110 最後の問題 ラストクエスチョン
最後の問題 ラストクエスチョン
どうして、わたしたちは、こんなにも憎しみ、いがみ合っているのだろう?
ひまわりは、くるりと回って、その美しい背中をまめまきとひかりちゃんに向けると、同じようにゆっくりと後ろを向いたつばさちゃんの手をにぎった。
「まめまき。ひかり。あなたたちを一緒に連れいていくわけにはいきません。あなたたちは、この列車から早くおりなさい。もう、あんまり時間がありません」
ごごごご……。
世界が大きく揺れている。
この比較的揺れの小さい天の川銀河の駅の地下の秘密のホームでこれほど大きく揺れるのなら、幽霊ホロウの街は、もう、そのほとんど全部がすでに崩壊してしまっているのかもしれない。
『まめまき。どうしますか? UFOを爆発させますか?』とみちびきが言った。
まめまきは無言。じっとひまわりを見ながら、なにかを考えている。
問題(Qクエスチョン)です。
あなたは、このまま世界を終わらせますか?
YES、オア、NO?
本当なら、悩むことなくYES。(その覚悟は、この任務を受けたときからできている)でも、……、ひかりちゃん。つばさちゃん。……、かげろう。
『まめまき。どうしますか?』
「答え(アンサー)は、NO。私は『世界を終わらせない』」とまめまきは言った。
そのまめまきの言葉を聞いて、(まめまきには見えない背中越しに)ひまわりはにっこりとその美しい顔を隠している白い薄いヴェールのうしろで笑った。
「ごめん。みちびき」まめまきは言う。
『わかりました。宇宙船型UFOみちびきの爆弾は爆発させません。暗号化されている爆弾の起爆コードを解除します。これでUFOの爆弾を爆発させることはできません。でも、よかった』と(にっこりと笑いながら)みちびきが言った。(怒られるかと思ったのに……)
「OK。でも、みちびき。よかったってなに?」
『ふふ。まめまき。私はあなたに死んで欲しくないのですよ。だって、私はあなたのパートナーですから』と本当にうれしそうな声でみちびきは言った。
そのみちびきの言葉を聞いて、まめまきはきょとんとした顔をした。あいかわらずみちびきは人工知能らしくない人工知能だと(ひまわりが人格を移植して、自分でプログラムしたのだから、当然と言えば当然なのかもしれないけれど)まめまきは思った。(まあ、うれしかったけど)
まめまきの言葉(答え)を聞いて、ひまわりはまたくるりと(つばさちゃんと手を放して)回ってもう一度まめまきに向き直った。(つばさちゃんは今もずっとその人形みたいに綺麗な顔を大きなフードを深くかぶって隠したままだった)
「いいのですか? まめまき」とひまわりは言った。
「うん。いいよ。今はひまわり。あなたを捕まえて、おしりを(お猿さんみたいに真っ赤になるまで)叩いておしおきすることよりも、ひかりちゃんを助けることのほうが、ずっと、ずっと大切なんだ」とまめまきは言った。(ひかりちゃんはじっと大きな瞳で、まめまきを見つめた)
まめまきにそう言われて、ひまわりは少しむっとした。(どうやら自分よりもひかりちゃんのほうが大切とまめまきに言われて、本気で嫉妬しているようだった)
「まめまき。あなたが自分の切り札(死神、ジョーカーのカード)であるUFOの大型爆弾を爆発させないというのなら、私からもあなたにそのお礼として最後の贈り物をしましょう。そうじゃないとなんだか勝ちを譲られたようで、少しだけ気持ちが悪いですから」とひまわりは言う。
「どうも、ありがとう。ひまわり。いつもなら絶対に断るけど、こんな状況だから、ありがたくもらっておく。それで、あなたが私にくれる最後の贈り物ってなに?」とまめまきは言う。
「最後のゲームをしましょう。まめまき。私とあなたの本当に最後のゲーム。(遊び)そのゲームに勝てれば、あなたはひかりと一緒にこの崩壊する地下の世界を抜け出して、無事に生き残ることができるでしょう」と(これから午後のお茶の時間に、甘いものでも食べながら、カードか、チェスでもして遊ぶような)楽しそうなお嬢様の声で口元に手をあてながらひまわりは言った。




