表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

40/145

40 幽霊ホロウの作りかた

 幽霊ホロウの作りかた


「幽霊ホロウの作りたかを知っていますか?」

 まるでこれから、パンやクッキーやケーキでも作り始めるように、楽しそうな声でひまわりはいった。

 ひまわりは手でまめまきに椅子にすわるようにうながした。

 まめまきは真っ白な部屋の中にあった小さな白い丸いテーブルのところにある背もたれのある白い椅子に座ってから、「知らないし、知りたくもない。そんなこと」とひまわりに言った。(背負っていた小さな桜色のリュックサックは近くの床の上に置いた)

 するとひまわりはくすっと笑ってから、「それを調べるのが、あなたのスパイとしての仕事でしょ?」といった。(……それは、まあその通りだった)

「幽霊ホロウを作るためには、まず泥をこねて形を作ります。陶芸家の人たちが壺を作るようにして、ゆっくりと時間をかけて泥をこねます」と空中で泥をこねるような真似をするようにゆっくりと手を動かしながらひまわりはいった。

「泥?」顔をしかめてまめまきはいう。

「はい。『綺麗な泥』と呼ばれているものです。その泥をこねて、あの子たちの形をまず作ります。その形は人の形をしていれば、細部はどんな形でも良いです。自分の好きな顔や好きな体を作ることができます。性別も自由です。でも、人の子供の形をしていなければだめです。そんな風に自分の好きな子供の形をこねます。大人のような大きな人はだめです。子供でないといけません。それが第一段階です」とひまわりはいった。

 まめまきは黙ったまま、ひまわりの言葉を聞いている。

「まめまき、あなたならどんな形の子供の幽霊ホロウの泥をこねますか?」ひまわりはいう。

 まめまきの答えは沈黙だった。ただ怒って眼帯をしていないほうの右目で、吊り上がった攻撃的な瞳をして、ひまわりを睨みつけているだけだった。(ひまわりはずっと笑顔だった)

「それから、その泥をある程度の期間、ある特殊な環境において保存します。その期間は、そうですね、だいたい半年くらいですかね。二、三ヶ月でも良いですが、半年は保存しておいきたいところです。それくらいあれば泥は充分、その形に馴染むことができます」

 ひまわりは言葉を続ける。

「喉が渇きませんか? まめまき。なにか、飲みますか?」

 あら、いけない、というような表情をして、両手を合わせて思い出したようにひまわりは言う。

「いらない」まめまきは答える。

「では、私だけ」

 そういって、ひまわりはグランドピアノの椅子から立ち上がると、部屋の隅にあるガラス細工のような繊細で美しい形をしている棚のところに置いてあった薔薇色の液体(なんだか魔女の作った魔法の薬のようだった。だとしたら、あの液体はどんな魔法の薬なのだろうか?)の入っているガラスの小瓶を手に取ると、その横にある繊細な模様の刻まれているガラスのコップの中に瓶のふたをとってゆっくりとそそいだ。

 そのガラスの小瓶と液体の入ったガラスのコップをもって、ひまわりはグランドピアノの椅子のところに戻ると、小さな白い丸いテーブルの上にそれらを置いて、もう一度グランドピアノの椅子に座りなおした。

 ひまわりはまめまきに向かってにっこりと笑ってから、ガラスのコップを持つと、その薔薇色の液体を一口だけ優雅に口にした。

「美味しい」とひまわりは言った。(妖艶に微笑むひまわりは本物の魔女のようだった)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ