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ひまわりはゆっくりと白い椅子から立ち上がった。
そしておもしろそうなおもちゃでも見つけたような子供の眼をして、まめまきとまめまきのもっている捕獲用の電気ロープの鞭を順番に見る。
「それで私をどうするつもりなんですか?」ひまわりは言う。
「おしりを叩いて、おしおきをする。泣いてもやめてあげない。それからぐるぐる巻きにして、かついで、ここから無理やりに連れ出して、地上にまで引きずり出してあげる」とまめまきは言った。
「まあ、怖い」と両手を胸の前であわせて(ごめんなさいの顔をして)ひまわりは言った。
そのとき、ひまわりのスイッチがかちゃり、ときりかわったのが、まめまきにはわかった。
「つばさちゃん。ひかりちゃん。危ないから後ろまでさがっていて」
そうまめまきが言うと二人の幽霊ホロウの女の子たちは手と手をとって、「はい!」と二人で一緒に返事をしてから、まめまきに言われた通りに部屋の隅っこのほうにまで、ぱたぱたと走って移動した。
そんな二人の幽霊ホロウの女の子たちのことをひまわりは黙ったまま見つめている。なにもしない。もし、ひまわりが二人に大きな声で、なにかを言えば、きっと二人の幽霊ホロウの女の子たちはそのひまわりの言葉通りにするのだろうと思う。そうしたくないと思っていても。(ひまわりは幽霊ホロウの子供たちにそれくらいの心と体の支配の教育はしているはずだと思った)
……そのことが、いいことなのか、悪いことなのか、判断することもできずに。わるいはわかっていたとしても。(まだ小さい子供なのだから、お母さんの言うとおりに心と体が動いてしまうのは当たり前のことだった)
でも、ひまわりはなにも言わない。……どうしてだろう? とまめまきは思う。
自分のそばにきなさい。とか命令をして、人質として盾とするとか。あるいはまめまきの邪魔をしなさい、とかいって、私のことを拘束するとか、なんでもいいのだけど、そういうことをすればいいのに……。
まめまきはひまわりの様子をうかがっている。(ひまわりの隠している切り札のカードはなんだろう?)
でも、その疑問はすぐにとけた。
ゆっくりと真っ白な部屋の床の下から、あるいは壁の中から、黄色に発光する不思議な透明なふわふわしたシャボン玉のようなものが、いつくかあわられる。その数は一つ、二つ。……。三つ。四つ。(四は不吉な数字だ)と増えていく。そのシャボン玉はやがて空中に浮いたままでフードをかぶったままの、袖がぶかぶかの大きめのフード付きコートを着ている幽霊ホロウの子供の形になる。ただその顔は真っ黒なクレヨンで乱暴に塗りつふされたようにゆがんでいる。その黒色の上には真っ赤なクレヨンで赤い目と口が邪悪な形に塗られている。……忘れるはずもない。それはロストチャイルドたちだった。
『へへへ』
『けけけ』
とロストチャイルドたちは楽しそうな声で、まめまきを見て笑っている。
「さあ、まめまき。楽しいゲームを始めましょう。もっとも今まであなたが私にゲームで勝ったことは一度もないですけどね」とまがまがしいロストチャイルドたちを従えながら、まめまきを挑発するようにひまわりは言った。(ゲームの話は本当のことだった)




