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ひかりちゃんはこのままだと怖くて眠れないから、このままかげろうと一緒にかげろうの顔を見ながら眠りたいと星のある大きな瞳を涙で滲ませながら涙声で言った。
……そう言われて、かげろうは迷った。
もちろん、泣いているひかりちゃんのことをこのまま一人にはしておけないのだけど、ひまわりお母さんから、かげろうとひかりちゃんは(幽霊ホロウは)『眠るときは必ず与えられている自分たちの部屋で、一人一人が、きちんと自分たちの名前の書いていある専用の特殊な研究用のベットの中で眠ること』、という教育を受けていたからだった。
幽霊ホロウたちのそれぞれの専用の特殊な研究用のベットにはいろいろな検査器具のようなものが取り付けてあって、その専用のベットで眠ることで、幽霊ホロウたちの個別の様々な日々のデータをひまわりお母さんは記録しているらしい。(それから、たまにベットの上で注射器で血を抜かれたり、頭に変なごつごつしたコードのたくさんついた大きくて重たい鉄製のヘルメットをかぶって、コードの先にあるへんてこな大きな機械で、ひまわりお母さんが楽しそうにしながら、なにかのデータを図ったりすることもあった)
そのことをもちろん、かげろうだけではなくてひかりちゃんも知っている。(その教育を守らなければ、あとでとっても怖いひまわりお母さんのお仕置きがまっているのをわかっているのだ)
……だから、迷ってしまった。でも、かげろうは少ししてから、にっこりと笑うと、「そうですね。ひかりちゃん。そうしましょう」とひかりちゃんに言った。
するとひかりちゃんはとても(ぱあっと明るくなって)うれしそうな顔をして「ありがとう! かげろうちゃん」と小さな声でかげろうに言った。
ひかりちゃんはかげろうのベットの中で、泣き疲れていたのか、「おやすみなさい。かげろうちゃん」と言ったあとで、すぐにすやすやと眠ってしまった。
……だけど、かげろうはなかなか眠りにつくことができなかった。(なんだかとってもどきどきした)
かげろうはその手の中になにかぼんやりと光るものを持っていた。
それは『かげろうの頭からこぼれ落ちたぼんやりと青白く光る小さなねじ』だった。
……この小さなねじが頭からこぼれ落ちてしまったときには、どうなることかと思いましたが、どうやら僕はまだ一応、(いままでの自分と同じ)『正常な状態』であるみたいですし、このまますぐにロストチャイルド(迷子)になるようなこともないようで、とりあえず安心しました。
なんだかむしろ、この小さなねじが頭からこぼれ落ちる前よりも、ずっと頭の中が軽くなって、心がいつもよりも(窓を開けて、風が吹き込んだみたいに)透明になったような気がして、それにすごく考えることが前よりも得意になったような気がします。
いいことばっかりです。
……でも、すべてがこのままというわけにはいきません。
僕はもうすぐひまわりお母さんに、この小さなねじが見つかってしまって、星屑にいらない子として捨てられてしまうのでしょう。
そうしたら、ひかりちゃんは本当に世界にひとりぼっちになってしまいます。
そうなる前に、僕がひかりちゃんにしてあげられることは、なにかないのでしょうか?
すやすやと安心した顔でぐっすりと眠っているひかりちゃんの(やすらかな)顔をすぐ近くでみながら、そんなことをかげろうは思っていた。
でも、いい考えはなにも思いつかないままで、かげろうはやがていつものように深い眠りの中にいつの間にか、落ちていった。
……幽霊ホロウは夢を見ることはない。
それは幽霊ホロウには、本当の心がないからだった。(幽霊ホロウは心がないから夢を見ません、とひまわりお母さんから教育を受けていた)
そのはずなのに、その眠りの中でかげろうは生まれて初めての夢を見た。(その夢は、かげろうとひかりちゃんがひまわりお母さんにいらないと言われて今までにたくさん捨てられてしまって、ロストチャイルドになってしまった、幽霊ホロウの友達のみんなと一緒になって、みんなが笑顔で楽しく一緒に輪になって遊んでいるというなんだかとっても、幸せな夢だった)




