53 星の祈り 君と天体観測の夜 三つ星みずあめ 十歳(発掘士見習い)
星の祈り
君と天体観測の夜 三つ星みずあめ 十歳(発掘士見習い)
空に、一つの星が輝いている。
とても巨大な流れ星。
輝く彗星。箒星。
それは数日の間、消えることなく、昼の時間も、夜の時間も、地上からずっと観測することができた。(なにかの不吉な現象だと世界中の人たちは騒いでいた)
そんな不思議な流れ星の流れている最後の夜。
その日、だいだいの星読みの家に生まれた三つ星みずあめが夜空の星をいつものように眺めていると、あるいは、観測していると、(昼の間も見える不思議な流れ星の見える夜など関係なく、星が大好きなみずあめは毎日、星空を観測しているのだ)そこにはいつもと本当にちょっとだけ違った星空があった。
その変化にみずあめが気がつくことができたのは、(ほかの街の人たちなら、星読みであるみずあめのようには、星の変化に気がつくことができなかっただろう)みずあめが『星読み』と呼ばれている星を観察し、その結果、季節や日時を知ったり、方角を割り出したり、遠い宇宙のことを調べたり、この先に起こる未来を(ほんの少しだけ)観測したりすることを生涯の研究に選んだ研究家一家の娘だったからだった。(お姉ちゃんは星読みの家のことなんて全然考えていなかったし、隣のベットの中で、ぐーぐー寝ていたけど)
「あれ? 今日の星空はなんだか少し変ですね。どうしてでしょう?」
うーん、と小さな頭をちょっとだけ斜めにしながら、そんなことをみずあめは言った。
「あそこに星があるはずないんですけど……。うーん、(何度確かめても)やっぱりある。おかしいですね。……どうしてでしょう?」
みずあめは今度は逆の方向に頭をちょっとだけ斜めにして言う。
そうやって、大きな手作りの天体望遠鏡を眺めていると、「あれ?」とみずあめは言った。
その瞬間、夜空の星空から、『一つの大きな星』が自分の見ている地上に向かって、つまり、みずあめたちが暮らしている街のほうに向かって、落っこちていく風景を見つけたからだった。
「近い。……いや、これは森に落ちる?」
みずあめは言う。
そのみずあめの言葉の通りに、一つの大きな星は街の近くにある森の中に確かに落っこちた。
その様子を手作りの天体望遠鏡でずっと観測していたみずあめは、星が落下したのと同時に、ずっとくっつけぱなしだった天体望遠鏡からその目を離して、すぐに夜の森の中に外出する準備を始めた。
(……今夜は星が輝いていて、とても明るい夜です。たぶん、夜の時間の森の中でも、迷子にはならないでしょう。星の光が、星読みである私のことを守ってくれるはずです。そいそと外出の準備をしながら、そんなことをみずあめは思った)
みずあめが突然、外出しようと思った理由。
それはもちろん、森の中に落っこちた一つの大きな星の正体を確かめるためだった。
大きなリュックサックを背負い、外出の準備を終えたみずあめは、ばたん、と大急ぎで家のドアを開けると、明るい星の輝く夜の森の中に向かって(本当に飛び出すようにして)街の中を駆け出して行った。
それは星読み出身の発掘士である三つ星みずあめの十歳のころの思い出だった。(このあとで、みずあめははじめて、この先自分のパートナーになるやってしまったという顔をしている十歳の胡桃まめまきと森の中にできた墜落した銀色のUFOがあけた巨大な穴のところで出会った)




