122 いろんな壁
いろんな壁
壁は世界中にあります。国と国をわける壁。社会の中にある壁。家族の中にある壁。友達との間にある壁。恋人との間にある壁。あるいはあなたとわたしの間にも壁はあります。見える壁と見えない壁。いろんなところに壁はあるんです。その壁をつくったのは、誰だと思いますか?
……星。星を探す。
まめまきはひかりちゃんと同じようにきょろきょろと空を見渡しながら星を探した。でも、星はどこにも見つからなかった。
まめまきとひかりちゃんは幽霊ホロウのお城にどんどんと近づいていく。幽霊ホロウのお城はロストチャイルドたちの巣窟だけど、そこ以外にもう世界は存在していなかった。(だから、そこにいくしかないのだ)
幸いなことに、ロストチャイルドたちはみんなが崩れていく世界の中でひまわりのことを探しながら、泣き叫んで、混乱していて、今のところ、まめまきとひかりちゃんに気がついている様子はない。でも、すぐに見つかってしまうだろう。この幽霊ホロウのお城を覆うようなたくさんの数のロストチャイルドたちから見つからないように隠れて行動することは、たとえば、もし今、ひかりちゃんが一緒でなかったとして、まめまき一人であり、道具も万全で、体力もあり、獣化できたとても、無理だっただろう。
ごごご……、という大きな激しい音がする。
まめまきとひかりちゃんの走ってきた大地はどんどんとそのうしろで崩れてなくなっていく。
「ひかりちゃん。地上にはね、本当にたくさんの星があるんだよ。夜になるとね、綺麗な星がたくさん見えるの。本当に数えきれなくらいの綺麗な美しい星が空に輝いているんだ。ひかりちゃんはそんな私の言葉を信じることができる?」と真っ暗な星のない空を見ながら、はぁ、はぁと白い息を吐きながらまめまきは言った。
「はい。まめまきさんが言うことなら、信じることができます」とにっこりと笑ってひかりちゃんは言った。
「地上で一緒に星を見ようね、ひかりちゃん」とひかりちゃんを見て、まめまきは言う。
「はい。まめまきさん」とひかりちゃんは言う。
二人は手をつないで走り続ける。
二人は無言になり、少しの間、そのまま走り続けた。
やがて幽霊ホロウのお城の入り口にある巨大な(地獄の入り口みたいな)門がみえてきたところで、まめまきは、さてと、ロストチャイルドたちをどうするかな? と考え始める。
そんなときだった。
その(そこにあるはずのない)『奇跡の星』を最初に見つけたのは、ひかりちゃんだった。
その星を真っ暗な空の中に見つけて、ひかりちゃんはその幽霊ホロウの星のある大きな瞳をさらに大きくして、(きらきらと輝かせて)驚きのあまりに、思わず走ることをやめてしまった。
手をつないでいたひかりちゃんが走ることをやめてしまったので、まめまきも一緒に足をとめる。
「どうしたの、ひかりちゃん? 少し疲れちゃったの?」とはぁはぁと白い息を吐きながら、(ここは寒い。本当に寒かった)まめまきはいう。
「まめまきさん。……星があります」と空を(震える)指さしながら、震える声で、ひかりちゃんは言った。
「え!?」
まめまきは驚いて、ひかりちゃんの指さしている方向の空を見る。
……すると、そこには、星があった。
真っ暗な空の中で一つだけ輝いている星がたしかにあった。
つい、さっきまではなかったのに。
星が見える。
……、それは、希望の星だった。(まめまきは思わず、ひかりちゃんと同じようにその動きをとめて、じっと星を見つめた)
その奇跡の星の光に、地下の真っ暗な世界にいるあらゆる命あるものは、そのすべてがその美しい光に目を奪われた。(ロストチャイルドたちも例外ではなかった。いつの間にか、みんながその星の光を動きをとめて、じっとみつめていた)




