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85 愛とはつまりあなたのことです。

 愛とはつまりあなたのことです。


 まめまきはそのまま、ところどころに七色の光が灯っている幽霊ホロウの街の大通りの屋根の上をたくさんの遊びまわっているロストチャイルドたちに見つからないように、闇に溶け込むようにして、ジャンプしながら、星屑に向かって走り続けていた。

 ……真っ暗な夜の中で、ぼんやりと淡い七色の光のランプがたくさん灯っている幽霊ホロウの街の風景は初めて見たときは、まるでおとぎフェアリーテールの中に出てくる(妖精たちの暮らしている)幻想の街のような、とても美しい風景だと思った。

 それは、どこか作り物のテーマパークのようでもあったし、(中世の時代にタイムスリップして迷い込んでしまったようにも思えた)無垢な子供たちのような、そんなまだ大人になっていないイノセンスな存在しか足を踏み入れることができないような、そんな禁断の聖域のような場所にもまめまきには思えた。(その場所では誰もが永遠に子供のままでいられるような、人の手によって作られた偽物の永遠の夢の国、あるいは楽園のような場所だと思った)

 しかし、今は無数の黄色に輝くロストチャイルドたちが無邪気に遊びまわっている本当の幽霊ホロウの街に変わっている。あるいは、はじめからこの地獄の風景がこの幽霊ホロウの街の本当の姿だったのかもしれない。(……はじめて幽霊ホロウの街を見たときに、まめまきが思ったように)

 まめまきの姿は胡桃色の動物の猫の耳としっぽのはえている(半分、猫のような)獣のような姿にかわっている。

 まめまきは『一人で』幽霊ホロウの街の中を走っている。そこにつばさちゃんとひかりちゃんの姿はない。(それにはもちろん、理由がある)

 まめまきはばらばらになることは危険と判断をして、ずっと三人で一緒に行動するつもりだったのだけど、天の川銀河の駅の地下の秘密のホームでつばさちゃんとひかりちゃんは急に『なんだか、とてもねむたくなってしまった』とまめまきに(あくびをしたり、目をこすったりしながら、とても眠たそうな顔をして)言った。

 それは、どうやら幽霊ホロウにとって睡眠はとても(あるいは絶対に)必要なもので、疲れたり、ある一定の時間がたったりすると、幽霊ホロウはどうしても強制的に(電池がきれたおもちゃのように)眠りを必要としてしまうのだと、つばさちゃんが教えてくれた。それは人間が必要とする眠りよりもはるかに強力で逆らうことはできないような現象らしい。(……それと、幽霊ホロウとはいえ、九歳くらいの大きさの子供の二人には精神的にも体力的にも、今までの冒険は大変だったということも、もちろんあるのだろう。二人ともそんな雰囲気をなるべく隠しているだけなのだ)

 それでも、ひかりちゃんは「私は大丈夫です。かげろうちゃんを迎えに行きます」と頑張って(うつらうつらしながら)大きな星のある瞳を頑張って開けながらまめまきに言ったのだけど、まめまきはひかりちゃんの意見を却下した。(ひかりちゃんはとても悲しそうだった)今の状態のつばさちゃんとひかりちゃんではさすがにまめまきもたくさんのロストチャイルドたちに襲われてしまったら、かばうことも逃げることもできないと予測した。(つばさちゃんは最初からそうなることがわかっていたようで、大人しくしながら、ずっと黙っていて、まめまきの言葉を待っていた)

 それに状況にも変化があった。それはこの地下の秘密のホームで幽霊列車を見つけたことだ。

 この幽霊列車は生きている。

 ドアが開くことも、明かりがつくことも、列車の設備がちゃんと動くことも確かめている。だからこの中にいれば、とりあえずつばさちゃんとひかりちゃんは安全になる。

 脱出用の幽霊列車を破壊するようなことは、ひまわりは絶対にしないからだ。最悪の場合、『ひまわりがこの幽霊列車を使って、この幽霊ホロウの街から脱出するために』(ひまわりが、そうするかもしれないある大きな理由がまめまきにはわかっていた)この場所にきてつばさちゃんとひかりちゃんを見つけたとしても、ひまわりは二人を捕まえてこのままこの幽霊列車で幽霊ホロウの街を脱出しようとするだろう。

 もちろん、二人をひまわりに渡すわけにはいかないのだけど、……このままロストチャイルドたちにつかまってしまうよりはずっとましだと思った。

 その場合はかげろうと一緒に幽霊列車を追いかけて、そこでひまわりからつばさちゃんとひかりちゃんを取り戻すために戦うしかないとまめまきは考えていた。(……まあ、すぐに逃げるつもりなら、もうすでにひまわりはこの地下の秘密のホームにやってきていてもおかしくないから、ひまわりはまだこの幽霊ホロウの街でやり残していることがあるのだろうとまめまきは判断をしていた。二人には少しの間だけ、幽霊列車の中に隠れてもらっていても、おそらくは大丈夫だろう)

「……まめまきさん。かげろうちゃんのこと、お願いします」と幽霊列車の豪華な赤色の客車の上で、頑張って眠らないようにしながら、まめまきの手をにぎって、とても不安そうな顔をしているひかりちゃんは言った。

 そんなひかりちゃんにまめまきは笑顔でおでこにキスをすると、「まかせて。私は任務成功率百パーセントの天才スパイなんだから」と言ってから、(ひかりちゃんに見せつけるようにして)ピースサインをした。(にっこりと笑ったひかりちゃんはそえからすぐに天使のような顔で、となりですーすーと寝息をたてて眠っているつばさちゃんと同じように、深い眠りについた。まめまきはそんな可愛らしい天使たちに「いい夢を見てね」と優しく抱きしめながら言った)

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