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「ひまわり。あなたは命を冒涜している」まめまきは言う。
「それはまめまき。あなたのほうです。あなたは自分の命をとても軽いものと考えています。その考えかたは、間違っています」ひまわりは言う。
二人は少し沈黙する。(お互いの顔を見ながら)
「まめまき。あなたが幽霊ホロウの街にしかけた小型爆弾では、その全部を同時に爆発させても、あなたが言っているように幽霊ホロウの街をこなごなにすることはできません。それはあなたも一個の爆弾を爆発させて、もうわかっているはずです。(あなたたちの予想よりもはるかに、この街は頑丈に造られいます。『ある理由』によってね)でも、それは最初からそれで構わなかったのです。なぜなら幽霊ホロウの街のあちこちに仕掛けた小型爆弾はあくまでおとりの爆弾なのですからね。本当の爆弾はあなたが乗ってきたUFOのほうです。(本当ならUFOにのって、この地下世界の中にはいることができた時点ですでにあなたの勝ちは確定していたと言っていいでしょう)UFOにみせかけたあの大型爆弾が爆発すれば、この地下の空間全部が吹き飛ぶのでしょう? それくらいの威力があの大型爆弾にはありますね。まめまき」と沈黙を破って、ひまわりは言った。
「そこまでわかっているのなら、話が早いね。ひまわり。なら、どうするの? おとりの爆弾はばれちゃったけど、状況はなにもかわってないよ。ひまわり。あなたがつばさちゃんとひかりちゃんと一緒に、幽霊列車に乗って幽霊ホロウの街を脱出するのなら、私はUFO型の大型爆弾を爆破させる。それが嫌だったらひまわり。つばさちゃんとひかりちゃんを私に手渡して。そうすればひまわり。あなたが幽霊ホロウの街から脱出するのを見逃してあげる」とまめまきは言った。
『まめまき。浮雲ひまわり博士を見逃すことは契約違反です。浮雲ひまわり博士の身柄の拘束、もしくは保護は、今回の作戦の目的である幽霊ホロウの研究を盗み出すことよりも優先される(契約書に書かれていない本当の)最重要任務です』とみちびきは言った。(そんなことは、もちろん、みちびきに言われなくてもわかってる)
「まめまき。残念ですが、それはできません。この子たちは『私の大切な子供たち』だからです」と(つばさちゃんとひかりちゃんと、そっと手をつないで)ひまわりは言う。
「ひまわり。あなたはこの子たちのお母さんじゃない」とまめまきは言う。
二人は再び沈黙する。
ごごごご……。
……、世界が揺れている。揺れはだんだんと大きくなっている。
「まめまき。あなたに爆弾のスイッチを押すことはできません。あなたにつばさとひかりを(小さな子供たちを)犠牲にして、UFOの大型爆弾の巨大な爆発に巻き込むことはできないでしょう? それが私には本当によくわかります。あなたはとても優しい人ですからね。まめまき。前から言いたかったことですが、あなたにスパイのお仕事は向いていませんよ」と小さくため息をついてから、ひまわりが言った。
「ご忠告ありがとう。今後の生きかたの参考にしてみる。でもね、ひまわり。あなたは忘れている。もし、私にできなかったとしても、みちびきにならできるよ。だって、みちびきはひまわり、『あなた自身があなたをモデルにして作った、あなたの心(ある年齢までの思考、記憶、人格)を元にして作られた(ひまわり型と呼ばれる特殊な)人工知能』なんだからね。私にはできなくても、ひまわり。あなたにならつばさちゃんとひかりちゃんがUFOの大型爆弾の巨大な爆発に巻き込まれるとわかっていても、(小さな子供たちが犠牲になるとしても)自分の目的(あるいは、夢)のためなら大型の爆弾のスイッチは押せるでしょ?」とまめまきは言った。
『はい。押せます』
「ええ。押せますね」とみちびきとひまわりは、ほとんど同時に(二人ともまったく同じ美しい天使の声で)まめまきに向かってそう言った。(二人とも同じ声だけど、本物のひまわりとみちびきでは、みちびきの声のほうがずっと子供っぽかった。学習型の人工知能と人間の天才では、どうやら人間の天才のほうが成長が早いようだった)




