84 ……そこは世界の真ん中だよ。
……そこは世界の真ん中だよ。
かげろうは自分の隠れ家の中で、ひとりぼっちで目を覚ました。
そこは星屑に捨てられていた『廃棄されてしまった壊れた電車の一車両の中』で、(知らない場所で、ひとりぼっちで途方に暮れていたから、この電車を見つけたときはすごく嬉しかった)その捨てられている電車の車両をかげろうは自分の隠れ家にすることにして、その中でひまわりお母さんから隠れるようにして、ひっそりと暮らしていた。
……なんだかとっても懐かしい夢でしたね。
ふふっと毛布(ひかりちゃんがこっそりと置いていってくれた)に(体を丸めるようにして、小さくなって)くるまりながらかげろうは幸せそうににっこりと笑いながら思った。
そんなに昔のことじゃないのに、なんだかもうずいぶんと前にあったできごとのように思えます。……ひかりちゃん。幽霊ホロウのお城でひまわりお母さんと一緒に、ちゃんと幸せにくらしているのかな? (ひとりぼっちで大丈夫かな?)
……ひかりちゃんに会いたいな。ひかりちゃんの顔が見たいです。……でも、会うわけにはいきませんね。
……ひかりちゃんに迷惑をかけてしまいますから。
かげろうは(ようやく眠気から覚めて)もぞもぞと体を動かして毛布の中から抜け出すと、そのまま(うーん、と言って)大きく一度背伸びをしてから、いつものようにとことこと歩いてドアがなくなってしまって、半分しかない電車の車両から外に出た。
すると、かげろうはすぐにその異変に気が付いた。
なぜならかげろうは眠りから目覚めると、すぐにいつも空を見上げる癖があったからだ。
それはないはずの星を探すためだった。
……なんど空を見上げても見つかるはずのない星を。
でも、かげろうは今日、なにげなく空を見上げて、すごくびっくりしてしまった。
いや、びっくりなんてものじゃないかもしれない。かげろうはしばらくの間、幽霊ホロウの星のある大きな瞳をさらに(まんまると)大きくさせて、それから口も大きく開けて、驚い顔をしたまま、その場所から動くことができなくなってしまった。……やがて、はっとして動くことができるようになると、かげろうはすぐに自分の立っている場所のすぐ後ろにあるがらくたの山に(手慣れた動きで、おさるさんのように)登り始める。そしてがらくたの山の頂上まで行くと、かげそうの目は再び、『その奇跡の光』にくぎ付けになった。
……そこには、『一つの星』があった。
きらきらと光っている一つの星。それは間違いなく空の中で美しく輝きを放っている。
……その光は、かげろうがずっと求めていた(心のどこかで、みつかるわけないと思っていた)奇跡の光だった。
(その一つの星の輝きを見て、かげろうはその大きな瞳から、ぽたぽたと透明な美しい涙をたくさん、たくさん流した。あまりにも自然に流れたので、かげろうは自分が泣いていると最初は気が付かないくらいだった)




