45 陽だまりの中で 私たちはきっと生まれたときから、狭い檻の中に入れられている。
陽だまりの中で
私たちはきっと生まれたときから、狭い檻の中に入れられている。
……、遠い、ずっと遠い日の記憶を思い出すときがある。そこは、小さな家の中だった。緑色の草原が広がっている田舎の地方にあるあったかい家の中。ゆっくりとした時間が流れている。そんな家の中で、私はうとうとしながら眠りにつこうとしている。陽だまりの中で。
すると、私の手をそっと誰かがにぎった。……、誰だろう? そう思って、目をあけるとそこにはひまわりがいた。ひまわりは甘えるように私の横にやってきて、そこで私と一緒に毛布の上に横になって、私と手をつないで、眠りにつこうとしていた。ひまわりは目を閉じている。私がそんなひまわりの顔を見ていると、そっとひまわりが目を開ける。
「ねえ、どんな夢を見れるかな? 今日はさ、きっと楽しい夢だといいよね。とても悲しい夢じゃなくてさ」とひまわりは微笑みながら小さな声で、ささやくようにして、私に言った。
天使のように美しいひまわりは、それからすぐにすやすやと寝息をたてて、眠ってしまった。(きっと夢を見るために)
私も夢を見るために、目をつぶり、眠りについた。
……、神さま。どうか、眠りの中で幸せな夢が見られますように。
そうお願いをしてから、私は眠りについた。とても優しい眠りの中に。ひまわりと手をつなぎながら。二人で。……一緒に。いつものように。
思い出すのは、いつもあなたの笑顔だった。まめまき。あなたの笑顔は本当にいつも、いつも眩しかった。きらきらと輝いて見えたんだ。
「まめまき。そんなに怒った顔をしないでください。あなたははじめから知っているでしょう。私はマッドサイエンティストなんです。怖い科学者。悪い女なんですよ」と天使のような顔をしているひまわりは言った。
「……ひまわり。あなたはつばさちゃんとひかりちゃん。どちからが自分のところからいなくなってもいいの?」まめまきは言う。
「はい。構いませんよ。もともと『幽霊ホロウは一人が普通の状態』です。二人の幽霊ホロウの子供たちがいる今の状態が少し異常なんです。一人いれば研究は続けられます。二人いる必要はありません。もっとも、幽霊ホロウの実験は失敗の連続ですから、幽霊ホロウの子供たちを複数人一緒に育てることは結構よくあります。新しいことに挑戦をすると、いつも異常なことばかりおこります。なかなかうまくはいきませんね。人生と同じです」とたんたんとした口調で(つばさちゃんとひかりちゃんがここにいるのに)顔をしかめて、ひまわりは言った。
「ひまわり。あなたとつばさちゃんとひかりちゃんは、……大切な家族なんじゃないの?」震える声でまめまきは言う。
「いいえ。『幽霊ホロウは家族ではありません』よ。幽霊ホロウはあくまで私の研究の実験体です。人類の目指すべき希望であり、とても価値のある貴重な存在(命)ですが、私の血をわけた家族ではありません」いつもの口調で、ひまわりは言う。
「……ひまわりお母さん」
「ひまわりお母さん」
とつばさちゃんとひかりちゃんが震えている小さな声でひまわりを見ながら、悲しそうな涙声でそう言った。……、二人の小さな体は声と同じように震えている。




