65
木登こまはその日、三つ星わたあめの運転する砂漠用に改造されたすごろくが所有している発掘士用の電気で動く多目的カートに乗って(そのカートを砂漠用に改造したのは、三つ星わたあめ自身だった)ある重要人物を迎えにいくために、三つ星みずあめと一緒に三人で熱い砂漠の中をドライブしていた。
……いや、それはもうドライブとは呼べないかも知れない。
わたあめの運転する多目的カートはでこぼこの砂漠の中の道無き道を、まるでお構いなしに、にあっちこっちに跳ね回りながら、まるで海の上の波に乗るサーファーのようにして、木登キャンプを出発してからずっと、全速力で(みずあめが「きゃーーー!!」という、大きな悲鳴を上げながら)走り続けていた。
「うーん、気持ちいいねー!! ねえ、こまちゃん!! みずあめ!!」
ご機嫌な声で、ずっと、真っ青な空の中で、こまたちの真上で輝き続けている砂漠のぎらぎらと輝く太陽のような満面の笑顔でわたあめは言う。
「気持ちいわけないですよ!! わたあめお姉ちゃん!! 久しぶりの運転だからって、ちょっとはしゃぎすぎです!!」
と多目的カートの後部座席に、こまの隣の席に座って、こまの小さな体にしがみつきながら、みずあめが怒った大きな声で言った。
「わたあめお姉ちゃん。安全運転してください!! こまちゃんが乗り物に酔っちゃうでしょ!?」
「このくらいで乗り物に酔っているようじゃあさ!! この先、砂漠の発掘隊なんて仕事やってられないよ!! この仕事はずっとずっーーーと、体力勝負なんだからさ!!」
と運転席から、後ろを振り返ってにっこりと笑って、わたあめが言う。
その瞬間、多目的カートはまた、砂漠の山の頂上を超えて、大きくなにもない空の中にジャンプをした。
「僕なら大丈夫です」
ずどん!! と砂の上に着地したあとで、速度を落とさずに走りながら、ぐらぐらと揺れるジープの後部座席から平気な顔で、ゆらゆらと揺れながら、こまは言う。
「ほら、大丈夫だって!! さすがこまちゃんだね!!」
「もういや!!」
とみずあめが大声で言った。
そんなみずあめの声をきいて、砂漠の気持ちのいい風の中でうれしそうな顔でわたあめは笑った。
こまはわたあめの運転する乗り物全般が、こんな風に(まるで遊園地のアトラクションみたいな)アクロバティックな運転になることはもうわたあめと出会ってから知っていたことなので、別に気にしてはいなかった。
それよりもこまはさっきから自分の隣に座っている美人の双子の姉妹の妹である三つ星みずあめが、こまのことを心配して、あるいは心配していることはもちろん本当のことだと思うけど、激しく揺れる乗り物が苦手で(もちろんそのことをお姉ちゃんのわたあめは知っている)怖がって、こまに助けを求めるようにして、ずっとぎゅっと抱き着いていたので、そのせいでみずあめの体が、胸が(小さいとはいっても胸のふくらみはちゃんとあった)ずっとこまの顔と体にぴったりと押し付けられているので、それが恥ずかしくて仕方がなかった。
(……でも、もちろん、そんなことをみずあめ本人に言えるわけなかった)
みずあめからは、なんだかとってもいい匂いがした。
こまはさっきから、その小さな顔を照れて真っ赤にしっぱなしだった。




