124 誰かに自分の気持ちを伝えるのって、……、本当にむずかしいね。
誰かに自分の気持ちを伝えるのって、……、本当にむずかしいね。
ごごごご、……という大きな音がする。
まめまきとひかりちゃんはぼろぼろになった(ところどころには大きな穴があいていた)大広間の中にある壊れかけているぼろぼろの階段をいそいでのぼりはじめる。幽霊ホロウのお城の一階部分はだんだんと崩れ始めている。
もうすぐ、幽霊ホロウのお城のぜんぶが、幽霊ホロウの街のすべてが、真っ暗な深い、深い穴の中にのみこまれてしまうことになるだろう。
「ひかりちゃん。ひまわりの部屋がある幽霊ホロウのお城の頂上にいくには、どっちにいったらいいの? あそこが幽霊ホロウのお城の一番高い場所だよね?」とまめまきは言う。
「はい。そうです。まめまきさん。ひまわりお母さんの部屋にいくには、……えっと、こっちです!」と言って、ひかりちゃんはまめまきに走っていく方向(向かうべき場所)を指さした。
「わかった」
まめまきはひかりちゃんの言葉にしたがって、崩れていく幽霊ホロウのお城の中を走り続ける。
そのまましばらくひかりちゃんの指示にしたがって走っていると、やがて、まめまきも見たことのある場所に出た。
そこは幽霊ホロウの城の図書室の前だった。
はじめて幽霊ホロウのお城にまめまきがやってきたときに、地下の秘密のはしごをのぼって、やってきた映像記録保管室のある図書室だった。(外見はもうぼろぼろになっていたけど、その部屋は確かに、あの図書室だった)
はじめてのときは一人だった。ひかりちゃんはつばさちゃんの帰りを待って、地下の(つばさちゃんの)秘密の隠れ家にずっと一人で残っていた。……、でも、今は一人じゃない。ひかりちゃんと一緒にこの場所にいる。
もう離れ離れじゃない。私はこの小さくて冷たい幽霊ホロウの女の子、水玉ひかりちゃんの手を絶対に離さないとまめまきは思った。(最初からずっとそうしていればよかったのだ。本当は、きっと)
……つばさちゃんのように、手を離してはいけなかったのだ。
(つばさちゃん。ごめん。……本当にごめんね)
ここまでくれば、ひかりちゃんに聞かなくても、ひまわりの部屋までいくことができる。まめまきは一度通ったことのある道をひかりちゃんと手をつないで走り抜けた。いろんなものが崩れている中庭を通り過ぎたときに、今までよりもずっと大きな、ごごごごご……!! という音と大きな揺れがして、幽霊ホロウのお城の三分の一くらいのところががらがらと崩れて、真っ暗で深い穴の中に落っこちていった。(あまりの音と揺れの大きさに、まめまきとひかりちゃんはその間、走ることをやめて、二人で体を支えあうようにして、じっとしていた。そんな二人の姿は年の離れた姉妹のようにも、……あるいは本当のお母さんと小さな娘のようにも見える)




