87 あなたが生まれてはじめて笑ったとき。(わたしが嬉しくって泣いたとき)
あなたが生まれてはじめて笑ったとき。(わたしが嬉しくって泣いたとき)
浮雲かげろうは一人、星屑の中をいろんなところにあるがらくたの物陰に隠れるようにしながら、こそこそと走って、自分の隠れ家である廃棄された電車の車両のところまで戻ってきた。
……その途中で、かげろうはふと、『こっそりと誰かに見られている』ような気配を感じた。(なんども後ろを振り返ってしまうような、自分の影を怖いと思ってしまうような、そんな不思議な感じだった)星屑で暮らし始めてから、そんな雰囲気を感じたのは初めてのことだったので、かげろうはとても驚いた。(ひまわりお母さんに見つかったのかもと思ったのだけど、ひまわりお母さんなら隠れてかげろうのことを見るようなことはしないはずだと思った。でも、そうだとしたら誰でしょう? 僕の勘違いなのでしょうか?)
かげろうは立ち止まり、自分の背後や周囲の風景を確認したが、そこにはいつものがらくたの山があるだけで、人の姿のようなものは、どこにも見つけることはできなかった。かげろうは怖くなって隠れ家までの道をできるだけ急いで(はぁ、はぁと息を吐きながら)駆け抜けた。
その間、かげろうは『少し前に、本当に少しの間だけ空に輝いていた奇跡の一つの星』のことを思い出していた。
すると、なんだか心に自然と『すごく勇気』がわいてきた。
かげろうはいつのまにか笑顔になっていた。(いつの間にか怖い気持ちも、お化けみたいに、どこかに消えてなくなっていた)
隠れ家に戻ってから、いつものように今日の収穫できた宝物(星屑に捨てられている、いろいろと使えそうながらくたの道具やよくわからない部品たちだった)を(電車の中の、ちゃんと収まりそうな)空いている場所にしまうと、かげろうはなんだかすっごく眠くなってきたので、このまま少しだけ眠ることにした。
「おやすみなさい。ひまわりお母さん」
安心できるあったかい毛布にくるまって、小さく丸くなったかげろうはそう言うと、(ゆっくりと、目をつぶって)すぐに深い眠りの中に落ちていった。
その眠りの中で、かげろうは『夢』をみた。
夢は今までずっと見たことがなかったのだけど、(知識としてはひまわりお母さんに教えてもらって知っていた)あの『青白く光る小さなねじを見つけたときから、眠るときにかげろうは夢を見るように』なった。
……(最初はすごくびっくりしたけど)夢は、とても素敵な体験だった。(もしかしたら、ねじははずれてしまったことがばれてしまうかもしれないと思って、ひまわりお母さんにも、ひかりちゃんにも夢を見るようになったことは黙っていた)
それから、かげろうは自然と眠たくなるからとか、疲れているからではなくて、眠ることの一番の目的が夢を見るためになった。(眠りにつく前はいつもわくわくした)
……かげろうはその夢の中で、なつかしい幽霊ホロウの友達の水玉ひかりちゃんともう一度、出会うことができた。(すごく嬉しかった)




