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81 幽霊列車 なんだかすっごく、眠たいね。(はぁー、と目をこすって、大きな欠伸をしながら)

 幽霊列車


 なんだかすっごく、眠たいね。(はぁー、と目をこすって、大きな欠伸をしながら)


「みちびき。どう思う?」

『この列車はほぼ間違いなく脱出用に用意されている列車だと思います。駅はもともと、運命の切り替えポイントです。浮雲ひまわり博士なら、きっと、この場所にあるこの列車を脱出用の乗り物として利用するでしょう。これはダミーではなく、本物である可能性が高いと思います。もっとも浮雲ひまわり博士のことですから、それだけではなくて、ほかになにかを隠している、あるいはなんらかの仕掛け(いたずら)をしているかもしれません』とみちびきは言った。

 まめまきもそのみちびきの意見に同意見だった。

「ひかりちゃん。ひかりちゃんは天の川銀河の駅について、なにか知ってることはある? もしくは、ひまわりからなにか言われたりしていないかな?」

 ひかりちゃんはまめまきにそう言われて、少し考えてから、「いいえ。とくにそういうことは言われてはいません。……あ、でも、ひまわりお母さんからは、天の川銀河の駅に遊びに行っても良いけど、もし天の川銀河の駅でなにかの偶然でそこにあるはずのない列車を見つけたとしても、『絶対にその列車には乗ってはいない』と言われたことがあります」と思い出しながら言った。

「絶対にその列車に乗ってはいけない?」

「はい。その列車に間違って乗ってしまうと、幽霊ホロウは『とっても遠いところにある、あちら側の世界』にまで、その心と魂を体ごと運ばれてしまうからって」とひかりちゃんは言った。

 ……体ごと心と魂を運ぶ列車?

 まめまきはもう一度、豪華な三両編成の列車を観察する。

「つばさちゃんはどうしてこの隠されている列車のことを知っていたの?」

「……一人で、天の川銀河の駅で、かくれんぼ(ただ隠れる場所を探すだけの遊び)をして遊んでいるときに偶然見つけたんです。この列車を見つけてとても驚きました。私もひかりちゃんと同じお話をひまわりお母さんから聞いていたので、怖くなってしまって、いそいで走って幽霊ホロウのお城にまで帰りました」と(きっとそのときのことを思い出して)泣きそうな顔をして、つばさちゃんは言った。

 ……仕掛けは、この駅の地下にあった。隠してある通路があって、その通路の先には地下の施設があって、そこにひまわりの用意した脱出用の列車があった。でも隠してはいても幽霊ホロウたちには天の川銀河の駅には入ってはいけないとは言っていない。ひまわりは幽霊ホロウたちに列車を見つけても、その列車には絶対に乗ってはいけないと言っていた。

 つまり、隠してある列車を見つけることは自由にさせていた。

 ……それはどいうことだろう?

 それはつまり、『幽霊ホロウたちのことを、幽霊ホロウの実験で生み出された心を、ひまわりがいろいろな問題や仕掛けをしてたくさんの方法で試している』ということになるのだろうか? おそらくこの列車だけではなくて、幽霊ホロウの街にはこんな試験のようなものが、たくさん用意されているのだろう。その試験でひまわりは幽霊ホロウの心がちゃんと成長しているのか、きっと毎日かかさずデータをとっているのだ。(この砂漠の地下にある幽霊の街は巨大な浮雲ひまわり博士の幽霊ホロウの実験場なのだから)

 まめまきはそっと豪華な列車に触れる。

 これは、まだ動く列車。

 つまり死んでいる列車ではなくて、まだ『生きている列車』だった。でもこの列車にもし名前をつけるとしたら、やっぱり『幽霊列車』という名前がぴったりだろう。(ここは幽霊ホロウの暮らしている幽霊ホロウの街なのだ)

 ……この列車は、おそらくひまわりの言うきらめきという力を持っているひまわりが生み出そうとしている心の実験の成功例である幽霊ホロウを乗せて、どこか遠いところにある安全な場所まで走るために、ここに用意されている列車だと思うから。

 まめまきはつばさちゃんを(白い眼帯をしていない片方の瞳で)見る。

 すると、つばさちゃんはきゅうにまめまきにじっと真剣な顔で見つめられると、すごく恥ずかしそうにして、その美しい顔を真っ赤に染めると、そっと白いフードを深くかぶって隠してしまった。(かくれんぼをしているみたいに)

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