0054 イベントと合流
久しぶりのイチャイチャ回。わぁー!
「あ、あれ?ナギどうやってここに戻ってきたんだっけ?」
ナギは自分の身に起きたことを話しながら、眉を顰めた。
ミッションをクリアしたところまでは鮮明に全て覚えているのに、その後どうやってここに帰ってきたのかまるで覚えていない。何か大事なことが頭から抜け落ちている感覚がしてならなかった。
「どうしたの?大丈夫?」
「う、うん、なぜか思い出せないんだよね……まるでそこだけ靄がかかっているみたいに……」
ナギは「うーん」と唸りながら、地面に腰を下ろした。
「まぁ出てこれたしいいんじゃない?きっと終わったから即テレポートして帰ってきたんだよ」
「うーん、そうだった……かなぁ?」
「とにかく急がなきゃ。約束の時間に間に合わないかも」
「うん、わかった。いこっか」
紬とナギはとある人物と約束している場所、特別ダンジョンへ足を進めた。
その間もナギは頭の中の靄をかき分けるように、記憶を辿った。どこまでもどこまでも辿った。しかしわかったことはその靄は晴らせないということだけだった。
「ナギ?着いたよ」
「うーん……」
歩いている途中もずっと何かを考え続けていたナギを見て、紬は大きくため息をついた。
「ナギー?いくよー?」
紬がナギの肩を優しく叩くと、ナギはようやく現実、と言ってもゲームの中だが、記憶の世界から帰ってきた。
「ごめん、自分の世界に行ってた。……って、ここ限定ダンジョンじゃん!いつの間についたの!?」
「それも気づいてないって相当だね……」
紬は呆れながら、ダンジョンの入り口の近くに生えている大木の根元に向かった。
「陽毬ー迅ー茜ー?きたよー」
「ん?おー!!紬か。遅いぜ、集合時間から30分遅れだぜ」
「ごめんごめん、転移トラップに巻き込まれちゃって」
「それは災難だったわね」
大木の根元から3人が姿を現した。
紬が前会った時とは違い、3人はそれぞれ見たことのないかっこい装備を纏っている。それに加えて、紬がイベント前に渡していた狐の仮面を腰に携えている。
「うん?私たちの装備?かっこいいでしょー!」
陽毬はふふっと小さく笑い、紬に見せるようにその場でくるっと1回転した。
陽毬は今までの初期装備に近い武闘家装備から一転。
淡い桃色の布で作られた着物に、薄い緑色の桜の葉のような模様が入った帯をし、頭には桜のかんざしをつけている。どこからどう見ても武闘家ではない。まさか素手でボコボコに殴るプレイヤーとは思えない装備になっていた。
「めっちゃ綺麗……」
「えへへ……」
「いちゃいちゃしてる場合ではないのわかってるかしら?あと6時間もないのだけれど」
いちゃいちゃが始まろうとした紬と陽毬の間に茜が割って入った。
茜も今までの初期装備ではなく、シーフらしい緑色の軽装を纏っている。できるだけ抵抗を減らしたいのか、太ももの半分までしかない短いハーフパンツに加え、お腹をギリギリまで出し、布面積はかなり少ないセクシーな格好だった。
「茜もすごい……わぁ」
「……!恥ずかしいからあんまりジロジロ体を見るのはやめてくれる?こっちの心がもたないわ」
「ごめん」
茜から目を逸らし、紬は顔を上に上げた。
「紬ー気持ちはわかるぜ。だいぶセクシーだよな。俺もドキドキしてるもん」
「迅、それはまずいんじゃ……」
「迅くん?あとで私のところに来なさい。二度とそういう目で見れないようにしてあげる」
「なんでもないでーす……ごめんなさーい……」
迅は逃げるようにそそくさと紬の後ろに回った。
茜は含みのある笑顔で迅を見つめている。
「置いてけぼりにしちゃってたけど、その子がナギさん?」
「うん、そう」
「へぇー、なかなか可愛い子を捕まえたな、紬!」
「迅くん?」
「あ、すいません……」
陽毬の機転により、一度は危機を免れた迅だったが、見事に自爆し、耐えきれなくなった茜にどこかに連れられて行った。
「そういえば迅は装備変わってないんだね」
連れて行かれる迅を見て、紬は一人だけ装備が変わってないことに気づいた。
「あぁ、私たちが来ているこの装備ってダンジョンのクリア報酬でもらえた激レアのユニーク装備なんだけどね、」
「えっ!?あの0.1%の!?」
「そうだよ。超ラッキーで手に入れられたんだけど、迅だけね……」
信じられない、というようにナギは口元を押さえた。
ユニーク装備。
このゲームで最高峰を誇るレアリティの装備で、手に入れたその人以外、このゲーム内で同じ装備を他の人は手に入れることができないという、その人のために設計された最強の装備なのである。
一応、普通のダンジョンの宝箱でも0.1%で手に入れることができるようになってはいるものの、普通は確定で入手できる、最難関ダンジョンのクリア報酬で手に入れるものだった。
「そんなにすごいんだ」
「紬くんも装備変わったよね。転移トラップの報酬?」
「うん、めっちゃ強いよ」
「私も負けてないよー!」
「本当に?教えて!」
「あとでのお楽しみー!」
紬と陽毬は二人でわいわいと盛り上がった。
そう、二人。ということは、一人輪から追い出された人がいるわけで……。
「うーん……やっぱり紬はモテるんだなぁ」
ナギは二人の盛り上がりを見ながら、ため息をついた。
「こりゃ、大変だぁ」
次回から限定ダンジョンの中へと入っていきます。
そしたらとうとうイベント編の終わりがすぐそこ。あと5〜8話で終了する予定です。もしかしたら3月中に終了するかも?




