しいかも……とりあえずトラップとかモンスタースポナーちりばめてみる……?」
初期設定の一階層は広い草原の部屋が一つあるだけの超攻略簡単フロアである。いくらなんでも一部屋では大量のプレイヤーを対応しきれない。できるなら入ってくるプレイヤーの三割は一階層で止めたいところである。
紬は広い草原の部屋はそのままに三つの部屋を作り、入り口から分岐が発生しないように部屋と部屋を通路でつないだ。分岐を作らなかったのは、作らなくても人を分散できるくらい広い部屋が二つあるためである。
レベル上げなら一階層で事足りるようにし、攻略したい人だけ奥に進む。
紬は一階層をレベル上げしたいプレイヤーや、初心者など、誰でも来やすい場所にしようとしていた。
「部屋と通路はこんな感じでいいかな。あとはモンスタースポナーの設置と……そうだ!フロアボスも設定できるのか!」
紬は嬉しそうに口元を緩ませながら、管理モニターのモンスター一覧を開いた。
モニターには、ダンジョンに設置されたスポナーから発生するモンスターから、シルトやバル、マサムネといった固有モンスターの名前までずらりと並んでいる。
紬は上から下までゆっくりとスクロールしていく。
そしてとあるモンスターに目を留めた。
「ウィンドウルフいいかも……一階層のイメージにもあってるし、かなりちょうどいい強さだよね」
紬は自分に言い聞かせるように独り言をつぶやくと、小さく頷き、管理部屋の扉を開けた。
「シルト、ウィンドウルフたちがどこにいるか知ってる?」
紬はバルたちスライムと戯れていたシルトに話しかけた。
シルトは首を横に振り、階段の方を指さした。
「わからないけど、一階層にいるんじゃないかな?アップデート終わった後、嬉しそうに飛び出していったし……」
確かにウィンドウルフはダンジョンが復元されるなり、尻尾をぶんぶんと振りながら舌を出して勢いよく管理部屋を出ていっていた。あの興奮具合は新しくできたところに行きたいからだったのだろう。となると、一階層にいる可能性は高そうだ。
「ありがとう!行ってみるよ!」
「うん、ウルフたちによろしく言っておいて」
「わかった!」
紬も改装が楽しくて仕方がないため、テンションはいつもの五倍近くである。
シルトは今の紬の姿を興奮していたさっきのウィンドウルフたちと重ねて、
「子は親に似るって言い得て妙だねぇ……」
ぽつりとつぶやいた。
「なんか言ったー?」
「なんでもないよー」
「なんでもなくないと思うんだけどなぁ……」
紬は首をかしげながら、シルトを背に階段を上り始めた。
皆様こんにちは、ユルヤカです。
このあとがきは更新頻度についてのお知らせです。
現在、二日に一回投稿ではなく超不定期の投稿となってしまっており、読者の皆様にご迷惑をおかけしてしまっています。作者が高校に入学し、部活動や勉強、はたまたゲームなどで忙しい中、執筆がなかなか難しくなってしまっており、このようなことになってしまいました。
これを解決するためには、執筆する時間を決め、更新頻度を下げるしか定期的な更新にはならないと判断したため、これからは週2投稿(月、木or土)とさせていただきます。
テスト期間などで投稿できない週があるかと思いますが、その週は一つも更新されないため、月曜日に更新されるかで判別していただけますと幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今後とも、「バグでダンジョンマスターになったけど、普通にプレイしてもいいよね?」をよろしくお願いします。




