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 ロストチャイルドたちが、まめまきの周囲を包み込む。

 ……それはやがて、黒い子供の形から、混ざり合い、溶け合って、やがて大きな黒い渦のような形に変わる。

 その黒い渦がまめまきのことを包み込む。

 すると瞬間、まめまきの心の中に『とてもどす黒い感情が、湧き水のように』湧き出した。

 そのどす黒い感情を久しぶりに感じて、まめまきは……まずい。と思う。

 やばい。やばい、やばい。

 この感情はやばい。

 この感情に心を支配されると、……『きっとたぶん、私はここで死ぬ』。こいつらに殺される。

 ……いや、そうじゃない。

 ……いつだって、『私を殺すのは、私自身の心』だった。

 そんなずっと忘れていた久しぶりに出会った自分の(泣いてばかりいた)子供時代の感情を思い出してまめまきは混乱する。

 まめまきは走り続けている。

 こいつらから逃げるために。

 でも、どこかで絶対に逃げ切れないと思っている自分もいる。

 ……『なぜなら、自分自身から逃げることは絶対にできないからだ』。

 そのことをまめまきは強く、経験的に理解している。(なんどもなんども逃げようとしたから)

 やがて巨大なサイレンの音がまめまきの耳に聞こえてくるようになる。それはまるで今、この場所に空襲でも始まったかのような本当に激しい音のするサイレンの音だった。

 そのサイレンの音はまめまきに『命の危機』を伝える音だ。

 ……私は今、死にかけている。

 私は今、死の淵にいる。

(本当に危ないところにいる)

 そんなことをまめまきは思う。

『こっちです。まめまきさん。こっちに来てください』

 そんな光る幽霊の女の子、小枝つばさそっくりな女の子の声が聞こえる。

 ……その(聞いているだけで心がふるえるような)綺麗な可愛らしい声だけが、その(見ていると自然と涙があふれてしまいそうになる)光り輝く美しい姿だけが、今のまめまきを支えている。しっかりと導いてくれる。

 まめまきはその声と姿だけを頼りに走る。

 つばさのところに。

 ……あの、この黒い渦の中で唯一、光り輝いてる場所に向かって……。

 ただ、走り続ける。

 ……それをつかむために、手を伸ばそうとする。


 暗転


 ……胡桃まめまきの意識はそこでいったん(電源を引っこ抜かれた古いコンピューターのように)突然、ぷつんと途切れた。

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