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黄色に発光するロストチャイルドたちのうごめく、幽霊ホロウの街の中を風のように走り抜けながら、まめまきは思考する。
まめまきはそっとその猫のような大きな(つり)目を閉じて、幽霊ホロウの街にきて出会った幽霊ホロウ)ある小枝つばさちゃんと水玉ひかりちゃんについて考えてみた。(そんなことを自然に考えたのはきっと一人になったからだ)
幽霊。
……ホロウ、か。
幽霊ホロウとはあれほど、柔軟に物事を理解し、行動できる命なのだ。ひまわりのことだから、もっともっとぎちぎちに、それこそ自由意思などないように、……実験動物のように、あるいは命令に忠実に動くロボットのように、幽霊ホロウを育てているのだと思っていたのだけど、どうやらそれは違ったみたいだ。
つばさちゃんにも、ひかりちゃんにも、……自由があった。
自分の意思があった。(自由意志があった)
……それと、確かにつばさちゃんとひかりちゃんには『心』があった。……しかし、それは本当に心なのか? もしつばさちゃんやひかりちゃんが、つまり、『幽霊ホロウが心を持っていたとしたら、ひまわりの実験はすでに完成している』ということになる。
あるいは、あの不思議な(ひまわりがずっと求めていたという)『きらめき』という力については、置いておくとして、心の研究という意味であれば、つばさちゃんやひかりちゃんがひまわりの幽霊ホロウの実験の中でも、完成にもっとも近い場所にいる実験体ということなのだろうか? 幽霊ホロウの街の情報がおそらくは意図的に外部に(ひまわり本人によって)流出されたことを考えると、もしかしたら、そうなのかもしれない。幽霊ホロウの研究は完成まじかなのだ。……では、いったいなぜそんなことをこんなに大事な時期にするのか? その意味が理解できない。幽霊ホロウには心がある。あるいは、心に近いものがあるが、……まだ、きちんとした心になっていない? ……『なにかの最後のかけら』が足りていない。その足りない最後のかけらを求めて、あなたは(あえて、獲物を呼び寄せる餌のように)情報を外部に流出させた。そのことで、その足りないなにかを手に入れようとしてる。あるいは、私がこうして、この砂漠の地下にある幽霊ホロウの街に侵入すること自体が、あなたの最終実験の(そうだ。今はもしかしたら、私はひまわりの実験の中にいるのかもしれない。とても、とても大きな……試験管か檻の中にいるのかもしれない)一環なのかもしれない。私はずっと、昔から、そして今も、あなたの手のひらの上で踊っているだけのただの哀れな人形なのかもしれない……。ちょっと、考えすぎかな?
まめまきは目を開けて、それから大きな中世のお城のような遠くにみえる幽霊ホロウのお城を見る。……そこには、おそらく今も、あの天才科学者であり、世紀のマッドサイエンティストである、美しい十五歳の少女、浮雲ひまわりがいる。
ひまわり。……あなたはそこで今、なにをしているの?
心を生み出すことで、あなたは世界にどんな変化を望んでいるの?
心を生み出す実験とは、それほど重要なことなの?
……わからない。昔から、あなたのことはわからないことばっかりだった。
『まめまき。つばさちゃんとひかりちゃんを本当にあの幽霊列車の中に置いてきてよかったのですか? もし、二人が浮雲ひまわり博士と接触したら、浮雲ひまわり博士に連れていかれてしまったら、とても危険なことになると思いますが……』とみちびきが言った。
「……そうかもしれない。でも、これ以上二人に無理はさせられない。思っている以上に二人は消耗していた。眠りのことも知らなかったし、まだ私の知らないことがあるのかもしれない。幽霊ホロウのことは、わからないことばかりなんだ。二人をきちんと守れる自信がないなら、無理やり危険な場所につれてくるわけにもいかない」と(悔しそうな顔をしながら)まめまきは言う。
『それは、……まあ、そうですね』(みちびきはまめまきよりも、もっと正確にきちんとしたデータとして二人の数値を観測している)
「今はまだこちらの情報収集が不足しすぎている。(ひまわりはとても遠いところにいる。きっとそこで楽しそうに笑っている)」
『……確かにまだ私たちは準備不足ですね。つばさちゃんやひかりちゃんを保護することも、かげろうを見つけることも、UFOの修理も、なにもかも終わっていませんからね』(はぁーとため息をついてみちびきは言った)
「まあ、そういうことだよ」とわざとらしく、明るい声でまめまきは言った。
「やっと、ついた」
それから少ししてまめまきはある建物の三角屋根の上で立ち止まってそう言った。目の前には目的地である星屑があった。
幽霊ホロウの街の中に冷たい冬の風が吹き抜ける。
その冷たい風がまめまきの胡桃色のふわふわのポニーテールの髪を揺らしている。
まめまきは、その風の中でもう一度、(眼帯をしていない片方の)目を閉じて意識を集中させて、それからぱっと目を開いたまめまきは、がらくたの山がたくさんある星屑の中の探索を始めることにした。
すると瞬間、まるで最初からその場所には誰もいなかったかのように、あっという間に獣化しているまめまきの姿は(本当にそう思うくらいの速さで)その場所から一瞬で消えた。(それはまるで本当の魔法のようだった)




