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0060 イベントと結果発表

『イベントが終了しました。結果発表をただいまより行います』


アナウンスが全プレイヤーの頭の中に鳴り響く。

そのアナウンスと同時に限定ダンジョンは一瞬で入れなくなり、限定モンスターは姿を消した。プレイヤーたちはウィンドウを開き、運営からの結果発表を待った。


「終わったのか……びっくりしたぜ」

「そうね、ぽいっと出されるとは思ってなかったわ」


迅と茜は服についた砂を払いながら言った。

迅と茜、ナギの三人はイベントが終わる限界までボーナス部屋で水晶を稼ごうと、限定ダンジョンから出ずに狩りを続けていた。しかし、イベントが終わった瞬間、突然テレポートし、街の入り口の前に空中から放り出されたのだった。


『ただいま最終集計を行っています……』


迅たちのことか、最後のギリギリの追い込みにより、一部順位が変動したことで運営は最終集計に時間を取られていた。その間、迅たちはウィンドウを開き、期待を胸に待機していた。


『集計が終了いたしました。十位からの発表です』


上位争いに参加しているプレイヤーたちは、願うように両手を合わせた。


『第十位 レライ』


「よっしゃぁぁぁぁぁぁ!!」


街の外れから叫び声が聞こえた。

その声の主こそ、第十位に輝いたレライである。

彼は中間順位は十三位で、かなり上位と差があったものの、自慢の吹き矢を使い水晶を効率よく稼げていた。不遇武器、吹き矢の大躍進である。


『第九位 タケノコの山』


「たけのここそ至高!!」


アナウンスが流れた瞬間、街の近くの森にタケノコの形の土像ができ、その上からプレイヤーが大声で叫んだ。


彼こそ、たけのこのs……を愛するあまり、彼女に振られたかわいそうなプレイヤー、タケノコの山である。ちなみに彼女はきのこのy……を愛していたため、お互い愛し合おうとこの名前になったそうだ。

彼はかなりの土魔法の使い手で、オリジナルの魔法、「タケノコキャノン」を使い、水晶を乱獲していた。その様子はスレで広められ、すでに彼のあだ名はタケノコ大臣になっていた。


「ごめんなさい!私が悪かったの!だからよりを戻しましょう!」


街の中から一人の女性が声を張り上げた。

彼女こそ、タケノコの山の元カノ、キノコの里である。


「やっと……やっと、タケノコ信者になってくれるのか!よかった、タケは安心した!」


彼の一人称はタケだった。根っからのタケノコオタクである。


「それは嫌よ!私はキノコ信者。それは変わらない!でも、どちらも愛していく覚悟はあるの!」

「そうか。ならばタケも覚悟を決めよう。これから、キノコタケノコ戦争の無期限休戦協定を結ぼう!」


街の外で繰り広げられる奇妙なラブシーンに、ほとんどのプレイヤーは目を背けた。

ただ、そのラブシーンに突撃するプレイヤーもいた。


「ちょっと待てぇ!!俺はその協定を結ぶことは許さんぞ!俺はキノコの方が上だということを証明するまでこの戦争は終わらせない!」

「やめましょうよ、命がもったいない!」


一部のプレイヤー(約20人ほど)で繰り広げられる、茶番、ディベート対決から多くのプレイヤーの気をそらしてあげるかのように、運営は第八位の発表を行った。


『第八位 ナギ』


「えっ!ナギ!?」


紬は思わず声に出して驚いた。

ナギは中間発表では十八位で、十位との差がかなり離れていたため、上位入りは難しいとあきらめる姿勢を見せていたはずだった。


「ボーナス部屋、めっちゃ稼げたんだな……」


紬はナギにおめでとうとメッセージを送った。

これなら茜と迅もかなり上位に食い込んでいることは間違いない。紬はホクホクで次の発表を待った。


『第七位 エユ』


その名前が呼ばれた瞬間、プレイヤーたちの中に小さなざわめきが起きた。

エユとは最強プレイヤーリヒトのパーティの魔法使いで、もっと上位に食い込んでくるはずのプレイヤーだった。


プレイヤーたちの間で小さな期待が生まれた。


「リヒト一位じゃないんじゃね?」


その期待を言語化するように、迅はぽつりとつぶやいた。

茜は首を横に振りながら、


「それはないでしょ。さすがに私たちだってそこまで稼げてるとは思えないもの。限定ダンジョンなしであの人に勝つのは無理よ」

「それもそうか……」


迅はため息をつき、


「俺じゃ勝てねえよなぁ」


とつぶやいた。


『第六位 サナ』


再びプレイヤーたちの間でざわめきが起きる。

サナもエユと同じくリヒトのパーティに所属しているアーチャーである。


リヒトのパーティの名前が連続で呼ばれたことで、プレイヤーたちは驚きを隠せず、街の中はだんだんと騒がしくなり始めていた。


『第五位 チキチキチキン』


プレイヤーたちのざわめきがスクランブル交差点ぐらいまで大きく跳ね上がった。

チキチキチキンはこのゲーム最強の斧使いでありながら、リヒトのパーティメンバーというとんでもないプレイヤーである。そんな彼が五位。あと上に四人いるというわけである。


「これはワンチャンあるかもしれねえな」


街の真ん中ででかいボトルの酒を飲みながら、男が言った。

その男のあまりのオーラに周りのプレイヤーは口をつぐみ、男を見た。


「おっさん、誰だ?」

「俺か?俺はまだ名もないプレイヤーさ。このゲームではまだ、な」


男はボトルを大きく傾け、中に入っていた酒を一気に飲み干した。


「俺の予想だと一位は誰も知らねえようなプレイヤーだな」

「そんなやつがいきなり上位に組み込むわけがねえだろ?リヒトを超えるとしたら、ジンとかいうやつかポフポフプリンのどっちかだな」

「ふっ、どうかな?」


男はしゃっくりをしながら、立ち上がった。


「かけをしようじゃねえか。どうだ?お前らもやらねえか?」

「おもしれえ、やろうぜ」

「おれもやるぜ!」


男によって集められたプレイヤーは、一位のプレイヤーが誰かにお金をどんどんと賭けていく。リヒトが圧倒的であり、二人にもある程度積まれている中、男は誰も賭けなかった「知らないプレイヤー」に全財産をbetした。


「さあ、賭けの時間だ」


『第四位 アカネ』


「やったわ!思ったより高かったわね」

「よかったな、俺、次きそうだな」


茜と迅が嬉しそうにハイタッチを交わした。


「まだまだ大丈夫だ、ここからだぜ、お前たち」

「来るな……まだ出るな……」


賭けに参加したプレイヤーたちは自分のかけたプレイヤーの名前が出ないことを願い、空を見上げながら神に祈っていた。


『第三位 ジン』


「あー、やっぱりか」

「まあ頑張った方だよ」


迅は悔しさのあまり下唇をかんだ。

ナギはそんな迅の背中を優しく叩き、励ました。


「おーい!!ちょっとまてぇ」

「まじかよ……」


賭けに失敗したプレイヤーたちはその場に崩れ落ちていく。


「こっからだな」


男は二本目の酒を開け、いい飲みっぷりで飲み始めた。


『第二位 リヒト』


「「「「「「「はぁ!?」」」」」」」


街中のプレイヤーが声をそろえて言った。

ここまで名前が出ないのだから絶対に一位だろうと思っていたにもかかわらず、突然裏切られたのである。


「はいー勝ち確ー」

「おつぅー」


ポフポフプリンに賭けていたプレイヤーたちは、崩れ落ちていくプレイヤーたちに渾身のあおりをかました。プレイヤーたちはイラっとはするものの、負けたことに変わりはないため、言い返せずに地面にはいつくばっていた。


「俺の勝ちだな」


男は笑いながら、酒を再び飲みほした。


「それはないだろ、おっさん。いくらなんでもポフポフプリンの一位だ。あいつが上位に入ってないわけがねえ」

「どうだろうな」


男は瓶を空中に放り投げた。

瓶は空中で何度も回り、だんだんと地面に向かって落ちていく。地面にぶつかろうという時、瓶は飲み口で地面に立った。


「わかるか?奇跡というのは起きるものだ」


男がそう言うと、プレイヤーたちはぐぅの音も出せずに押し黙ってしまった。


『第一位』


『ツムグ』


「「「「「「「はぁー!?!?」」」」」」」


再び街の中は声をそろえて言った。

男は嬉しそうに机の上に置かれた掛け金をすべてインベントリの中にしまった。


「俺の勝ちだな。また出直してこい」


プレイヤーたちが呆然としている中、男はしゃっくりと大きな笑い声を漏らしながら、夜の街へ消えていった。



一方そのころ、紬は……。


「はぁ!?!?僕が一位!?」


困惑していた。

そもそも紬は水晶集めなどしていない。まったくイベントの上位を狙うつもりなどなかったため、水晶を取ろうとも思ったことはなかった。


「マスター、すごいじゃん。一位だよ」

「さすがです、マスター」

「いやいやいやいや……ばれちゃうよ!僕がダンジョンマスターだっていうこと!」


紬は声を荒げながら言った。

狐のお面でふわっとこのダンジョンとの関係性を教えるつもりが、なぜか一位になってしまったことでこのダンジョンの正体がばれる危険性が百倍以上に跳ね上がっていた。


「どうしよ……」


『それでは一位に輝いたツムグ様にビデオ通話をつなぎます。優勝した一言お願いします』


あわあわと慌てている紬をさらにせかすように、アナウンスが流れる。

そして、全プレイヤーに紬の顔は公開された。


「えーっと……もういいや!僕は魔の森にあるダンジョンのダンジョンマスターだ!狐のお面をかぶっていた魔狐とは僕のことだ!攻略できるものならやってみろ!僕は全力で迎え撃つ!あと、すべてのプレイヤーが仲間だと思うなよ!僕は待ってる!」


紬はもう何一つ隠さず全部話すことにした。

紬の話が進むにつれ、ざわめきは大きくなっていき、魔狐を知っているものは悲鳴を、シルトの強さを知っているものも悲鳴を、何も知らない者だけ、説明を求める怒号が飛んだ。


「ふふふ……やっぱりそうだったんだね。面白くなってきた」


リヒトは楽しそうに笑みを浮かべた。


「おー……紬やったなぁ」

「これから大変になるわよ」

「なにしてるんだか」


迅と茜とナギは紬の行動に呆れ、首を横に振った。


『上位十名のプレイヤーには、賞品としてスキルが与えられます。以上で結果発表を終わります』


こうしてこのゲームの歴史に残る結果発表は幕を閉じた。

そして紬の波乱のダンジョン運営はさらに波乱になること間違いないだろう。恐ろしや。



読んでいただきありがとうございました!

これで、「イベント編!」は終わりになります。この後の紬の物語はまだまだ長ーく続いていきます。予定ではあと五つの編。


きっと読みにくい部分だったり、未熟な部分がたくさんあったと思います。

そんな文章をここまで読んでくれて本当にうれしく思います。


よければ星評価、応援コメントお願いします。リアクションいつもくれてる方、ほんと励みになってます。


そんな皆さんに、次の編のタイトルだけネタバラシ。


「ダンバト編!」


ぜひお楽しみに!

(次の投稿は4月6日を予定しています。)

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