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96 ずっと、あなたを待ちながら。

 ずっと、あなたを待ちながら。


 ……、白い鳥たちが遠くに羽ばたいて飛んでいく。鳥たちはどこに飛んでいくのだろう? 鳥たちの幸せな楽園だろうか?


 いつも元気なわたあめお姉ちゃんが、最近いつもぼんやりとしている。

「……はぁー」

 とため息をついて、砂漠の青色の空を見る。どこかで鳥が鳴いている声が聞こえた。

 その原因は、はっきりとしていた。

 それはわたあめお姉ちゃんが、スター・G・メランコリー王子様から、結婚してくださいと愛の告白をされたからだった。

「ねえ、こまちゃん。恋って難しいね」

 こまのことをその大きめの胸にぬいぐるみのように抱きながら、(こまは今、わたあめの膝の上にいやです、と言ったのにだめと言われて無理やり抱っこされていた)そんなことをわたあめは言った。

 こまは恋のことはまだよくわからなかったので、ずっと黙っていた。(わたあめの大きめの胸に顔をうずめるようにしていたので、ずっとどきどきした)

 それからこまは自分の持っているとてもきらきらと輝いている美しい宝石の付いた豪華な鳥の細工のある銀色のネックレスを見た。その銀色の鳥のネックレスは『さようならの日』にルナお姫様がこまにあずけてくれたとても大切なネックレスだった。

「それはルナお姫様のネックレスだね。キャンプの仮設テントの中で、見せてもらったことがある」と(鳥のネックレスを見て)わたあめは言った。

「はい。戻ってくるときに自分に渡してほしいと言われて、渡されました。なんでも幼いころに亡くなってしまったルナお姫様のお母さんの、……つまり黄色の国の王妃様の形見のネックレスなんだそうです」とこまは言った。

「こまちゃん。この鳥のネックレスにはね、身を守る不思議な力があるの。このネックレスをもらうときにね、お母さまから内緒で教えてもらったんだよ。この鳥はだいだい王家に伝わる幸運の鳥なんだって。それいらい私はこの鳥のネックレスを肌身離さずに持ち歩いているの。私の宝物なんだ」とルナお姫様はなんだかとっても、うれしそうな顔をしてこまに言った。

「この幸運の鳥のネックレスにはね、こまちゃんともう一度、絶対に会えますようにっていう私の願いが込めてあるの。だからこまちゃん。私たちが無事にもう一度この木登砂漠発掘隊のところに戻ってこられるように、みんなともう一度出会えるように、この鳥のネックレスをこまちゃんに持っていてもらいたいの。……この幸運の鳥のネックレス。受け取ってもらえるかな? 私からこまちゃんへの一生のお願い」

 ルナお姫様にそう言われて、こまは(そんな大切なもの受け取れません、と最初は断ったのだけど、なんどもお願いをされて)「はい。わかりました」と(強い責任を感じながら)とても緊張しながら意思のある強い目をした顔をして言った。

 ルナお姫様は「……本当にありがとう。こまちゃん。私、頑張るからね」と言ってから、その美しい銀色の鳥のネックレスを、こまに願いを託すように、しっかりと祈りをこめるようにして、お互いの手のひらをしっかりと重ね合わせるようにして、こまに手渡した。

 それから、ルナお姫様はにっこりと笑った。

「さようなら、こまちゃん。また、ここでもう一度、絶対に会おうね。約束だよ」とルナお姫様は言うと、そっとこまのほっぺたに(お風呂のときみたいに)キスをした。(こまはやっぱり、今度もびっくりして、その白い顔をまた真っ赤にした。顔が熱くなって、鼻血が出るかと思った)

 そうして、修理の終わった宇宙船のようなおもちゃみたいな飛行機にのって、スター王子様とルナお姫様はこの木登砂漠発掘隊のキャンプからいなくなった。(本当に大切な王族の二人にしかできない仕事をするために)

 わたあめとこまがオアシスの鮮やかな緑色の木蔭から戻ってくると、木登砂漠発掘隊の大きな仮設テントの中にみずあめの姿がなかった。仕事をしているすごろくおじいちゃんに聞いても、おや、おかしいの。さっきまではいたはずじゃが、どこかに出かけるとかは、なにも聞いていないのう、といつもの様子で言うだけだった。

「こまちゃんはなにか、みずあめから聞いてる?」

「いいえ。別になにも聞いていません」とごくごくと冷たくて美味しい水を樽からくんで飲んでから、こまは言った。

「まあ、砂漠の地質調査をしているだろうとは思うけど、誰にも連絡しないでいなくなるのは、よくないな。昔っから、みずあめにはそういうところがあるから。戻ってきたら叱らないといけないね、こまちゃん」と自分もごくごくと水を(まるでビールでも飲むみたいに木のジョッキで)飲みながら、わたあめは言った。

 わたあめの言う通りみずあめはなぜかこんな風に連絡なしで姿が突然見えなくなるときが、今までの発掘調査のときにも、ときどきあった。もちろん、すぐに合流できたり、テントがあれば、いつのまにか、テントに戻ってきていたりするのだけど、いつもまじめなみずあめお姉ちゃんにしては、すこし意外な行動だとこまは思っていた。(わたあめお姉ちゃんなら、まあわかるのだけど……)

 みずあめお姉ちゃん本人にも聞いたこともあるのだけど、「ああ、ちょっと恥ずかしいんですけど、私、じつはちょっとだけ方向音痴なんですよ、こまちゃん。いつの間にか、みんなとはぐれてしまって道に迷ってしまうことがよくあるんです。ごめんなさい」と笑いながら小さく赤い舌を出して、みずあめは言っていた。

 みずあめはそれから少しして木登砂漠発掘隊の仮設テントに戻ってきた。

 みずあめは宇宙服のようなふとっちょの砂漠の発掘士用の作業服を着ていて、多目的カートに乗って仮設テントに戻ってきた。やっぱり、どこかの砂漠の地質調査をしていたようだった。(「ただいま」と言ったみずあめお姉ちゃんは、つまらなそうな顔をしていたから、きっと直感みたいにひらめいた気になっていた発掘場所で、思っていたような成果はでなかったのだろう、とこまは思った)

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