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「次に、その形になれさせた泥の中に種を植えます」とひまわりはいった。
「種?」まめまきはいう。
「はい。種です。『小さな心の種ゆらめき』と私は呼んでいます。もちろん、私が研究して、私が作り出したものです。幽霊ホロウの研究の一番の重要なものになります」
もう一口飲み物を飲んで、ひまわりは言う。
種。
……小さな心の種。
それはつまり、心の源。命の源。
ゆらめき。(……それはつまり魂のゆらめきなのか)
「実物はこれです」
そう言ってひまわりは大きなぶかぶかの袖の中から一粒の(なにかの種にしては)大きな種を取り出した。
その種は不思議な形をしていた。固い殻に覆われているひまわりの手のひらの中に納まるくらいの大きさの種で、ぴょこんとはねっ毛のように透明な色の小さな芽が出ている。種は淡い光を放っている。それは大きな宝石のようにも見える。種は小さな芽と同じように色はなく透明で、きらきらと輝いていてまるで金剛石のようだとまめまきは思った。
少しの間、その小さな心の種を手のひらの上にのせたまま、まめまきに見せたあとで、ひまわりはその種をまた元のようにぶかぶかの袖の中にしまいこんだ。(ひまわりの仕草から見て、種はそれほど重くはないようだった)
「まめまき。本当は私たちの再会の記念に、この種をあなたにプレゼントしたいのですが、残念ですが、これをあなたに差し上げるわけにはいきません」とひまわりは言った。
「別にいいよ。あとで勝手にもっていくから」とひまわりの目を見ながら(挑発的に微笑んで)まめまきは言った。
「できるなら、どうぞ」と(その挑発をうけて)ひまわりは言った。
(そんなひまわりを見て、相変わらず子供っぽいな。いつも冷静にみえて、すぐに怒るし、すぐに泣き出すし、すぐに喧嘩をするし、本当に感情が豊なんだから、とまめまきは思った)
まめまきはじっとひまわりの綺麗な青色の瞳を見つめる。吸い込まれてしまいそうなほど、澄んだ美しい青色。その青色の瞳の中にははっきりと左目に白い眼帯をしているまめまきの顔が(まるで鏡や、ガラス玉を覗き込んでいるように)はっきりと映り込んでいた。
その美しい瞳に見とれていると、ひまわりが二回、大きくまばたきをする。
「話を続けます。種を植えたあとは水をあげます。この作業は基本的に植物を育てる場合と一緒です。植物と違うことは太陽の光を必要としないことと、それから与える水がとても清らなか『忘れられた砂漠の地下水』でなければならないこと。この二つだけです。もちろん、清らかであれば忘れられた砂漠の地下水でなくてもよいのですが、今のところ、発見されている同じような条件のほかの場所の水ではうまく幽霊ホロウは育ちません」とひまわりはいった。
「そうするとどうなるの?」まめまきはいう。
「綺麗な泥の中で小さな心の種が芽を出して、心と命を持った幽霊ホロウが生まれます」とひまわりはいった。
……まめまきは無言。
「ある日、種が芽を出して、幽霊ホロウは神様からその日、祝福されて、命を与えられたかのようにして、一人でに動き出します。まずは人間の赤ちゃんのように、泣き出します。それが種から芽が出たことを知らせる合図です。それから泣き止んだ幽霊ホロウは自我をもち、動き始めます。でも、それだけではまだ不完全です。幽霊ホロウは心と命を持っていますが、それはまだ生まれたばかりの不完全な心と命です。心は教育を施すことで、成長し、完全なものになっていきます。命は栄養と運動を与えることで、しっかりとした形を持ちます。心とは、命とは、子供とは、そうやって愛と時間と手間をかけて、ゆっくりと育てるものでしょ? まめまき」とひまわりはいった。




