62
砂漠の地下には石油などの地下資源だけでなく、人類にとって貴重な鉱物資源や、とても清潔な地下水なども(あるいはもっともっと驚くような不思議なものも埋っているかもしれない)まだまだ豊富に蓄えられているとすごろくは考えていた。(証拠もいっぱい発見した)その膨大な量の地下資源を(人類のために)発掘するのが、木登すごろく博士が率いるこの木登砂漠発掘隊の主な仕事だった。
「おじいちゃん。砂漠の地下には、地上よりも、もっと清からな世界が広がっているの?」とこまは言う。
「そうじゃ。そうじゃよ。よく知っているの、こま」そう言ってすごろくは白いひげを触りながら嬉しそうな顔で笑った。
こまはすごろくから砂漠や砂漠の地下のことや発掘士の仕事についてのいろんな(成功話や失敗話など)話を(だいたいは夜に眠りにつく前のおやすみのお話として)聞いていた。でもそれだけじゃ物足りなくなって、自分でもいっぱいいっぱい砂漠についての調べものをしていたのだった。
すごろくと一緒に並んでオアシスの緑色の草むらの上に座っていたこまは(きゅうに、なにかを思い出したかのように)すくっとその場に立ち上がった。
「どうしたんじゃい?」
「ちょっとお散歩してくる」
そう言ってこまはすごろくおじいちゃんの元から(子供らしく元気いっぱいに)駆け出して、仮設テントに向かって走り出した。
「こま! あまり遠くに行き過ぎないように、気をつけるんじゃよ!」
こまの後ろでふぉふぉ、と笑いながら、すごろくが言った。
こまは息を切らして砂漠の上を走っている。
……、砂漠にきてから、ずっと一人。(みんなはいてくれるけど)
九歳の木登こまはずっと、自分と同年代の友達が欲しいと思っていた。(自分と同い年の一緒に遊べる友達を探していた。そんな顔のよく見えない友達と遊んだりする空想もよくしていた)
こまは木登砂漠発掘隊キャンプの二階建ての大きな仮設テントの中に入ると、研究室兼臨時の仕事場、あるいは作業場となっているテントの一階の(二階は居住スペースになっている)隅っこのほうに置いてある木製の机の上にあった四角い正方形の真っ白なタブレットの手に取った。
その『古代の石板のようなタブレット』は、こま専用の特殊な発掘士用のタブレットだった。




