44 愛は痛みである。 ……どくどくと赤い血が流れる。
愛は痛みである。
……どくどくと赤い血が流れる。
ひまわりを見るまめまきの体に急激な変化があらわれる。
まめまきの頭の上にはぴょこんと二つのまめまきの髪の毛と同じ胡桃色をした三角形の形をした動物の猫の耳がはえる。その白い眼帯をしていない右目は吊り上がり、その瞳は淡い月のように黄色く発光する。口には牙のような八重歯が見える。その手の爪は研ぎ澄まられるようにしてとがり始め、おしりのところからは胡桃色の猫のしっぽがはえた。(まめまきの特殊なスパイ服にはしっぽがでるように最初から仕組みがされている)
それは『獣化(けものか、あるいは、ビースト)』と呼ばれている現象だった。
「わあ」とそんなまめまきの体の突然の変化を星の浮かんでいる大きな瞳をさらに丸く大きくしながら見ていた、二人の幽霊ホロウの女の子たちが驚いた顔をしながら言った。
そんな攻撃的な雰囲気をまとった大きな猫のような変化をしたまめまきを見ながら、ひまわりはくすくすとおかしそうに笑っている。
「その答えは、もうわかっているのでしょう。まめまき。私からのプレゼントはその幽霊ホロウの子供たちです。でもね、まめまき。この素敵なプレゼントを、あなたに贈る前に、一つだけ私からの条件を受け入れてもらいます」
「条件? どうせろくな条件じゃないんでしょ?」とまめまきは言う。まめまきは足に力をためている。いざとなったら、一瞬でひまわりを取り押さえることができる。あるいは一瞬でこの部屋から逃げ出すことができる。……二人の幽霊の女の子をつれて。(どちらでも自信があった)
「その条件とは『つばさとひかり。二人のうちどちから一人をあなたに選んでもらう』、ということです」とにっこりと笑って、ひまわりは言った。
「……選ぶ? 二人のうちどちらか一人を? 私が?」そっと(ひまわりへの注意を向けながら)まめまきは自分の背後にいるつばさちゃんとひかりちゃんを順番に盗み見る。(……二人ともじっと、なにかを訴えかけるようなうるうるとした瞳をして、お互いの体を抱きしめながら、まめまきのことを見つめていた)
「はい。そうです。まめまき。ここまで私に会いにやってきてくれたことに感謝して、あなたに選ばせてあげます。いま、私のもとには二人の幽霊ホロウの女の子がいます。小枝つばさと水玉ひかり。二人ともかわいい、かわいい、私の大切な子供たちです。本当ならどちらの子供も手放したくはないのですが、その二人のうちの一人をまめまき。今日は特別にあなたに差し上げましょう。それであなたは自分の任務を達成できるはずです。私を捕まえることも任務にあると思うので、100パーセントとはいかなくても、本物の幽霊ホロウの子供がいればあなたの依頼者は納得をするでしょう。どうですか? 悪い話ではない。とっても素敵なプレゼントでしょう?」と(まるで大切な人のお誕生日に秘密にしていたプレゼントでも贈るように)楽しそうな顔をしながら、両手を小さな胸の前であわせて、ひまわりは言った。




